【インドネシア政経ウォッチ】第35回 また起きたライオン航空の事故(2013年 4月 18日)

2013年4月13日、西ジャワ州バンドン発バリ州デンパサール行きのライオン航空JT904便のボーイング737-800NG型機が着陸に失敗し、滑走路に入る手前で海へ着水した。幸い、乗客101人と乗務員7人は全員救助されたが、乗客44人が重軽傷を負った。事故機は12年製で、ライオン航空が今年3月18日に受領したばかりの新機材だった。

事故当時のデンパサール付近の天候は良好だったが、着陸時に黒雲に入ったとの証言がある。ただし、事故機が最新鋭機であることから、むしろ、ヒューマン・エラーの可能性が強まっている。もっとも、機長の飛行時間は1万時間以上、インド人の副機長は2,000時間以上で、尿検査における麻薬・アルコール反応はなかった。

ライオン航空側は、国内線で1日5回の離着陸が機長の勤務標準となっており、その日は3回目の離着陸だったため、パイロットの疲労が原因とは考えられないとしている。しかし、ある識者によると、飛行機1機につき4人の機長と4人の副機長が充てられ、それが交代で乗務するのが理想だという。ライオン航空は現在、91機を保有するが、計728人の機長・副機長が確保されているかどうかは怪しい。いずれにせよ、事故原因の究明にはフライトレコーダーの回収・解析が待たれる。

00年6月に運航開始したライオン航空は、低価格を売り物に、国内最多乗客数2,394万人(12年)を誇る航空会社へ成長した。ボーイング社へ最新鋭機を200機以上大量注文し、機体の新しさもアピールしてきた。しかしその一方で、これまでに離陸失敗やオーバーランなど少なくとも11回の事故を繰り返している。

ライオン航空など格安航空会社の参入で、人々は長距離移動の手段を従来の船から飛行機へ代えていった。運輸省によると、12年の国内航空旅客数は6,157万人で、うち4割近くをライオン航空が運んでいることになる。国内にはライオン航空しか飛んでいない場所が多数あり、経済的にも物理的にも、この航空会社を使うしかない人々の数はまだまだ多いのである。

 

http://news.nna.jp/cgi-bin/asia/asia_kijidsp.cgi?id=20130418idr020A

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