ジャカルタで福島の桃と梨に出会う

9月3日、福島の桃と梨のプロモーション・イベントがジャカルタであるというので、物見遊山的に行ってきた。前日、友人のフェイスブックに情報が載っていたので、「地元出身者としては、これは行かずにはいられない」と行ってきた次第である。

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知人の加藤ひろあきさんの手慣れたバイリンガルMCで、イベントはつつがなく進んでいく。プレゼンはちょっと専門的で細かったかなという印象だが、福島県庁やJA新福島の方々が、実際に持ってきた桃や梨を手に、一生懸命プロモーションしている姿が嬉しかった。口下手でお人よしの福島人は、何かを売り込むときの押しの強さが今ひとつ、なので。

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第2部に移ると、ジャカルタの日本料理店・鳳月の高井料理長が、巧みな語りを入れながら、福島の桃や梨を素材にした素敵なデザートを作っていく。そこには、素材への慈しみが感じられ、きっと、福島の桃も梨も、彼に慈しまれて幸せなのではないか、なんて思ってしまうのであった。

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いくつかのデザート、そして、何よりもはるばる福島からやってきた桃たちや梨たちに、ジャカルタで会えるなんて、本当にありがたく、幸せな気分だった。

このイベントには、インドネシアで最も有名な料理研究家であるウィリアム・ウォンソ氏も出席していたので、名刺交換をして、お知り合いになっていただいた。彼は、プレゼンのときから熱心に説明を聞き、実際に福島の桃と梨を食し、その美味しさに驚嘆していた。

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この桃と梨、ジャカルタの高級スーパーであるランチマーケットで9月半ばまで販売されるとのこと。桃や梨という、インドネシアではあまり馴染みのない果物がどのようにマーケットに受け入れられるのか。おそらく、生食のほか、洋菓子などの素材としても注目されるかもしれない。

豊かになってきたインドネシアでは、シェフやパティシエになりたい若者が増えてくると予想される。日本では考えもつかないような、斬新な発想で、福島の桃や梨を使った一品が現れると面白い。

福島人としては、桃や梨に日本の他の生産地との違いを明確に出す戦略が取れればと思うが、それをどのように進めていけばよいのか。桃太郎といえば岡山、のような何かが欲しい。うーん、それは、福島県庁の方やJA新福島の方といろいろ楽しく考えてみたい。

と言いつつ、9月8日に帰国して、今は日本。

 

六本木に登場したMIE BAKSOへ行ってみた

8月11日、東京・六本木に登場したMIE BAKSOへ友人とランチに行ってきた。「本場インドネシア屋台料理」と銘打っているが、Mie Baksoはインドネシアの定番軽食なのだ。

インドネシア語でMieは麺、Baksoは肉団子、Mie Baksoは肉団子そばのことである。これをBaksoと略すことも多いが、その場合の主役は麺ではなく肉団子である。

ジャカルタ周辺では、Baksoといえば、肉団子以外に小麦粉の麺とビーフンがちょろっと入っているものが普通だが、スラバヤやマカッサルでは、色んな種類のBaksoが入ったもので、麺は入らない。色んな種類のBaksoには、通常の硬めの肉団子、柔らかめの肉団子、肉団子付き豆腐など4〜5種類が入る。

マカッサルでは、Baksoとは別にNyuknyangという肉団子スープがあり、前述以外に揚げ肉団子も入り、スープが染みて絶妙の味となる。Nyuknyangには、豚肉の肉団子が入ることもよくある。

 

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さて、六本木のMie Baksoだが、基本料金は900円である。

食事はセルフサービス。まず、サラダを取る。これは後でトッピングにしても良い。次にBaksoはエビ団子、魚肉団子、鶏肉団子、牛肉団子の4種類で、基本料金に含まれるのはこのうちから選んだ2個まで。3個目からは1個100円で追加できる。

ほかに、味付け玉子などの追加トッピングをする場合は、基本料金にプラスされる。

次に麺。温かい麺か冷たい麺か尋ねられる。茹で加減は問われない。選んだBaksoをのせた麺が出てくる。これで、お会計。

主役は麺である。茹で具合はシコシコ感が残る日本のラーメンと同様の仕上がり。麺の入る器は大きなラーメン丼で、インドネシアでおなじみの「味の素」や「Sasa」のロゴの入った小ぶりの椀ではない。

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私は冷たい麺、友人は温かい麺をとった。味は美味しいが、やや辛味がある以外は、とくに特徴のある味ではない。インドネシアでMie Baksoをよく食べた人間からすると、麺がちょっと多い。麺とBaksoのバランスがよくない。冷たい麺にサラダを入れて食べてみたら、それはそれでけっこう美味しかった。

