【インドネシア政経ウォッチ】第72回 憲法違反でも選挙は実施(2014年1月30日)

憲法裁判所は1月23日、国会議員選挙と分けて大統領選挙を行うことは憲法違反との判断を下した。インドネシア大学のエフェンディ・ガザリ講師と『同時選挙のための国民連合』という団体が求めた違憲審査が認められたことになる。

憲法の第6A条2項には「大統領・副大統領候補ペアは、総選挙参加政党もしくはその複数政党の連合体によって総選挙実施前に決定する」とあるほか、第22E条には「総選挙は国会議員、地方代表議会議員、正副大統領、地方議会議員を選出するために実施される」とあり、総選挙後に、政党が合従連衡して正副大統領候補ペアが決まる現状は違憲状態にあるとの判断である。

ただし、憲法裁判所は、2014年の総選挙と大統領選挙は実施準備が最終段階に入っているとして、現状のまま実施し、同時選挙は次回の19年から実施することも決定した。これに合わせて、地方議会議員選挙と地方首長選挙も、20年からの同時実施が検討されよう。

現在の制度では、国会議員選挙と地方議会選挙を「総選挙」と称して同時に実施し、その後に大統領選挙が行われるが、地方首長選挙は各州・県・市でそれらとは関係なくバラバラに実施されている。今後は国会議員選挙と大統領選挙、地方議会選挙と地方首長選挙がそれぞれ同時に実施されることになる。

今回の憲法裁判所の判断に対しては、同時選挙とすることによって費用と労力を軽減し、有権者も理性的な判断がしやすくなるとの期待がある一方、政治家からは14年の選挙が憲法違反のまま行われることへの批判もある。違憲判断で14年の総選挙・大統領選挙が中止となる可能性もあったが、結局、それは回避された。

一方、「国会議員選挙で25%以上の得票率の政党または政党連合のみが正副大統領候補ペアを出せる」という規定についても違憲審査がなされたが、憲法裁判所はそれを退けた。これにより、14年の総選挙・大統領選挙の実施に関する懸念事項は解消された。

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