ソト・アヤム屋のイメージを変える店

今日のインドネシアは、ヒンドゥー教の「正月」ニュピで祝日。友人に誘われて、ランチを一緒にしたのですが、行き先はソト・アヤムの店。

ソト・アヤムは、ちょっと煮込んだスープに鶏肉の入った濃い味のスープのことで、ジャワ島ではどこでも食べられる庶民の味です。私も大好物なのですが、地方地方によって味付けが異なり、それを探訪して味わうのが楽しみの一つです。

中ジャワや東ジャワでは、ソト・アヤムの中にご飯(インドネシア語でナシと言います)を入れて食べるのが一般的で、それはナシ・ソト・アヤムと呼ばれます。不思議なことに、ジャカルタではご飯とソト・アヤムを別々に出すのが一般的です。私は、ナシ・ソト・アヤム派です。

場末のありふれた屋台で食べるのが普通なので、そんな質素な感じのところかと思って行った先は、ソト・アヤム・チャッ・ハール。噂には聞いていましたが、これがとんでもないソト・アヤム屋でした。

ダーッと広い店内。隣のカフェとの境までたくさんの席が用意されています。メニューはなく、ソト・アヤムの一つのみ。ただし、肉はムネ肉かモモ肉か、ご飯はソトに混ぜるか分けるか、が訊かれます。

場末のソト・アヤム屋では、ソト・アヤム以外に、うずら卵や鳥皮、テンペなどが目の前にあって、それを適宜とって食べる仕組みですが、この店のテーブルにそれらはありません。レジの脇に、うずら卵の串刺しと鳥皮の串刺しが1本それぞれ5000ルピアで売られていて、別途買う仕組みになっていました。

さて、評判のソト・アヤムですが・・・

ラモンガン風(ソト屋はラモンガン県出身者が多いことに由来しているらしいです)ということで、例によってお馴染みのクルプッの粉をかけ、レモンを絞り、サンバルとケチャップ・マニスを適宜かけて、いただきます。

私がふつう食べるラモンガン風のソト・アヤムに比べると、ずいぶん濃厚でこってりした感じの味わいでした。屋台のものよりもボリュームもやや多めです。

個人的には、もう少しサラッとしているほうが好みなのですが、まあ、これはこれでいけるかな、と思いました。

この店は、つい数年前までは、今の店の先のビルの前の軒先を借りて、細々とやっていた場末のソト・アヤム屋に過ぎなかったそうですが、車が前によく停まるようになり、評判が評判を呼んで、あっという間に、店が大きく拡張したようです。

このような成功物語は、ちょっと長い時間を同じ町で過ごすと、いろいろあることに気づくように思います。以前は屋台だったのに今では有名レストラン、という事例のスラバヤで最たるものは、ワポ(Wapo: Warung Pojok)というレストランです。名前の通り、端っこの屋台だったのが、今ではショッピングモールに支店を出すほどになりました。値段が安く、ボリュームが他店の倍以上あるのが売りになっています。

インドネシア各地で、こうした小さな無数の成功物語が産まれていることでしょう。そして、その裏には、またたくさんの失敗物語もあるに違いないのです。

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