給仕をしてくれたお姉さんは、インドネシア人かと思ったらフィリピン人のとても気持ちのよい方だった。店は清潔で気持ちよい。トッピング名の表記の仕方などに改良の余地がありそうだ。

インドネシアの庶民の味Mie Baksoが日本の東京の六本木に来て、精一杯背伸びしているような印象を受けた。それはそれでいいんだけれども。

加えて欲しいのは次の二つ。まず、ハーフサイズのMie Bakso。台湾担仔麺のノリで、飲んだ後の締めにピッタリだろう。次に、麺なしのBaksoスープ。Baksoの種類を増やして、それに合うスープの味を研究してもらうといいかもしれない。これもソウルフードとして気軽に食べられるものになるといいなあ。

ともかく、この六本木風背伸びしたMie Baksoが、いつかジャカルタの高級ショッピングセンターなどへ逆輸入されると面白い。そのときには、Mie Bakso Roppongiとして、もっともっとカッコよく進化しているといいなあ。

 

1泊2日でKL

3月14〜15日は、気分転換のため、マレーシアのクアラルンプールへ行き、友人と食べ歩きをした。

14日は、KLセントラルから近いバンサールを歩いた。お目当てのニョニャ料理カフェでラクサを食べたあと、ぶらぶら歩いたが、なかなか気持ちのいいところだった。

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バンサール・ショッピングセンターにある一風堂バー。博多ラーメンで名高い一風堂がラーメン店の隣に日本酒などを楽しめるバーを設けた。そこで、ワサビを使ったカクテルを味わってみようということだったが、結局、私はキュウリのモヒートを飲んだ。

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バンサール・ショッピングセンターまではちょっと距離があり、しかも坂なので、タクシーを拾おうと思ったのだが、「距離が近すぎる」ということで軒並み乗車拒否にあう。でもどうも、近くのバンサール・ビレッジとバンサール・ショッピングセンターを混同していた様子。結局、約30分かけて、徒歩で坂を登って、バンサール・ショッピングセンターにたどり着いた。ふーっ。

でも、歩いて、多少道に迷ったおかげで、バンサール・ビレッジ周辺がなかなか住むにはいいところだということが分かった。気持ちのいいカフェの一つで一休みしたが、でかいボリュームのブルーベリーチーズケーキが意外に美味しかった。

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一風堂バーで、友人となかなか気持ちのよいお酒を飲み、楽しく語り合った。

15日は、別の、昔の職場の友人と一緒に、セントラル・マーケットでニョニャ料理のランチ。ココナッツライスとおかずがベストマッチング。美味しくランチをとりながら、昔の職場の話や東南アジア研究のあり方なども含めて、話がはずんだ。

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外に出たらけっこう暑い。たまらなく、KLセントラルへ戻って、元首相のDr. Mが経営しているというカフェで、マイナス60度に凍らせたコーヒーに熱いミルクを注いで溶かして飲む、という飲み物とあんこの入ったクリームパンを食べた。おいしい!

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KLセントラルで友人とわかれ、空港へ鉄道で移動。

空港で、思い切ってiPad Mini 2を買ってしまった。32GBでRM1,569。4月から消費税6%が課せられるとのこと。インドネシアで購入するよりはずいぶん安く買うことができた。

インドネシアの税関申告書に「250ドル以上の購入品を申告せよ」とあったので、スラバヤに着いて真面目に申告したら、「真面目に申告してくれてありがとう」と暇そうな係員に言われた。

15日夜にスラバヤへ戻ったら、この土日のスラバヤは大雨だったとのこと。

16日は午前中に原稿を書き、夜10時過ぎにマカッサルに到着。日本からのお客さんと打ち合わせを午前1時までやり、その後、2時間ほど連載原稿を書いてから寝た。

今回のマカッサルはわずか2日間、しかもお客さんのお供なので、知人・友人ともあまり会えないのが残念。次回のマカッサルは、6月初めを予定しており、このときにじっくりと再会する予定。

 

Mie Gondangdiaが焼失

12月9日、ジャカルタ出張中に、Mie Gondangdiaの前を通ったら、店がなかった。黄色い線が張られていた。焼けた跡だった。

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この店にはものすごく愛着がある。今から29年前の1985年8月、研究所に就職して休暇をとり、初めてインドネシアへ旅行に来ていた。バンドンやジョグジャカルタを長距離バスでまわって、ジャカルタにたどり着き、ジャカルタに滞在していた研究所の先輩研究者Mさんの家に2日間居候させてもらった。そのとき、Mさんが連れて行ってくれたのが最初のMie Gondangdiaとの出会いだった。

