【インドネシア政経ウォッチ】第131回 大統領と副大統領の確執(2015年6月10日)

このところ、事あるごとに、ジョコ・ウィドド大統領とユスフ・カラ副大統領との間の意見の相違が表面化している。

直近の出来事としては、全インドネシア・サッカー連盟(PSSI)活動凍結問題がある。組織運営に問題があるとして、イマム青年スポーツ大臣がPSSIの活動凍結を決定し、ジョコウィ大統領もそれを支持した。それに対して、カラ副大統領はPSSI活動凍結の見直しを強く求めたが、イマム大臣は決定を覆さなかった。

PSSIの活動凍結の背景には、政治家がPSSIに影響を与える傾向が強まったことがある。とくに、ゴルカル党のアブリザル・バクリ党首はPSSI傘下の複数クラブチームを持ち、大統領立候補など自身の政治的野心のためにPSSIを利用する懸念があった。ジョコウィ大統領からすれば、現在でも動員力のある PSSIを通じて政治的圧力を受ける恐れがあり、政権基盤の安定にはPSSI活動凍結が有益と判断したとみられる。

ジョコウィ政権は、2つに分裂したゴルカル党のうち、アグン・ラクソノ前副党首を党首とするグループを正統と認め、アブリザル・バクリ党首派を切り捨てようとした。しかし、行政裁判所がアブリザル・バクリ党首の正統性を認めたため、元ゴルカル党党首でもあるカラ副大統領が両派の仲介に当たっている。アチェ和平など紛争終結に努めてきたカラ副大統領は、敵と味方を峻別せず、両者を包含してゴルカル党を丸くまとめようと試みているように見える。

カラ副大統領は以前、ユドヨノ大統領と組んで副大統領を務めた際、「真の大統領」とメディアに名付けられるほどのやり手ぶりを見せ、警戒したユドヨノ大統領が2期目には組まなかった過去がある。

ジョコ・ウィドド大統領がルフト・パンジャイタン氏を長とする大統領府オフィスを新設したのも、同様の警戒の表れである。カラ副大統領は「事前に話がなかった」として、同オフィスの新設に反発した。両者は、ブディ・グナワン氏をめぐる国家警察長官人事でも対立した。大統領と副大統領との確執はまだまだ続きそうである。

 

 

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