枝豆のジュンブル県を訪問

12月17〜19日の予定で、東ジャワ州ジュンブル県とバニュワンギ県を訪問し、投資環境情報を収集中です。この2県は、スラバヤにてよく話題にのぼり、なぜそんなに注目されているのか、一度行ってみて中身を確かめたいと思っていました。

この2県には、スラバヤから直行便が飛んでいます。一つの州のなかだけで直行便が複数ルート飛ぶというのは、広大なパプア州などを除いてとても珍しいことです。

ジュンブル県へは、1日1便、ガルーダ・インドネシア航空がプロペラ機を飛ばしています。時間節約のため、今回はこれでスラバヤからジュンブルへ飛びました。

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ジュンブル空港にて

ジュンブル県は、もともと高級葉タバコの産地。国内のタバコ工場へ出荷するだけでなく、葉巻などの原材料としてヨーロッパへ輸出されています。葉タバコ栽培やタバコ工場が大きな雇用機会となっていますが、近年、合理化のためタバコ工場が相次いで閉鎖されたことが大きな話題となっています。

今回は、中銀であるインドネシア銀行ジュンブル支店のお世話になっています。インドネシア銀行はもともとオランダ植民地時代のジャワ銀行を前身としており、単なる金融管理だけでなく、CSRとして地場の事業者育成や地域振興に対しても取り組んでいます。ジュンブル支店は今回訪問したジュンブル県、バニュワンギ県のほか、ルマジャン県、ボンドウォソ県、シトゥボンド県の計5県を管轄しています。

インドネシア銀行ジュンブル支店のアレンジで、ジュンブルにあるインドネシア国内最大の枝豆工場へも訪問しました。

ジュンブル県の枝豆工場にて。

ジュンブル県の枝豆工場にて。

日本へは冷凍して枝豆を輸出していますが、かつて枝豆生産がここで始まった陰に、日本のジェトロ(日本貿易振興機構)の貢献が大きかったことを遅ればせながら知ることができました。

これからどのように生産規模を大きくしていくか、原材料供給増のためにどのように農家レベルでの枝豆生産を増加させていくかが課題となっています。枝豆自体は、インドネシアでは、通常の大豆よりもかなり価格が高く、消費者から見ればまだ高級品ですが、健康食品としての認知度が高まっており、Edamameという日本語が定着しつつあります。

今回は時間の関係で訪問できませんでしたが、ジュンブルには農業省管轄のコーヒー・カカオ研究所があります。次回、訪問する機会があれば、この研究所にも行ってみたいと思います。

また、ジュンブルは、ジュンブル・ファッション・カーニバル(JFC)というイベントでも有名で、毎年、違ったテーマを決めて、様々に工夫をこらしたコスチュームをまとった人々が街中を練り歩きます。この時期には、約10万人の観光客が訪れ、ジュンブルのホテルだけでは訪問者を収容できず、近隣のボンドウォソやルマジャンのホテルにまで人があふれるそうです。現在、ジョコウィ大統領が市長を務めていた時のソロをはじめ、インドネシアでは約20の地方自治体でカーニバルを行なっていますが、それを最初に始めたのがこのジュンブルだったとのことです。

なお、今回の訪問中に、地元のメディアからインタビューを受け、KISS FMというラジオ局の記事になりました。参考までにリンクを貼ります。私が話したニュアンスとはちょっと違うのですが、まあ、しかたないでしょう。

Investor Jepang Tertarik Berinvestasi di Jember Dan Banyuwangi

今回のジュンブル県、バニュワンギ県での投資環境調査の詳細については、別途、ジェトロへの報告書として公表する予定です。

JETROジャカルタで講演(2014.12.15)

2014年12月15日、JETROジャカルタ主催の「AECセミナー」にて、講演を行いました。

最初は、JETROバンコク事務所の伊藤博敏氏が「ASEAN経済共同体(AEC)の進捗と課題」と題して講演し、2015年に開始されるAECの進捗状況、各国の対応、何が今後の課題となるのか、について詳細な説明を行いました。

続いて、松井が「新生インドネシアのAECへの期待と不安」と題して講演し、中長期的な発展可能性と短期的な経済停滞のなかで、AEC開始によるインドネシア側の不安とそれに対するジョコウィ新政権の対応の方向性、とくに「国際海洋軸」構想についてやや詳しく論じました。

本セミナーについては、じゃかるた新聞に掲載されましたので、参考までにリンクをお知らせいたします。

AEC設立に課題山積 伊藤研究員と松井氏解説 ジェトロ講演会 (2014年12月16日)