Mさんがこの店を勧めてくれたのは、麺のスープに化学調味料の味がしない、ということだった。なるほど、チキンベースのあっさりしたスープは、舌に味がいつまでも残らない。麺はやや縮れた細麺で、スープにうまく絡み合う。ゆで加減が絶妙で、シコシコした麺の味わいが何とも言えなかった。

その後、ジャカルタに来るたびに、この店へ通うようになった。定番はワンタンとバッソ(牛肉団子)の入ったMie Ayamで、濃い目に味付けしたマッシュルームと青菜が麺の上にのる。麺を食べる前に、机の上にあるオタオタ(細い笹かまぼこのような練り物を焼いたもの)をピーナッツベースの甘辛ダレにつけて食べながら麺を待つ。

デザートも充実していて、よく食べたのは、仙草ゼリー入りのシロップや、缶詰の果物やタペ(キャッサバを発酵させたもの)の入ったかき氷(エス・シャンハイ)。とくに、エス・シャンハイの満足度はとても高かった。

そして今に至るまで、この店とともに私はインドネシアと関わってきたといっても過言ではない。日本から来たインドネシア研究者の友人・知人たち、インドネシア人の友人たち、そして我が家族と、何度この店で麺を食べ、冷たいデザートを楽しんで、幸せな気分になったことか。

1968年に創業したこの店は、今年で46年目だった。新聞報道によると、焼失したのは12月4日で、プロパンガスの爆発によるものだったようである。私が見たわずか5日前の出来事だったのだ。いつも番台にいた華人系の店のご主人は、ご存命なのだろうか。

2年前、ジャカルタで私の最も好きなエス・チャンプルを出していた店が閉店した。少しずつ、確実に、私を育んでくれたインドネシアの古くからの食べ物屋が消えていく。「懐かしいインドネシア」がまた一つなくなってしまった。

【ジャカルタ】サリナの地下の「筑後うどん」

12月9〜10日はジャカルタへ。実は、福岡県アジア・ビジネスセンターという機関のアドバイザーを務めているのだが、そのセンターの担当者Nさんがジャカルタへお見えになるということで、一日、ジャカルタの街中をお付き合いした次第である。

やはり、福岡からの進出企業を訪問されたいということで、当然、ラーメン店にもお邪魔したのだが、彼女のお目当ては、実は「筑後うどん」であった。

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筑後うどんは、約1ヵ月前に、ジャカルタのサリナ・デパートの地下フードコートにオープンしたうどん屋である。福岡がうどん発祥の地だということを、今回の筑後うどんを訪問して初めて知った。

さっそく、丸天うどんをいただく。西日本のうどんなので、さっぱりとした、しかしダシがきっちり利いているとても美味しい汁である。うどんはコシの強さを強調することもない代わりに、ヤワヤワでもない、丸天と食べるにはちょうどよい固さである。

Nさんから分けてもらったゴボウ天も入れて、うどんを楽しんだ。

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おいしい。ジャカルタやスラバヤで展開中の丸亀製麺とはまた違った美味しさがある。

でも、濃い味の好きなインドネシアの人たちには、まだ物足りないのではないかと思う。どんなソースや調味料を付け加えると、インドネシアの人たち好みの味になるのか、楽しく研究してみる余地がありそうな気がする。

この「筑後うどん」、スラバヤにも出店してほしいと思った。毎日通っても飽きない味。皆さんに超オススメしたい。

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筑後うどんの関係者の皆さんと一緒に

【東アフリカ】ウガリとマトケ

東アフリカの人々は何を食べているのか。そんなことを想像しながら、タンザニア、ルワンダ、ウガンダを旅した。

20年前に仕事でナイジェリアへ行ったときは、ヤムイモを臼でついたヤーム、キャッサバを臼でついたガリ、が主食で、それに、鳥肉、牛肉、野ネズミ肉などの煮込みシチューを組み合わせるのが普通だった。ヤームやガリを指に乗せ、真ん中を少し凹ませて、そこにシチューのスープを少し入れ、ひゅーっと噛まずに飲む。喉越しを味わうのである。まさか、ナイジェリアで日本そばの境地に触れるとは思っても見なかった。

