Dari K カカオ農園ツアーコーディネーター(2018年8月18〜24日)

インドネシアの西スラウェシ州ポレワリ県へ、約30名の参加者をお連れしました。彼らの多くは日本のチョコレート愛好家で、インドネシアは初めての方が大半でした。このツアーで、カカオの栽培、発酵、乾燥、加工処理の一連のプロセスとそれを行っている農村や地域の様子を色々と学んでいただきました。

ツアー参加者は、カカオ農家と直接会い、「カカオ農家の努力なしに美味しいチョコレートは食べられない」として、心からの感謝を表明しました。 一方, カカオ農家は、チョコレート消費者であるツアー参加者との出会いがとても嬉しく、良いカカオ豆を生産するためのやる気を膨らませていました。

ツアー参加者はまた、地元の小学生と一緒に、カカオ豆からチョコレートを作るワークショップを行いました。小学生の中にはカカオ農家の子供もいます。でも、ツアー参加者も子供達も、カカオ豆からチョコレートを作るのは初めての経験で、お互いに思い出に残る機会となったことでしょう。

このツアーを通じた、生産者と消費者間のこうした交流によって、相互に尊重し合う、モノづくりの新しい関係が作られていくことを願っています。

【スラバヤの風-33】変わるスラウェシのカカオ生産

インドネシアのカカオについて学ぶ大学生のスタディツアーのお手伝いをする機会があった。ジャカルタやスラバヤでチョコレートの生産・販売・消費を調べた後、西スラウェシ州ポレワリでは、京都でチョコレートの製造・販売を行うダリ・ケー社のスタディツアーに便乗し、カカオ農家の現状を学んだ。

IMG_3320

インドネシアのカカオ農家のほとんどは小農である。農家から集配商人、輸出業者へ至る流通マージンは小さく、国際価格の変動が買い取り価格へ直結する。なお、アフリカ諸国のようなカカオをめぐる児童労働の問題は存在しない。

インドネシア産カカオは未発酵の低級品で、これまでほぼ全量が豆のまま輸出されてきた。国際市場での評価が低いためか、国内で発酵カカオ豆と未発酵カカオ豆の価格差はなく、発酵カカオ豆を生産する動機がなかった。実際、未発酵カカオ豆にも化粧品材料などの国際市場が存在する。

今、その状況が変わりつつある。きっかけは、2010年にカカオ豆の輸出に5〜15%の輸出税が課せられるようになったことである。これに伴い、輸入元の外国企業がインドネシア国内にカカオ加工工場を立地させ始めた。

ところが、加工工場の要求水準を満たす発酵カカオ豆は、国内から量的にまだ調達できず、輸入が必要となる状況である。そこで加工工場は、買い取り価格にプレミアムを付け、発酵・未発酵を問わず、カカオ豆の確保へ動いた。なかには、未発酵カカオ豆を買い取って自前で発酵させるところさえ現れた。その結果、加工工場による未発酵カカオ豆の買い取り価格が、仕向地への輸送コストを引いた国際価格を上回る事態が生じた。

こうして、カカオ豆の流れは、従来の輸出向けから加工工場向けへ大きくシフトした。加工工場は発酵・未発酵カカオ豆の価格に差を付け、農家レベルでも発酵カカオ豆を生産する機運が生まれ始めたのである。

インドネシアはガーナを抜いて世界第2位のカカオ生産国となった。低級品といわれたカカオでも、しっかり発酵させれば、良質のチョコレートになることは、ダリ・ケー社の高級チョコレートが証明している。

そのダリ・ケー社は、西欧製のチョコレート製造機械をポレワリのカカオ農家に設置した。利幅の最も大きい最終工程を農家の手に委ねるのである。さらに、カカオの滓を使うバイオガス発電構想もある。これからスラウェシのカカオにどんな変革が起こるのか注目される。

 

(2014年9月19日執筆)

 

 

Dari K カカオ農園ツアーに同行

8月22〜27日、京都のチョコレート会社であるDari K主催のカカオ農園ツアーに同行した。日本からの参加者は45名、2台のバスに分乗して、南スラウェシ州マカッサルを出発し、Dari Kの提携カカオ農家のある西スラウェシ州ポレワリ県へ向かった。

ポレワリ県では、カカオ農園を訪問して苗木を植樹したり、カカオの実を割って中の果肉を味わったり、カカオ農家から栽培の苦労談を聞いたりした。また、カカオの接ぎ木の仕方、カカオの発酵や天日干しの様子、集荷と分別の作業、農家と商人との取引状況なども観察した。

2015-08-23 11.04.41

カカオの実を取った残り滓(カカオポッド)を利用したバイオガス発生装置も見学し、今後はバイオガスから電気を作り、チョコレート製造機械やカカオ農家へ配電する計画がある。

ほかにも、カカオ農家のお宅で心づくしの食事を振る舞われ、郷土菓子作りの体験もあった。

島まで渡って海遊びもした。

2015-08-25 08.51.21-2

地元の郷土芸能「踊る馬」に参加者の女性6人が挑戦したり、伝統楽器の体験・演奏もあった。

ポレワリ県にとっては、外国人観光客が一度にこんなに大勢で来ることは滅多になく、県観光局を中心に県をあげての歓待となった。

ポレワリ県からマカッサルへ戻り、マカッサルの夕日を拝むことができた。

2015-08-26 17.59.17-1

通訳兼コーディネーター役を担った同行で、最後には声が枯れてしまったが、このツアーが今後一層中身の濃いものとなるための材料も色々と得ることができた。

日本のチョコレート愛好者たちが原材料のカカオを作る農家を訪ねる旅は、参加者にとってチョコレートやカカオをより深く知る機会となった一方、カカオ農家にとっても、日本からお客さんが来ることで、自分たちのカカオが美味しいチョコレートになることを改めて感じて、質の良いカカオ作りに意欲が湧く、という話があった。生産者と消費者の信頼関係は、国を超えてもしっかり作ることができる可能性を強く感じた。

