【インドネシア政経ウォッチ】第107回 スンダ海峡大橋の建設を凍結(2014年11月6日)

ジョコウィ新政権の重要課題の一つは、言うまでもなくインフラ整備である。しかし、インフラ整備への取り組み方については、ユドヨノ前政権とは異なる考えを示し始めた。

10月31日、アンドリノフ・チャニアゴ国家開発計画大臣/国家開発企画庁(バペナス)長官は、ジャワ島とスマトラ島を結ぶスンダ海峡大橋の建設計画を凍結することを明らかにした。その理由として、225兆ルピア(約2兆1,000億円)という膨大な投資額に加え、既存の連絡船舶や港湾整備のほうが喫緊の課題であることを挙げた。

インフラが整っていない東部との地域格差を助長することや、周辺・沿線の不動産価格の高騰により住民に低価格で住宅を提供することが困難になることも問題とみている。スンダ海峡大橋は、海洋利用、人間・コミュニティ開発を優先する新政権の方針にマッチしない、という判断である。

スンダ海峡大橋の建設は、スカルノ時代の1960年から構想されていたが、具体化は2009年にランプン州とバンテン州がプレF/S調査結果を公表してからである。スマトラ南部で豊富な石油ガス・石炭といった天然資源を首都ジャカルタ周辺に供給しやすくし、一大産業開発ベルト地帯をつくることが計画されていた。

当時、半島部のマラッカとスマトラ島のドゥマイとを結ぶマラッカ海峡大橋の構想がマレーシアから出されていた。政府は、スンダ海峡大橋を優先してより早期の建設を推進する方針を打ち出し、ユドヨノ政権では経済開発加速化・拡充マスタープラン(MP3EI)の目玉とした。

その旗振り役を務めたのが南スマトラ州出身のハッタ・ラジャサ経済調整大臣(当時)であり、副大統領候補(後に落選)となったハッタの後任であるハイルル・タンジュン経済調整大臣も、在任中に建設促進のための政府機関づくりを急いだが、結局、実現しなかった。

スンダ海峡大橋計画の凍結は、インフラ問題解決を最優先するという新政権の意向が如実に示されたものである。MP3EIも見直される見込みで、中進国入りを視野に入れた中長期のインフラ整備計画がしっかり立てられるのかどうか、気になるところである。

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