今回は、パンも食べた。米もけっこう食べた。アフリカの食糧不足を救うためのネリカ米の作付地という看板もあちこちで見た。

タンザニアでは、ウガリを食べた。ウガンダでウガリは「ポショ」と呼ばれていた。

ウガリは、トウモロコシ粉やキャッサバ粉などを湯で練ったもので、それ自体に味はあまりないが、肉などと共に食べると、これがなかなかいけるのである。飽きない味、といっても良いかもしれない。鶏肉や魚のローストと一緒に食べた。暗がりだったので、今ひとつ写真がピリッとしていない。

続いて、ウガンダではマトケが主食になっている。マトケは「バナナ」という意味だが、主食として食べるマッシュド・バナナを「マトケ」と呼んでいる。

でも、このマトケは全く甘くない。バナナは甘い、という先入観が壊される。以前、インドネシア・マルク州のセラム島へ行ったとき、港の近くで買ったバナナが甘くなく、芋のようだったことを思い出した。

マトケもまた、鳥肉、牛肉、魚、豆などの煮込みシチューと一緒に食べる。マトケ以外に、米、ジャガイモ、プショ(ウガリ)も付けられ、緑色野菜が添えられる。今回行ったときは、ちょうどカボチャの季節で、カボチャが付けられたときがあった。

真ん中の黄色っぽいのがマトケ、右がカボチャ、上部の白いのが米である。付け合せで頼んだのは鳥肉スープ。値段が高い順は鳥肉、牛肉、魚、豆だった。

この店のメニュー表はこちら。

別な所で食べたマトケは、次のようなものだった。基本は同じである。

そういえば、ウガンダの魚は、ビクトリア湖やナイル川で穫れるティラピアやナイルパーチといった淡水魚なのだが、これがなかなか美味しい。ただし、インドネシア料理に慣れた舌には、煮込みシチューの味は全般的に薄く、唐辛子を入れずにはいられなかった。この唐辛子がけっこう辛く、地元の方々はほんの少ししか入れない。一緒に行った運転手は、私の入れる唐辛子の量を心配そうに眺めていた。

地球上のどこでも、そこに人が住んでいる限り、必ず美味しいものがある。この個人的な思い込みにまだ裏切られていない。食との出会いは一期一会、は今日も続く。

【スラバヤ】福建麺 @ Hok Kien Mie Akiat

スラバヤでの筆者の大好物の一つが、自宅近くのJl. Mayjend Sungkonoにある Hok Kien Mie Akiat の福建麺である。

この場所に店を出したのは古くはないと思われるが、Akiat自体は創業が1932年の老舗である。

イカ、小エビ、魚団子、蒲鉾のようなものなどの海鮮系、チャーシュー、排骨などの豚肉系、その狭間に青菜と細いモヤシ、薄く切った味付けゆで卵が入れられ、それを太いややコシのあるタマゴ麺がどっと支える、ボリュームたっぷりの福建麺である。

汁麺、汁なし麺から選べ、麺はビーフンもある。筆者はいつもタマゴ麺の汁麺をオーダーする。

太い麺に具と汁が絶妙に絡まり、しかもやや濃い味つけの汁には海鮮系の淡白さがマッチして、もう本当にたまらなく美味しい。

日本のチャンポンとはたしかに近い関係にある、ということを実感しつつ、日本のチャンポンはスープ自体を強調するラーメンの影響を受けているのだなとも思う。福建麺の主役は、やはり麺なのだ。

インドネシアの福建麺でここと互角なのは、ジャカルタのJl. Hayam WurukにあるMie Hokien Medanだろうか。ここは昼間のみの営業で、具や麺もさることながら、スープがとても美味しい。夜は、これも、筆者が20年来の常連のクエティアウ屋に変身する。

【スラバヤ】麺屋佐畑の醤油ラーメン

スラバヤで注目のラーメン店・麺屋佐畑にまた行ってみた。

前回は仙台辛味噌仕立ての味噌ラーメンを食べ、このブログでも以前、紹介した。

【スラバヤ】麺屋佐畑

今回は、味噌に勝るとも劣らないという評判の醤油ラーメン(Rp. 38,000)が目当てだった。平日のお昼どき、私一人しか客のいない店内で、お目当ての醤油ラーメンを食べた。

透き通ったスープ。適度にコシのある麺。最初はちょっと味が薄いかなと思ったが、あっさり味なのにコクがあるスープに引き込まれていく。

うまい。ほんとうにうまい。このレベルのラーメンがスラバヤで、いや、インドネシアで食べられるとは信じられない。

トンコツ系のラーメン店が多いなか、あっさりした飽きの来ない醤油ラーメンに出会えたのがとても嬉しい。もちろん、スープはすべて飲み干した。化学調味料を使っているもののような、後味を引きずることもない。売り文句にあるように、毎日食べても飽きないだろう。

