【インドネシア政経ウォッチ】第88回 第1回討論会はジョコウィが圧倒(2014年6月12日)

6月9日夜、正副大統領候補による第1回のテレビ討論が生中継された。テーマは民主主義、清潔な政府、法の支配の確立である。

プラボウォ=ハッタ組の弁舌は滑らかで、さすがに演説慣れしている。しかし、話のほとんどは規範的かつ一般的な内容に終始し、司会者の質問に的確に答えられない部分もあった。他方、ジョコウィ=カラ組の弁舌はややぎこちなく、持ち時間をかなり余すなど、時間を有効に使えなかった。ただ、話のなかには電子政府システムの構築や地方への予算施行など、 細かいテクニカルな内容も含まれ、司会者の質問にもほぼ的確に答えていた。

圧巻は、両者間での相互質問だった。ジョコウィ=カラ組のカラは、プラボウォが大統領に当選した場合、彼自身が関わったとされる活動家の拉致・行方不明事件など過去の人権問題へどう対処するかを質した。プラボウォは「自身が軍職を解かれたのは上官の判断」「人権問題に関わったかどうかは上官に聞いてほしい」とやや感情的に答えたが、その判断が不当であるとは訴えなかった。

間接的だが、プラボウォは公開の場でその上官の判断を容認したのである。そして、「爆弾などを使って国家破壊を企てる者たちから国を守ってきた」「罪のない多くの国民を守ってきたのが自分だ」と強調した。過去の人権問題への対応に関する答えはなかった。

一方、プラボウォはジョコウィに対して、金のかかる地方首長選挙や地方政府分立への対処法を質した。ジョコウィは、地方首長選挙の一括開催や開発効果を基にした地方政府分立案の検討を通じて、予算節約を図ると答えた。国家予算を使って地方政府を中央に従わせる「予算政治」という用語を使った。

途中、プラボウォ=ハッタ組がジョコウィ=カラ組の主張する電子政府システムに賛成するなど、第1回討論はジョコウィ=カラ組が圧倒したという見方がソーシャルメディアでは支配的だった。大統領選挙投票までにテレビ討論はさらに4回開催される。

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