【インドネシア政経ウォッチ】第55回 豆腐・テンペ業者の苦悩の陰で(2013年9月19日)

大豆価格高騰の影響を受けて、国内の豆腐とテンペ(伝統的な大豆発酵食品)の業界が原材料調達に支障をきたし、生産困難になっているとの報道が見られる。9月9日、豆腐・テンペ生産者組合連合会(Gakoptindo)と豆腐・テンペ協同組合(Primkopti)は、原料の大豆の価格高騰への対応を政府に求めて、全国の加盟業者が生産を放棄し、ストライキを行った。ジャカルタや東ジャワ州スラバヤのパサール(伝統市場)では、一時的に豆腐・テンペが店頭から消える事態も発生した。

9月2日付『コンパス』によると、インドネシアの豆腐・テンペ製造にかかわる業者は11万4,547事業所、協同組合は191組合、従事している労働者の数は33万4,181人である。多くが家族経営などの零細・小規模経営である。実際、市中での大豆価格は、3カ月前の1キログラム当たり8,200ルピアから現在では1万ルピア弱へ上昇した。5月以降、価格抑制のために貿易大臣令が連発されたが、効果は上がっていない。

豆腐・テンペが日常食のインドネシアには、日本や中国と同様、大豆発酵食品文化の長い歴史があり、とくにテンペは日本の納豆と並ぶ健康食品である。古くからジャワ島を中心に大豆が栽培され、スハルト時代に食糧調達庁が流通を制御して価格を安定させた結果、1992~94年に大豆の自給を達成するほどだった。日本も大豆増産支援をかつて行った。

ところが、今では大半が輸入大豆である。2013年の大豆の国内需要見通しは約230万トンで、うち160万~170万トンが輸入である。大半が米国からの、しかもインドネシア政府公認の遺伝子組み換え大豆である。粒が大きい、価格が国産より安い、供給が安定している、味も国産大豆より美味しい、との理由で、豆腐・テンペ業者は輸入大豆を選好する。

今回の大豆の問題は、イスラム教の断食明け大祭(レバラン)前に価格が急騰したニンニクとほぼ同じである。結局、利益を得るのは輸入業者であり、価格操作やカルテルの疑惑が生じる。政治家も利権に群がり、汚職へ走る。国産大豆増産へ戻るのはもはや手遅れである。

 

http://news.nna.jp/cgi-bin/asia/asia_kijidsp.cgi?id=20130919idr020A

※これらの記事は、アジア経済ビジネス情報を発信するNNA(株式会社エヌ・エヌ・エー)の許可を得て掲載しております。

 

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