麺屋佐畑は、6月27日(金)にメニューを改定し、あんかけ醤油ラーメン、塩ラーメン、カレーライス、特製チャーハンを新メニューとして追加するという。近いうちに、それら新メニューの紹介もできればと思う。

なお、6月から、平日の11〜15時は全品価格30%オフ、土日の11〜15時は全品20%オフで提供している。

麺屋佐畑はスラバヤ市東部のパクウォン・シティにあり、中心部から車で20〜30分かかるため、市西部に住んでいる筆者はなかなか頻繁に行くことが難しい。でも、この醤油ラーメンを食べるためなら、行ってしまうような気がする。

スラバヤに来られたら、是非、味わってもらいたい。オススメである。

【スラバヤ】Mie Hokkian Rejeki

以前から気になっていたスラバヤ・グベン新駅近くの福建麺の店Mie Hokkian Rejekiへ行ってきた。店内には色々なメニューがあるが、やはりここは福建麺を注文。

出てきた福建麺は、汁なし麺だった。感じは、マカッサルなどでお馴染みのMie Goreng Hokkuianまたはシンガポールのプローン・ミーに似ている。揚げ肉団子が2つに割られて上に置かれているのがこの店の特徴かもしれない。

味は、ほのかにエビの味がソースにあり、美味ではある。が、とくにものすごく美味しいというわけではない。普通、といったところか。

先代が中国・福建省から渡ってきたそうで、以来ずっと、その味を再現しているのだろう。

個人的には、福建麺ならやはり、自宅近くのAkiatのほうに軍配を上げてしまうな。

【スラバヤ】Boba Milk Tea @ Tjap Tepi Laut

先日、スラバヤ市内のショッピングモールの一つ、グランドシティに行ったら、森永乳業が子供向けの派手なイベントをやっていた。

こういうのもやるんだなあと思いながら、少しモールの中を散策。地下に行ったら、一番端っこに新しいカフェができていた。その名はTjap Tepi Laut: Coffee & Homemade Kitchen。
何となくちょっと居心地のいいカフェ。モールで一休みするには、ちょっともったいないぐらいいい感じのセンスのある店だった。雰囲気はそう、台湾で行ったカフェのような感じ、といったよいだろうか。
そう感じたのは、黒いタピオカがゴロゴロ入ったBoba Milk Tea(Rp. 23,000)などを飲んだせいかもしれない。もちろん、これを満喫した。

【マカッサル】トアルコ・カフェがオープン

6月8日、マカッサルへ行った際に、たまたま、トアルコ・カフェのオープンに立ち会うことができた。

このカフェは、日本のキーコーヒーが出資し、コーヒー農園とコーヒー集荷・輸出を手がけるトアルコ・トラジャが経営する直営のカフェ。すなわち、あのトアルコ・トラジャのトラジャコーヒーが産地直送で飲める、のである。

店内は清潔で、意外に広い。落ち着いた色調の内装でまとめられており、殺風景で音楽が無神経に鳴り、若者たちのタバコの煙であふれる、雑然としたマカッサルの一般のカフェとは明らかに一線を画している。ここなら、ゆっくりと静かにくつろげそうだ。

さっそく、トラジャコーヒーを注文。出てきたコーヒーは、これまでにトアルコ・トラジャのコーヒー農園や東京のキーコーヒー本社でいただいたものと全く同じ味のコーヒーだった。とうとう、これがマカッサルで飲めるとは。

次に、ケーキが美味しいと聞いたので、リングシューとストロベリーショートケーキを両方食べてみる。この際だから、カロリーのことを一瞬忘れることにする。

リングシューは生クリームとカスタードクリームが入り、とくに生クリームのミルクの美味しさがしっかり出ていてビックリ。生地もサクサクしていて、とても美味しい。

イチゴシュークリームは、ケーキ生地がしっとりとしており、生クリームがやはり美味しい。日本に比べればイチゴは今ひとつだが、十分に合格点をあげられる。なお、イチゴは、地元の南スラウェシでも作られており、さらなる品種改良が進められればと思う。

この二つのケーキとも、インドネシアのスイーツにありがちな激甘さがない。日本人好みの甘すぎないケーキである。これら以外にも、なめらかプリンなどもある。

コーヒーやケーキ以外にも、オムライス、カレーライス、スパゲティーといった日本の洋食ものを中心とした食事メニューも充実している。そしてこれらも美味しいのだ。

開店までに、日本から職人を招いて、コーヒーやケーキ作りなどの指導を何か月もかけて行ってきたそうである。今はまだ、日本からの職人が駐在し、品質のチェックに余念がない。そう、今なら日本のものと同じ品質のものがこのトアルコ・カフェで味わえる、というわけである。

