ダリケーのカカオツアーがただのツアーでない理由

手前味噌で恐縮ですが、筆者が毎年コーディネーターとして関わっている、ダリケー主催のカカオツアーが単なるツアーではない理由について、説明したいと思います。

ダリケーというのは、京都に本社のあるカカオに関わる小さな会社です。よく、「チョコレート屋さん」と紹介されますが、正しくは、カカオの会社です。「カカオを通じて世界を変える」という社是を掲げ、インドネシア・スラウェシ島産のカカオを使ったチョコレートや関連商品を製造・販売しています。

カカオの会社ということで、チョコレートを製造・販売することはもとより、他者とコラボして、カカオ油脂を活用したリップクリーム、カカオ茶などの商品を開発・販売するほか、カカオのさらなる可能性を探って、カカオから味噌を作る試みなども行ってきました。

インドネシアは、西アフリカのコートジボアール、ガーナに続く世界2~3位のカカオ生産国であるにもかかわらず、日本ではほとんど知られていません。その理由は、インドネシア産カカオの大半が未発酵カカオだからです。なぜそうなのかの話は今回は置いておいて、ダリケーは、スラウェシ島のカカオ農家グループと組んで、発酵カカオ生産の拡大を図り、それを自社の商品に生かしています。

毎年8月に実施されるカカオツアーは、そのカカオ農家グループを訪ね、交流するツアーなのです。ツアー参加者の多くは、カカオやチョコレートが好きな方々で、家族で参加される方、大学生、お菓子業界の方、新規ビジネスを考えている方など、様々な方が参加されます。今年は、8月18~25日の日程で、20名が参加されました。

ダリケーのカカオツアーは、ただのツアーではありません。その理由は、たとえば、以下のようなものが挙げられると思います。

理由1.カカオがどんなものか五感で知ることができる!

チョコレートが大好きな方々も、その材料のカカオがどんなものなのか、すぐには想像できないのではないでしょうか。カカオ豆は、大きなカカオのなかに入っていて、それを割った、白い果肉のなかの種です。白い果肉はどんな味がするか、どうやってカカオを割るのか、そんなことを実際に経験してもらえます。

カカオ農園でカカオを五感で味わってもらいます。

そのカカオ豆がどのようにして発酵されるのか、発酵するとどれぐらいの温度になるのか、発酵されたカカオはどのように乾燥され、最終的にチョコレート原料になるのか、そのプロセスを現場で見ることができます。

理由2.参加者はカカオの苗木を植える!

参加者はそれぞれ、1本ずつカカオの苗木を植えてもらいます。カカオは3~5年ぐらいで成長して実をつけます。自分の植えたマイ・カカオがどう育っているか、ずっと楽しみに待つことができます。

理由3.カカオ農家と直接対話できる!

実際に、ダリケー向けにカカオを作っているカカオ農家さんと直接会って、対話する機会があります。参加者からの質問に、カカオ農家さんが誠実にお答えしてくれます。逆に、カカオ農家さんからツアー参加者に質問が出ることもあります。

カカオ農家さんとチョコレート消費者が直接出会う、というのがこのツアーの醍醐味なのです。生産者と消費者がお互いの存在を確認し、相互に信頼と尊敬をし合うこと。消費者であるツアー参加者は、自分たちが大好きなダリケーのチョコレートの大本を担っているカカオ農家さんに感謝の意を示す。すると、カカオ農家さんは、自分たちの作っているカカオを認めてくれたツアー参加者に感謝して、さらにより良いカカオを作るモチベーションを上げる。そんな関係が生まれていくのです。

余談ですが、今回のツアーでは、そんな農家さんのなかに、ただカカオを作るだけでなく、他の農家へ発酵のしかたを技術指導したり、他の農家さんに代わって発酵を手伝ったりする農家さんと出会いました。その彼は、「ダリケーのTシャツを着ている農家は、高品質の発酵カカオを作れる農家と見なされるので、皆、ダリケーと取引をしたいと言ってくるんだ。ダリケーのTシャツを着ることは誇りなんだ」と何度も繰り返しました。

理由4.カカオツアーはカカオだけではない!

このツアーは、カカオだけではありません。カカオ以外にも、スラウェシの地域社会や人々との交流に重きが置かれています。

そのため、カカオ農園を訪問した後も、様々なアクティビティが詰まっています。カカオに詳しくなるだけでなく、その地域の人々とも存分に触れ合う内容になっています。

たとえば、地元の市場や小学校を訪問するのですが、ただ訪問するだけではありません。そこでは、ツアー参加者にとって忘れられない数々のアクティビティが行われます。また、地元の驚きの伝統芸能を体感する機会もあります。

小学校での集合写真。ツアー参加者はまるで映画スターのようになります。

そして、このツアーの隠れた評判は、実は食事です。この食事の美味しさは、歴代のツアー参加者も絶賛しているものです。ツアー参加者の全員がお代わりをするほどです。それはどんな食事なのでしょうか。どこで誰が作っているのでしょうか。

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あんまり細かく書くとネタバレになってしまうので、この辺で留めておきますが、毎年参加していただいても、マンネリにならない工夫を常にしています。

なお、本ブログの過去記事でもこのカカオツアーの話を書きました。あえてリンクは載せませんが、そちらをさがして読んでいただければ、ツアー内容についてのヒントが分かるはずです。

マンネリを避けると同時に、時間に追い立てられることなく、参加者の皆さんに、ゆったりといい時間を過ごしていただくことも重視した、スケジュールを組んでいます。たとえば、フィールドへ出るのは、日中の日差しが強く暑い時間帯を避ける、といった点をもちろん考慮しています。

天候がよければ、日本では見られない、マカッサルの夕陽も楽しめます

このツアーは、日本からの参加者以外に、インドネシアや外国在住の方々も、現地(マカッサルまたはジャカルタ)集合の形で参加することが可能です。

筆者も、今回で6回目のツアー引率を務めましたが、毎年、進化を遂げるツアーだと感じています。来年はどんなツアーになるのでしょうか。

今、このブログを読んでいらっしゃるあなたと、必ずや来年ツアーでお会いできることを楽しみにしております。

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