当日は、体調が悪く、プレゼンテーション自体に精彩を欠いた部分もあったと反省しておりますが、それでも、最後までお聴きいただいた出席者の皆様に深く感謝申し上げます。

IEUというよく知らない大学で講義

12月8日の夜は、スラバヤにあるIEUという大学で「日本人ビジネスマンとのコミュニケーション」という題で講義をしました。わずか5日前に頼まれ、聞いたこともない大学だったので、少々不安を感じながら、行ってきました。

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IEUというのは、Indonesia Europa Universityの略らしく、元々は、ヨーロッパの企業がなかなかいい人材を見つけられないので、企業にとってふさわしい人材を育てるために設立されたらしいです。今も、ベルギーに本校があり、ジャカルタにも校舎があるそうです。

学生は15人、時間は3時間、と聞いていたのですが、教室に入ると出席者はわずか4人。しかも、誰もノートなど筆記用具を机の上に置いていないのです。なぜ?と聞くと、「スマホにメモるから」との答え。講義を始めて15分ぐらいすると、さらに4人の学生が入ってきました。そして、インドネシア語で講義をしていたら「英語で講義してくれ」と言われ、途中で英語にスイッチ。彼らもまた、机の上には何も置いていませんでした。

パワポをきちんと準備して講義したのですが、どうやら、講義というよりも、講師と学生が経験を述べ合う形式のシェアリング(要するにおしゃべり)だそうで、「今日の講義はシリアスだった」との声も聞こえました。

ともかく、講義は何とか終了。日本の大学でもそうなのでしょうが、インドネシアでも、ジョグジャカルタの国立ガジャマダ大学や国立インドネシア大学で講義するときとは、ずいぶん学生の質が違うものだということを学びました。

今回の学生は、親が皆商売をしていて、それを継げばいい環境の子たちばかりでした。講義の最初に日本についてのプラスとマイナスの印象を聞いたところ、プラスは勤勉、時間厳守などいつもの答えだったのですが、マイナスは、フリーセックスの国、ポルノ産業が発達した国、といった答えでちょっとびっくりしました。日本のほうが文化が自由で、インドネシアは堅苦しいのだそうです。たしかに、インドネシアでは、私も名前を知らない日本のポルノ女優がけっこう有名らしく、そうした面からも日本のイメージが形成されているのだと改めて思いました。

ジャカルタで日本企業向け講義など

12月は毎週、ジャカルタ出張が入っています。第1弾は、12月2〜4日。先ほど、スラバヤへ戻りました。

メインの仕事は、12月3日の午前中、JACインドネシア様からの依頼で、ジャカルタに来訪した日本企業、株式会社ベンチャーアソシエイツの皆さんへ、インドネシア経済に関する講義を行いました。若い社員の方々が多く、初めてのインドネシアに興味津々の様子が印象的でした。講義の後は、ランチにご招待いただき、インドネシアの様々な事柄について、じっくりと質疑応答をすることができました。

JACインドネシアでの講義を終えて、株式会社ベンチャーアソシエイツの皆さんと記念撮影。

JACインドネシアでの講義を終えて、株式会社ベンチャーアソシエイツの皆さんと記念撮影。

その他に、3日の夕方には、昨年お会いした、エネルギー関係のベンチャーの方と再び意見交換をしました。その後、その方とご一緒に、国家科学院(LIPI)のバンバン副長官と夕食を交えていろんな話をすることができました。話のなかで肝要だったのは、日本とインドネシアが一緒になってどのようなイノベーションをこれから世界へ向けて創っていけるか、ということでした。そしてそれは、日本からインドネシアへ技術を移転するだけでなく、インドネシア発の技術が日本へ向かうリバース・イノベーション、さらにそれが日本からインドネシアへ、といった双方向のイノベーションの連鎖をどうやって起こしていけるか、ということでもあります。

そして、夕食の後、愛知県立大学の小座野先生と一緒に、先週、ジョグジャカルタで相手をしたガジャマダ大学の学生で、日系企業へのインターンのためにジャカルタに出てきている学生たちに会いに行きました。まだインターンが始まったばかりということもあり、みんな元気で、積極的にいろいろ吸収しようとしている姿がとても新鮮に見えました。

愛知県立大学のJapan on Track (JoT) 2014に参加し、日系企業へのインターンを開始した学生たちと小座野先生とともに。

愛知県立大学のJapan on Track (JoT) 2014に参加し、日系企業へのインターンを開始した学生たちと小座野先生とともに。

 

ガジャマダ大学での討論ワークショップなど(11月27日)