そう、こんなカフェを待っていた。現時点では、スラバヤにはこのレベルのスイーツやコーヒーが楽しめる静かなカフェはない。おそらく、ジャカルタでも極めて少ないのではないか。トアルコ・カフェがコーヒー輸出の地元であるマカッサルから始まった、ということが個人的にはとてつもなく嬉しい。

マカッサルで成功したら、次は、バリ島やスラバヤなどへの展開も是非考えて欲しいところだ。

トアルコ・カフェは、Jl. Latimojongのスズキのディーラーのすぐ前にある。マカッサルに行かれたら、ぜひ立ち寄って、本物のトラジャコーヒーと日本並みに美味しいケーキや洋食を存分に味わってほしい。

さあ、コーヒーの次は、スラウェシのカカオで世界最高のチョコレート、だ。

【スラバヤ】シンガポール海老そば

前々から気になっていた。自宅へ帰る途中、チプトラ・ワールドの手前に、夜だけ現れるシンガポール海老そば(Mie Udang Singapore)の屋台である。

中に入ると、シンガポール・ホーカー系のメニューがずらり。店を切り盛りしているのは華人系のおじさんだった。迷いなく、店名となっているシンガポール海老そばを注文する。その際、スープを別にするか一緒にするか聞かれたので、一緒にするよう頼んだ。

出てきた海老そばは一見、何の変哲もないフツーのそばである。

スープをすする。たしかに海老の味。濃厚である。揚げ玉ねぎにはちょっと絡めのタレが絡められている。もちろん、魚肉の中華風つみれがちゃんとのっている。

麺の中を探ると、海老と一緒に空芯菜と細いもやしが隠れていた。そうか、ジャカルタのミー・カンクン(空芯菜そば)はこれの仲間だったのか。

やや太目の麺が海老のダシが効いたスープとうまく絡み合う。

うまい。これは常連になってしまいそうだ。

【マドゥラ】蒸しダックとソト・ババット

5月29〜31日にマドゥラ島へ行った際、食べたもので印象に残ったものをいくつか挙げる。マドゥラの料理は、全般にやや甘めだが、味が整っている。

まずは、ラブハン村の家庭(連れて行ってくれたファウジル君の実家)で出された料理。

揚げ魚に焼き魚、エビのカレー風煮付け、空芯菜の炒めもの、と豪華だった。この空芯菜の炒めものの味付けがやや甘みがあってとても美味しかった。サンバルも辛いだけでなく、甘みがそこはかとあり、ご飯との相性がよく、気に入った。

次は、サンパンの町中で「これはかならず食べる!」と言われて連れて行ってもらったのが、ダックを食べさせる店「ベベッ・ソンカム」(Bebek Songkam)。

ここのダックは、蒸しダックである。それに香辛料が丁寧に付けられている。肉はとても柔らかい。香辛料が効いて、口のなかで徐々に辛味が増し、ご飯が進んでしまう。この店は有名店らしく、スラバヤにもCITOと空港に支店がある。

最後は、スメネップで食べた臓物スープ、ソト・ババット(Soto Babat)。

ここのソト・ババットは、ご飯ではなく、米をバナナの葉で包んで蒸したロントンとキャッサバで食べる。おそらく、マドゥラ島東部のこの辺りでは、これまで米はあまり穫れなかったのだろう。味は濃厚だが、飽きることはない。

【スラバヤ】マカッサル・ワンタン麺

スラバヤに来て常に欲求不満だったのは、マカッサル・ワンタン麺の美味しい店に出会わないことであった。あの味は忘れられず、日本でもスラバヤでもジャカルタでも、ときどき禁断症状に襲われる。

まず、サンバル(チリソース)が出てこない。あったとしても、マカッサルのサンバル・クニン(黄色いサンバル)でない。あの辛さが必要なのだ。

次に、ゴマ油がない。マカッサル・ワンタン麺には必須の調味料である。これをドボドボとかけて食べるのがマカッサル流である。

そして、スラバヤの中華料理屋に行くといつも付いてくるキュウリの甘酢漬け。これはいらない。

あーあ、あのマカッサルで食べたワンタン麺の美味しさに勝る、あるいは迫るところは、スラバヤにはないのか。

そこで、ダメもとと思いながら、5月1日、新しくJl. HR Muhamadにできたマカッサル・ワンタン麺の店 Pangsit Mie 90 Ujung Pandang へお昼を食べに行った。博多一幸舎のすぐそばにあり、ほかにも3.6.9やTokyo Ramenのある、麺の激戦地の一つである。

