【インドネシア政経ウォッチ】第10回 高校生、乱闘よりもアイドル(2012年 10月 4日)

先週の地元メディアでは、連日、高校生の乱闘事件が大きく報道された。9月26日付『コンパス』紙によると、ジャカルタ首都圏では、過去1年間に13人の高校生が乱闘で死亡している。

同月24日、南ジャカルタの最高裁近くのブルンガン通りで、ジャカルタの有名校である第70高校の生徒約10人がチェーンや鎌や木片などの凶器を持って、同じ有名校の第6高校を襲撃し、同校1年の男子生徒1人が胸を凶器で刺されて死亡した。その2日後、東ジャカルタのマンガライ地区でカルヤ66財団高校生と技術カルティカ実業高校生が乱闘となり、カルヤ66財団の高校生1人が刃物で切りつけられて死亡した。

24日の加害者はジョグジャカルタに逃亡したが、27日までに警察に逮捕された。26日の加害者はすぐ逮捕されたが、「殺したことに満足している」と語った。警察の調べでは、彼らから薬物の使用反応はなかった。

ジャカルタでの高校生の乱闘は、実は目新しいものではない。筆者がかつて住んでいた1990年ころも頻繁に見かけ、激しい投石の合間をバスで通り抜けたこともあった。近隣の高校同士のライバル意識が根底にあり、口喧嘩など些細な原因で「仲間を守る」意識から乱闘に至るケースが多い。一時期は、軍・警察幹部の子弟が銃や武器を家から持ち出し、乱闘に使うような事件さえあった。

高校生たちは、有り余るエネルギーを上手に発散できないのである。日本のような部活動は発達していないため、有り余るエネルギーを他校への敵がい心として発散させ、乱闘騒ぎになってしまうのかもしれない。こうした乱闘が社会不安につながれば、それを政治的に利用しようとする勢力が現れる可能性もある。

そんなことを思いながらジャカルタ・ジャパン祭りへ行くと、アイドルグループ「AKB48」の姉妹グループである「JKT48」の親衛隊が彼女たちを目の前に、全力でグルグル腕を激しく回しながら一心不乱に踊り続けていた。その多くは高校生である。乱闘よりもアイドルの応援に精を出す。いっそのことJKT48がもっとメジャーになり、より多くの高校生が親衛隊に入って全力で踊って欲しいと思った。

 

http://news.nna.jp/cgi-bin/asia/asia_kijidsp.cgi?id=20121004idr024A

※この記事は、アジア経済ビジネス情報を発信するNNA(株式会社エヌ・エヌ・エー)の許可を得て掲載しております。

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