別の未来を始めよう!

シンガポールの女性軍人採用の広告です。リクルートメント・フェアをOCBCスクエアで12月2・3日に開催する、と告知されています。

3人とも、爽やかな笑顔が印象的で、「別の未来」というのがちょっと素敵なフレーズです。その意味は、実は、きっと、なかなか複雑なのかもしれませんが。

シンガポールの男子には徴兵制があります。17歳で徴兵検査を受ける義務があり、適性と判断されると、18歳で召集され、予備役だと、2年間に年間最長で40日間の兵役義務が課せられます。ただし、大学等へ進学する場合には延期が可能で、卒業後などに兵役義務を果たすことになります。

ただし、兵役では、軍事部門だけでなく、消防などの非軍事部門にも配属されるそうです。そして、兵役終了後も13年間は予備役に就くそうです。兵役拒否は良心的であろうとなかろうと難しいとか。

こうした文脈で、この「別の未来を始めよう!」を見ると、シンガポールの少子高齢化の影響が想像できます。このままでは、十分な数の若者を徴募兵として確保できず、また、予備役の動員も現実的には難しいため、兵役義務のない女性をも軍人として採用しようとすることを盛んに行なっていかなければならないのではないでしょうか。

前回のブログの水問題もそうですが、小国であるシンガポールには、自分で自分の国を守らなければならないという危機感があると感じます。

この広告のすぐそばには、「クマちゃんメリークリスマス!(Have a Beary Merry Christmas !)」と、早くもクリスマス気分全開の飾り付けがありました。

シンガポールがテロリストの標的になるかもしれないという不安もある中、彼女たちの「別の未来」が、こうしたほんわかした世界と別の未来にならないことを願ってしまいました。

トウガラシの花、ジャガイモの花

インドネシア・東ロンボク県センバルン郡の野菜畑を歩きながら、出会ったのは野菜だけでなく、野菜の花たちでした。

トウガラシの花を初めて見ました。小さな白い花でした。

あまり目立たない、白い色の控えめな佇まいでした。質素な感じもします。

周りは、見渡す限りのトウガラシ畑。そういえば、トウガラシのことをロンボクともいうのです。ロンボク島はトウガラシの島、なのです。

続いて、ジャガイモの花。

あの不恰好な形のジャガイモからは想像もつかない、素敵な花でした。

このジャガイモ畑から獲れるジャガイモは、インドネシアの食品大手企業との契約栽培です。かつてはニンニクの第産地として名高かったセンバルン郡でしたが、政府によるニンニク輸入拡大政策の影響で、ニンニクから他作物への転作が必要になったとき、転作作物として、東ロンボク県政府が食品大手企業とのジャガイモの契約栽培の話を持ってきたそうです。

それにしても、こうした花が咲くからこそ、実がなるのだ、という当たり前のことに気づかされます。そう思うと、野菜の花の可憐さが愛おしく感じられます。

今週は、とにかく報告書原稿を仕上げなければなりません。そんな合間に、こんなブログも書いてみたくなります。

センバルンの夜は寒かった

東ロンボク県のセンバルンは、このブログでも取り上げたように、標高1000メートル以上の高原に立地しています。高原野菜の産地で、あらゆる野菜が栽培されています。

とくに盛んなのは、トウガラシ、ジャガイモ、シャロット(赤ワケギ)、ニンニク、キャベツ、レタス、ナス、トマト、ブロッコリー、スイートコーンなどの野菜。イチゴ、メロン、オレンジなどの果物。

メロンとスイートコーンは、BSDのイオンモールで売られていますので、きっと見たことのある方も多いことでしょう。センバルン産とはどこにも書いてありませんけれども。

センバルンは、リンジャニ山への登山口でもあり、土日ともなると、登山の観光客などで賑わいます。観光客が帰る前に、畑へ行くと、実は、そこで野菜や果物を直接買うことができるのです(土日のみ)。

畑への入場料として15,000ルピアを払い、好きなだけ摘み取って、キロ当たりいくらで買うことができます。観光農園ではないのですが、フツーの畑でそれをやっています。

センバルンの農地は火山灰土で水はけが良く、土中に病原菌がないというニュージーランドの専門家の調査があるようです。ジャガイモもニンニクも、インドネシア各地で病気にやられていたときに、センバルンでは病気が発生しなかったということです。

ジャガイモの大半は大手食品メーカーのインドフードと契約栽培していますが、インドフードはこの病気フリーのジャガイモというところに目をつけたものと思われます。

畑地では、次々に栽培する作物を変えながら連作障害を避ける工夫をしています。

もっとも、有機栽培というわけではなく、化学肥料をけっこう使用していました。かつては肥料も農薬も使わなかった、ということなのですが。

それはそうと、今回は、初めてセンバルンに泊まりました。センバルンには、何軒か宿泊できる宿があり、意外に清潔で新しいところがあります。私が泊まったのは、Pesona Rinjaniという宿で、コテージで1泊50万ルピアでした。