定番は、やはりマカッサル・ワンタン麺(Mie Pangsit Ujung Pandang)。鶏肉か豚肉か両方乗せか、選べる。当然、マカッサル流なら両方乗せである。量も大盛、中盛、小盛から選べる。

この店には、サンバル・クニンもゴマ油もちゃんとある。もっとも、キュウリの甘酢漬けも出てきたのだが、これには手を付けない。

マカッサル・ワンタン麺特有のコシのある太麺、やっぱりこうでなくては。マカッサルのとちょっと違うのは、豚の臓物の代わりに、豚肉に粉をつけてカリカリに揚げたものが乗っていたこと。

うーん、ここのは満足。マカッサルでの行きつけの店の美味しさには及ばないが、十分に及第点を付けられる。よかった、スラバヤでもマカッサル並みのワンタン麺が食べられるぞ。

ふと見ると、「マカッサル・ニュクニャンあります」の掲示。ニュクニャンとは、マカッサルのバソ(肉団子)で、通常は豚肉の入った肉団子を指す。勢いでこれも注文。

スラバヤのバソは全般に味付けが薄めで、個人的にはちょっと物足りなかったが、このニュクニャンはちょうどよい。ただし、豚肉の味が強調されてはいなかった。

これで、時々、マカッサルの味に戻ることができる。おかげで、スラバヤ・ライフがさらに落ち着いた。

 

【京都】久々の煮魚定食

「父」とその妻をお連れしての日本旅行も終盤戦。昨晩、宝塚から京都へ移動してきた。

さて、夕食をどうするか。午後8時半と遅くなってしまったが、ずっと慣れない日本食を食べさせてきたので、京都では久々にインドネシア料理を食べさせたいなと思っていた。でも「父」は、疲れたからホテルで食べたい、と言い出した。日本料理でもよい、そうだ。

今回の京都での宿は、西本願寺の宿・聞法会館。本願寺の経営している宿らしく、仏教の教に関する張り紙や、お坊さんの姿も見える。泊まったのは、5人まで泊まれる和洋室。洋室スペースにはベッドが3つ、和室でも布団が2人分ある。「父」たちは洋室スペースで、筆者は和室スペースで寝た。

結局、昨晩は、この宿の1階の和食レストラン「矢尾定」で食事をした。そば、うどん、丼ものもあって、ちょっとホッとした。「父」のようなイスラム教徒の方をお連れする場所として、このような宿・宿坊はけっこう良さそうな感じがする。

久々に煮魚定食を頼んだ。カラスカレイの煮付け、というやつである。これが、予想以上に美味しかった。

ふわっとした魚肉が口のなかでとろけるように消える。煮魚って、こんなに美味しかっただろうか。いや、もう何年も煮魚など食べていないから、そんな感想を持ったに過ぎないのだろうが。

【機内食】ガルーダ・ビジネスクラスの朝食に満足

4月15日夜ジャカルタ発成田着のガルーダ・インドネシア航空ビジネスクラスに乗った。

今回は、30年近くにわたってインドネシアでお世話になってきた、ジャカルタでの「父」と奥様の日本旅行のフルアテンドのための帰国である。「父」は84歳、体力のことも考え、ビジネスクラスで招待、筆者もそれに続いた。

期待はしていなかったが、このビジネスクラスの朝食がいい意味で予想を裏切られた。

注文する段階で、すでにインドネシア料理の朝食と和食の朝食はなく、洋食の朝食しかなかった。でも、洋食の朝食の内容がとても興味深かったので、筆者は最初から洋食を狙っていた。

最初に出てきたのが、タピオカ粉のふわふわとバナナ、ナッツの乗ったデザートのような一品。バナナの風味が効いていて、上質の甘みが口の中に広がる。これがデザートではなく、前菜なのである。いきなりこれは、びっくりの美味しさだった。

