【インドネシア政経ウォッチ】第98回 難しいカカオの品質向上(2014年9月4日)

インドネシアがコートジボアールに次ぐ世界第2位のカカオ生産国であることは、日本であまり知られていない。インドネシアのカカオは、その多くが未発酵カカオであり、チョコレート原材料としてこれまで重視されてこなかった。実際、インドネシア製のチョコレートでも、香りを出すためにガーナ産の発酵カカオを3割ほど混ぜている。

なぜ未発酵カカオが主なのか。それは、発酵カカオと未発酵カカオとの買付価格にほとんど差がないためである。カカオを発酵させるには7~10日間かかる。しかし価格差がなければ、農民は未発酵のまま売って早く現金を手にしたい。

ビスケットやパンなどに使われる低級チョコや、化粧品などに使われるカカオ油脂は、発酵カカオでも未発酵カカオでも中身に変わりはない。このため、カカオの輸出業者がチョコレート用以外の用途に使うカカオを手早く安定的に調達するため、発酵カカオと未発酵カカオを区別しなかったものとみられる。

ただ、2010年からカカオ豆に輸出税がかけられたことを契機に、この状況に変化が現れた。カカオバターやカカオパウダーなどを製造するカカオ加工工場の建設が進められ、カカオ豆の流れが輸出業者から加工工場へと変化したのである。10年のカカオ輸出は約45万トン、工場向けは約15万トンだったが、12年には前者が約16万トン、後者が約31万トンに逆転した。加工工場が未発酵カカオと発酵カカオとの価格差を1キログラム当たり約2,000ルピア(約18円)としたことで、品質向上への期待も高まった。

現在のカカオの国際市況は過去最高に近い状況で、輸出商の買取価格は3万8,000ルピアに達している。他方、加工工場は稼働に必要な需要を満たすため、輸入のほか、たとえ未発酵カカオでも買取価格にプレミアムを付け、輸出商の買取価格よりも高く提示する。このため、農家レベルではやはり未発酵カカオを選好する傾向が改まらない。インドネシアのカカオは、再び、品質向上の契機を失ってしまうのだろうか。