宿の前には広い敷地があり、コテージがいっぱいになると、そこにテントを張ってお客さんに泊まってもらうこともあるのだそうです。

宿の目の前には、リンジャニ山がドーンとそびえていて、雄大な眺めです。

しかし、センバルンの夜を侮っていました。夜の気温は、おそらく10度前後まで下がり、部屋にある毛布1枚ではとても寒い。長袖のウィンドブレーカーを着ていても、夜風が冷たく、寒くて仕方ありませんでした。

お連れした兵庫県の方々も、「まさかロンボクでクーラーなしでもこんな寒い経験をするとは思わなかった」と言っておられました(怒っていたわけではないので助かりましたが・・・)。

そして、朝8時過ぎになると、急速に気温が上がり、汗ばんできます。この昼夜の気温の差がまた野菜栽培に適しているのかもしれません。

インドネシアで涼を求める方には、センバルンでの宿泊をお勧めします。ただし、寝袋や温かいオーバーなどを忘れずに。

今年2回目のセンバルン訪問

リンジャニ山の東側に広がるセンバルン地区。今回は2回目の訪問でした。

標高1000メートル以上の高原地帯で、涼しい気候を利用した高原野菜・果樹栽培が盛んです。肥沃な火山灰土のおかげで、ほとんどの種類の野菜を作ることができ、しかも、病気フリー。それに目をつけたインドフードなどの大企業が契約栽培を手広く行っています。

ここで栽培されたメロンは、ジャカルタ近郊のイオンモールでも販売されているとか。甘い、です。

酸っぱくないイチゴ、甘さはイマイチですが。アメリカ原産の苗で栽培。

センバルンは、リンジャニ山へ登る登山者たちの中継地点でもあり、土日ともなると、登山を終えた人々が帰る前に畑に寄って、直接、野菜や果物を買う光景も見られるといいます。そうした畑では、入場料1万ルピアを払ってもらい、自分で摘んでキロ単位いくらで購入し、お土産にするのだそうです。

センバルンで宿泊できるゲストハウスのようなところがいくつかあります。設備の面からはホテル並みとは言えませんし、Wifiがあるわけでもないのですが、意外にとt乗っている印象でした。最近できた小ホテルの部屋はこんな感じです。

まだまだ設備は貧弱ですが、あと10年もすると、ゲストハウスがたくさん道沿いに現れていくのでしょうか。

東ロンボク県の県都セロンからセンバルンへ向かう途中に、ロンボク植物園の看板があります。この植物園は国立ではなく、東ロンボク県政府が音頭をとって、小スンダ列島の植生を研究するセンターとして育てたい意向です。開業は2017年です。

自分の知らない東京

東京に住みながら、これまで見たことのなかった東京に出会うと、なんだかとても嬉しい気持ちになります。

昨日の夕方、夕暮れに向かう赤坂で、ふと見上げたときの一枚。

工事現場の2台のクレーンの間の青空と雲。秋の気配を感じるような、雲の形と流れ。きっと、あと1年もすると、ここには大きなビルが建てられ、こんな光景は見られなくなることでしょう。

ちょうど、「土木展」を観たあとだったせいか、珍しく、ちょっと無機質な写真を撮りたくなったのでした。

続いて、夜。

ふと、勝どき橋へ向かって、隅田川沿いを歩いてみました。

スマホ写真なので、ボケてしまいましたが、東京タワーを臨み、その手前に築地市場。築地市場は隅田川沿いに立地しているのだ、と改めて納得し、でも、今や隅田川を通しての水産物のやり取りはないのだなあ、とふと思いました。

勝どき橋には緑色の装飾がありました。

海からの風に吹かれながら、勝どき橋から南のほうへ歩いて行くと、もう一つ橋がかかっています。でも、暗いままで、何も明かりが点いていません。この橋を渡って、新橋のほうへ行けるのだろうか。と思って、近づいてみると。

なるほど、今、築地市場移転問題で話題になっている、例の橋でした。工事は11月30日まで、と書かれています。もちろん、渡れないので、勝どき橋へ戻りました。

この橋の向かって左側にも築地市場の一部があります。そう、この橋が築地市場の中を突き抜いている形になっています。なるほどね。

築地市場移転問題は、まだしばらく紆余曲折ありそうですが、結局は、新たな打開策なく、世論の関心が落ち着いた頃を見計らって、収まってしまうシナリオでしょうか。

それはそうとしても、東京タワーを背に、隅田川の反対側から見る築地市場の風景は、なかなか絵になるような気がしました。

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