【インドネシア政経ウォッチ】第110回 検事総長任命の裏側に中国?(2014年11月27日)

ジョコウィ大統領は11月20日、延び延びになっていた検事総長のポストに全国民主党(NasDem)所属のプラスティヨ国会議員を任命した。

「働く内閣」を標榜するジョコウィ政権はプロフェッショナル人材を重用しており、たとえプラスティヨが最高検察庁の検事の経験者でも、政治家を司法のトップに起用したことが批判を招いている。しかも、今回の人選にあたっては、NasDemのスルヤ・パロ党首の意向が強く働いたとみられる。

週刊誌『テンポ』最新号は、今回の検事総長人事とスルヤ・パロのビジネスとの関係を考察する特集を組んだ。同誌は、スルヤ・パロが自身のビジネス上の利害から、人選の遅れている検事総長、投資調整庁(BKPM)長官、国家情報庁(BIN)長官の3ポストに自身の息のかかった人物を送り込もうとしているという見方を示している。

国営石油プルタミナは11月初め、アフリカ・アンゴラの国営石油ソナンゴルから原油を調達すると発表したが、その陰にもスルヤ・パロが存在する。ソナンゴルからの原油は中国ソナンゴル社を経由し、シンガポールのペトラルを通じてプルタミナが輸入する形をとっているが、スルヤ・パロは、中国ソナンゴル社株70%を持つ徐京華(サム・パ)と組んでいる。

二人は2000年にシンガポールで偶然出会った後、協力関係を築いてきた。両者で東ジャワ州のチェプ油田でのエクソン・モービル株を4.5%取得したほか、ジャカルタ首都特別州知事時代のジョコウィにも接触し、大量高速公共交通システム(MRT)事業などにかかる中国からの投資案件を強力にオファーしてきた。

果たして、検事総長などの人事にも、スルヤ・パロらを通じて、中国の意向が反映されているのだろうか。徐は中国のアフリカ進出における中心的な役割を果たし、ジンバブエのムガベ大統領再選など、政界工作も盛んに行った過去がある。欧米が嫌う彼は中国の石油ビジネス輸入を仕切っている。中国が彼を使ってアフリカで行ったことをきちんと学んでおく必要がある。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください