マンダール地方の踊る馬

インドネシア・西スラウェシ州ポレワリ・マンダール県には、音楽に合わせて勝手に踊り出す馬がいます。

現地のマンダール語ではサヤン・パトゥドゥ(Sayyang Patuddu)と呼ばれるこの踊る馬(kuda menari)はきれいに着飾られ、それにまたがるのは、やはりきれいに着飾った女の子です。

マンダール地方では、彼女を踊る馬に乗せ、コーランの勉強を終えたお祝いをするという伝統行事が行われてきました。
コーランの勉強を終えた女の子は、その日の夜、先生にお礼の品を贈ります。翌日、まだコーランの勉強を終わっていない女の子と一緒に踊る馬に乗るのです。二人とも、村の子です。
でも、踊る馬に乗る前に、二人はマンダール語の詩を聞きます。そして、踊る馬に乗るのですが、すぐには座らず、何も持たずに馬の上にまたがって立ち、準備ができたことを示します。準備、そう、踊る馬にまたがる準備です。
二人は馬にまたがって、村を練り歩きます。楽隊が太鼓の音を鳴らし始めると、馬が首を上下に降り、脚を上げ下げし、踊り始めます。この踊る馬に大きく揺られながら、馬上の二人が村の中を回っていきます。

この二人が村の中を踊る馬に乗って練り歩くということは、村の中にまだきれいな未婚の女の子がいることを知らせる意味もあります。村の男の子たちが彼女らを眺めて挨拶をします。

Dari Kのカカオツアーでは、毎回、違う村で、女性の参加者を募って、この踊る馬に乗る体験をしてもらっています。今回も、2頭の踊る馬に4人の参加者が挑戦しました。

このカカオツアーの踊る馬ですが、実は毎年、地元で楽しみにしている方々が大勢いるのです。数年前には、踊る馬に乗る参加者の写真がポレワリ・マンダール県の観光案内に一役買ったのでした。

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