45人の参加者の満足度が気になるところだが、彼らは自ら「ダリケーキラキラチョコ大使」を名乗り、ツアーの経験とDari Kの良さを発信する役目を果たすと勝手に動き始めた。

次回のツアーは、さらにパワーアップした内容で臨みたいと今からワクワクしている。興味のある方は、是非、次回のツアーへご参加を。

 

「Dari Kと行くカカオ農園ツアー2015」のお知らせ

いつもお世話になっております。松井グローカル代表の松井和久です。

今回は、私がアドバイザーを務めるダリケー株式会社が企画・実施する「Dari Kと行くカカオ農園ツアー2015」(8月22〜28日)へのお誘いです。

IMG_3321

このツアーは、Dari Kが提供するチョコレート・カカオ加工製品の原料である西スラウェシ州・ポレワリ県のカカオの生産現場を単に訪れるだけではありません。

カカオ生産農家やカカオ商人の方々と直に話し合ったり、カカオの苗木を植えたり、発酵カカオを使って実際にチョコレートを作ってみたり、カカオの滓を使ったバイオガス生成の様子をみたり、盛りだくさんの内容です。

カカオのことを学ぶ以外にも、農村を歩いて色々なことを発見したり、沖合の島でくつろいだり、地元の方々の作る心づくしの食事を堪能したり、と、普通のツアーでは体験できない面白さを感じてもらえるはずです。

是非、皆さんにもご参加いただき、カカオとスラウェシの魅力を存分に味わっていただきたいと思います。私も、このツアーにフルで同行いたします。

ツアーへのお申し込みは、以下のサイトからお願いいたします。
http://www.jeps.co.jp/tours/indonesia/darik_cacao.html

なお、参加者多数の場合には、8月15〜21日にも実施する可能性があります。こちらの日程のほうが都合が良いという方も、ご連絡いただければと思います。また、「全日程ではなく3〜4日ぐらいなら参加してみたい」という方も、私までご相談ください。

8月、スラウェシでお会いしましょう!

IMG_3313

【マカッサル】トアルコ・カフェがオープン

6月8日、マカッサルへ行った際に、たまたま、トアルコ・カフェのオープンに立ち会うことができた。

このカフェは、日本のキーコーヒーが出資し、コーヒー農園とコーヒー集荷・輸出を手がけるトアルコ・トラジャが経営する直営のカフェ。すなわち、あのトアルコ・トラジャのトラジャコーヒーが産地直送で飲める、のである。

店内は清潔で、意外に広い。落ち着いた色調の内装でまとめられており、殺風景で音楽が無神経に鳴り、若者たちのタバコの煙であふれる、雑然としたマカッサルの一般のカフェとは明らかに一線を画している。ここなら、ゆっくりと静かにくつろげそうだ。

さっそく、トラジャコーヒーを注文。出てきたコーヒーは、これまでにトアルコ・トラジャのコーヒー農園や東京のキーコーヒー本社でいただいたものと全く同じ味のコーヒーだった。とうとう、これがマカッサルで飲めるとは。

次に、ケーキが美味しいと聞いたので、リングシューとストロベリーショートケーキを両方食べてみる。この際だから、カロリーのことを一瞬忘れることにする。

リングシューは生クリームとカスタードクリームが入り、とくに生クリームのミルクの美味しさがしっかり出ていてビックリ。生地もサクサクしていて、とても美味しい。

イチゴシュークリームは、ケーキ生地がしっとりとしており、生クリームがやはり美味しい。日本に比べればイチゴは今ひとつだが、十分に合格点をあげられる。なお、イチゴは、地元の南スラウェシでも作られており、さらなる品種改良が進められればと思う。

この二つのケーキとも、インドネシアのスイーツにありがちな激甘さがない。日本人好みの甘すぎないケーキである。これら以外にも、なめらかプリンなどもある。

コーヒーやケーキ以外にも、オムライス、カレーライス、スパゲティーといった日本の洋食ものを中心とした食事メニューも充実している。そしてこれらも美味しいのだ。

開店までに、日本から職人を招いて、コーヒーやケーキ作りなどの指導を何か月もかけて行ってきたそうである。今はまだ、日本からの職人が駐在し、品質のチェックに余念がない。そう、今なら日本のものと同じ品質のものがこのトアルコ・カフェで味わえる、というわけである。

そう、こんなカフェを待っていた。現時点では、スラバヤにはこのレベルのスイーツやコーヒーが楽しめる静かなカフェはない。おそらく、ジャカルタでも極めて少ないのではないか。トアルコ・カフェがコーヒー輸出の地元であるマカッサルから始まった、ということが個人的にはとてつもなく嬉しい。

マカッサルで成功したら、次は、バリ島やスラバヤなどへの展開も是非考えて欲しいところだ。

トアルコ・カフェは、Jl. Latimojongのスズキのディーラーのすぐ前にある。マカッサルに行かれたら、ぜひ立ち寄って、本物のトラジャコーヒーと日本並みに美味しいケーキや洋食を存分に味わってほしい。

さあ、コーヒーの次は、スラウェシのカカオで世界最高のチョコレート、だ。