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出席者と一緒にセルフィー写真を撮影

11月27日は、10月に引き続いて、ジョグジャカルタの国立ガジャマダ大学を訪問し、大学生を相手に討論ワークショップを行いました。これは、愛知県立大学が主催する日本語再学習プログラム「ジャパン・オン・トラック」(Japan on Track [JoT])の一環として実施されたものです。参加者の一部には、日本企業でのインターンの機会が与えられます。

今回の出席者は7名と少なかったのですが、「何のためにガジャマダ大学に入ったのか」という問いから始めた討論ワークショップは、出席者の真剣な議論でそれなりの盛り上がりを見せました。大学で学ぶことと高校卒業後に働くことの違い、経験を積むということの意味、大卒でもワーカーとなることが見られる時代の対応策、ジョブホッピングをどう考えるか、といった質問を投げかけ、議論してもらいました。時間の制約から、あらかじめ用意しておいた「何のために働くのか」「何のために生きるのか」という質問から始まる討論は、割愛せざるを得ませんでした。

午後は、ジャカルタから専門家を招き、日本企業におけるビジネスマナーの基礎を、実習を交えながら学びました。和気あいあいとした雰囲気で楽しく学んだ後、振り返りのセッションで、実は、他人に不快感を与えない、清潔感を大事にする、相手によってお辞儀のしかたを変える、といったことは、インドネシアのとくにジャワ人の世界では同じように認識されているマナーであり、日本との違いよりもむしろ共通性を認識して身につけることがより効果的ではないかという気づきがありました。

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お辞儀の実習中

28日は、愛知県立大学の小座野先生も交えて、大学近くの日本料理レストラン「ひかり」にて、プログラムの終了とインターン生の走行会を兼ねたお別れ昼食会があり、私も出席しました。もちろん、最後にはみんなで記念撮影をしました。

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昼食会の後、全員で記念写真

チプトラ大学でのセミナーで講演

11月22日(土)は、スラバヤ市の西にあるチプトラ大学で開催されたセミナーで講演しました。スラバヤ市内の様々な大学の大学生約150人が出席していました。

このセミナーは、大学生を含む若い起業家(の卵)へ、お金がなくても起業できる知恵を授けることが目的のようでした。主催者のBizCommから私への要望は、日本の若い起業家が資金なしでもどんなアイディアで起業しているのか、どんな資金提供者がいるのか、紹介して欲しい、というものでした。

ちょっと困りました。今の日本が、若い起業家がどんどん育っている、輩出しているような環境とは思えなかったからです。むしろ逆に、インドネシアのほうが、そういった起業家精神に富んだ若者たちがどんどん出てきている印象を持っていました(実際、チプトラ大学は、不動産王のチプトラ氏が起業家養成のために設立した大学で、在学中に起業することが義務付けられています)。

そこでやむをえず、日本とインドネシアの今の時代背景を比較し、かつての日本の高度経済成長時を彷彿とさせるような今のインドネシアのほうが、起業を促す要素が今の日本よりは大きいこと、それでも日本の場合にはエンジェル投資やクラウド・ファンディングのような仕組み自体は存在してそれなりに活用されていること、などを話すことにしました。

今回のセミナーにこんな内容で本当に良かったのかどうか、確信は持てませんが、ともかく、30分の講演をインドネシア語で行いました。結局、内容はさておき、インドネシア語で講演したということが何だか好意的に受け止められたような感じで終わりました。

合わせて、起業家に対するモティベイターやコンサルタントの方々と新たに知り合うことができて、有意義な半日間でした。

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同じ講演者のポール氏により撮影され、フェイスブック上で公開された写真を借用しました

 

九州・アジア経営塾の研修ツアー受け入れ(11月19〜20日)

141119-KAIL Dinner Party

九州・アジア経営塾の橋田塾長(九電工)及びインドネシア銀行スラバヤ支店のジュナント副支店長と19日の夕食会にて。ジュナント氏のフェイスブックページから借用。

11月19〜20日の2日間、スラバヤを訪問した九州アジア経済塾の研修ツアーを受け入れました。

九州・アジア経営塾は、九州の産官学が共同で11年前に設立した研修期間で、40代の中堅管理職を対象に、アジアを視野に入れたリーダーとなる人材を養成している機関です。研修期間は11ヵ月で、そのなかに、海外への研修ツアーが組み込まれており、今年はインドネシアが対象となりました。

九州・アジア経営塾(KAIL)

ジャカルタでの2日間の滞在の後、一行は19日朝、スラバヤに到着。その後、ハウス・オブ・サンプルナで手作業による丁字タバコ製造の工程を見学し、併設のカフェで昼食をとった後、スラバヤ市美化公園局にて、スラバヤ市の環境美化やゴミ処理に関する活動について説明を受けました。住民主体のコミュニティレベルでのゴミ減量への取り組みに大きな興味をもった様子でした。

その後、スラバヤ市と北九州市の西原商事が協力して活動しているゴミ仕分け施設Beetleとコンポストセンターを見学し、西原商事からスラバヤに派遣されている武久さんから説明を受けました。

19日の夜は、野村在スラバヤ日本総領事、東ジャワ州投資局のリリ長官、東ジャワ州対外協力局のチプト部長、東ジャワ州商工局のリリ部長、インドネシア銀行スラバヤ支店のジュナント副支店長、西原商事の武久さんらを招いて、夕食会が行われました。

この席で、東ジャワ州投資局のリリ長官から「KAILというのはインドネシア語で釣り針という意味がある。誰かを助けるときに、モノやカネをあげるのではなく、釣り針のような道具を与えるほうがよい、というインドネシアの諺がある。KAILもこの意に沿って、今回が最初で最後ではない、ずっと続いていけるような関係を我々と一緒に作っていければと思う」という発言があり、出席者の胸にジーンと響いた様子が伺えました。

20日は、在スラバヤ日本総領事館で野村総領事からインドネシアや東ジャワ全般に関する詳細な講義があり、その後、私から東ジャワを含むインドネシアの地方でのビジネスチャンスについて講義を行いました。昼食会には、東ジャワ日本人会の西会長をお招きし、西氏の所属する味の素のインドネシアでの活動について、詳細な講義を受けました。

一行は、最後の訪問先として東ジャワ州商工会議所を訪れ、ディディ副会頭との質疑応答で、インドネシアの実業家が日本をどのように見ているのかの一端に触れることが出来ました。ディディ副会頭は、韓国や中国の台頭の実例を挙げつつ、「技術でいえばやはり日本」「日本企業はもっと果敢に競争して攻めていって欲しい」とのエールをもらいました。

研修ツアー参加者が病気になることもなく、元気に過ごせたのが何よりでした。お疲れさまでした。

当方は、通訳兼進行役という立場上、2日間の同行中はほとんど食事もとれない状態でしたが、一行を空港で見送った後、我慢できずに空港のカールス・ジュニアで食べたハラペーニョ・ハンバーガーとコーラが腹に沁みました。

 

東松島市への出張がJICA東北の記事に

2014年11月10日、宮城県東松島市で行った活動の様子が、招聘元のJICA東北のサイトで記事になりました。以下のサイトをご参照ください。

東松島市でインドネシア住民自治セミナーを開催(2014年11月10日)

記事にしてくださったJICA東北の皆様にお礼申し上げます。

震災経験自治体として、バンダ・アチェ市と東松島市との間で、さらなる学び合いの交流が深まっていくことを心から願っております。

 

日本政策金融公庫バンコク支店との会合

ホテル・オークラ・バンコクからみたバンコク市街。日本政策金融公庫バンコク支店の入っているビルの上階にある。

ホテル・オークラ・バンコクからみたバンコク市街。日本政策金融公庫バンコク支店の入っているビルの上階にある。

11月13〜16日にバンコクへ行ってきました。14日に日本政策金融公庫バンコク支店で打ち合わせがあり、日本からインドネシアへの中小企業の海外進出について、意見交換を行いました。

インドネシアでも、先の6月に、日本政策金融公庫の融資を受けている日系中小企業の懇話会が結成され、会員がお互いに情報交換を行える体制ができたということです。

それら日系中小企業の多くは二輪車・自動車関連だそうですが、この分野では、これまで何年にもわたって日系組立メーカーの下請を務めてきたインドネシア地場企業も存在し、この両者の共存・共栄関係をいかに構築していくかが、インドネシアにおける裾野産業構造の強化にとって重要であると考えられます。

このため、これら両者がお互いを知り、必要に応じて協力をし合う関係を作ることが大事ではないかと思った次第です。実際、インドネシア地場の自動車部品製造中小企業からは、日系組立メーカーとの面会・対話を求める声も上がっています。

日系と地場が対立関係ではなく、共存・共栄関係を築くという点では、日本政策金融公庫バンコク支店も同じような認識を持っていると感じました。今後、日本政策金融公庫とも連絡を取り合いながら、日系と地場との共存・共栄関係の構築へ向けて動いていける役割を果たせれば、と思っています。

 

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