パンはクロワッサン、デニッシュ、ガーリックブレッドの3種。パン自体はとくに優れているという感じではなかった。

次は、オムレツ。オムレツ自体は何の変哲のないものだが、盛り付けが素敵だった。味もやや塩味の効いた落ち着いたものだった。

今、気がついたのだが、上のオムレツなど、料理の色と皿の色との配色にまで気を使っている様子がうかがえる。

最後のデザートは、オレンジのシロップ漬けにイチゴとフレークの乗ったもの。

ともかく、最初のタピオカ粉のふわふわとバナナ、ナッツの乗ったデザートのような一品の斬新さにとても感心した次第である。

今回のガルーダ・インドネシア航空ビジネスクラスの朝食は、予想以上にレベルの高いものだった。満足である。ガルーダがここまでやるのか。

食後に頼んだコーヒーは、スマトラのリントン。インドネシアのコーヒーを美味しく飲ませようと出されたものだが、決して濃すぎず、味わいのあるものだった。

ちょっと、ガルーダの宣伝になってしまったかもしれない。でも、エコノミーとは明らかに違う食のグレードの高さを体感できる内容だった。

座席は1人1人別で、個室のような感覚でくつろげる。もちろん、フラットシートになる。3〜4時間、しっかり眠れた。機材はボーイング777−300ER。

【ルマジャン】クレンセンガン・カンビン

4月7日、スラバヤから片道4時間かけてルマジャンへ日帰り出張した。

ルマジャンでの用務も無事終わり、スラバヤへ戻る前に、お世話になったルマジャン県公共事業局の皆さんが食事に誘ってくださった。

場所はルマジャンの中心部にあるDepot Kemayoranという小食堂。名物は何かと聞くと、「クレンセンガン・カンビン」(Krensengan Kambing)とのこと。赤ワケギ、ニンニク、コリアンダー、胡椒、ナツメグなどを使った甘辛の汁で煮込んだ料理である。これでお値段は2万ルピアだった。

これを白いご飯にかけて食べる。山羊肉は柔らかく、汁とよくなじんで、ご飯との相性も絶妙である。うーん、至福のとき。午後4時過ぎという中途半端な時間ではあったが、用務でエネルギーを消耗したせいもあり、しっかり完食した。

付け合せは、毎度おなじみの面々。

クレンセンガンは、東ジャワではわりとどこでも食べられる料理であるが、何も期待していなかったルマジャンで食べられたということも高評価につながったのかもしれない。

お世話になったルマジャン県公共事業局の皆さんらと、Depot Kemayoranの前で。

【ソロ】ナシ・リウェット(Nasi Liwet)

先週は中ジャワ州ソロ(スラカルタ)へ出張した。

ウォノギリ県を訪問するなど、2日間の仕事を終えて、ソロ・バラパン駅でスラバヤ行きの帰りの列車までまだ1時間ある。よし、それならば、ナシ・リウェット(Nasi Liwet)を食べに行こう! 早速、駅からタクシーに乗って、ナシ・リウェット屋が並ぶクプラボン・クロン(Keprabon Kulon)まで連れて行ってもらったが・・・。

時間は午後4時過ぎ。まだ開いていないのである。「たぶん、5時頃には開くと思うよ」と教えてくれるのはタクシーの運転手。でも、スラバヤ行きの「サンチャカ・ソレ」は5時5分にソロ・バラパン駅を出発するのだ。

ダメかな、と思っていると、ちょうど1軒、店を開け始めたところがあった。まだ、いろいろ準備中だったが、お願いして、食べさせてもらうことができた。

この店、1950年創業らしい。「おばあちゃんが始めたのよ」とナシ・リウェットを準備するおねえさんが答える。店が始まると、あのゴザが敷かれ、折りたたみの低いテーブルがここに並ぶのだな。

店の前の「カウンター」に座る。目の前には、ナシ・リウェットにのせる様々なおかずが並ぶ。鶏肉の塊(これをスライスする)、臓物、野菜を煮込んだスープなどなど。横にはニワトリの脚(チャカルという)があった。余談だが、ジャワ人はけっこう、チャカルが好きで、スラバヤでも、チャカル入りのワンタンメンを勧められたことがある。

これらをご飯の上に手際よく盛って、さっと野菜を煮込んだスープをかけ、ココナッツ・ミルク(サンタン)の固まりをてっぺんにつけてできあがり。

これを混ぜながら食べる。汁が絶妙な辛さで、鶏肉や臓物との相性がとても良い。プニュっとしたココナツ・ミルクの固まりがなんとも言えないアクセントになる。

実は、ソロ名物のナシ・リウェットを食べたのは2回めである。以前、24年前に、ジャカルタのブロックMの南側の屋台で、それを食べた。あのときのは、ココナツ・ミルクの固まりがもっとドロッとしていて、全体的に甘かった。

当時、ジャカルタで下宿していた大家さん(おとうさん)がソロの出身で、連れて行ってくれたのだ。本場のソロで、あのときよりずっと美味しいナシ・リウェットを食べながら、今は亡き「おとうさん」の笑顔をふっと思い出していた。

【スラバヤ】ラーメンバーガー@ラーメン希

食べたいけどどうしようかな。見るからに超ジャンクっぽいし・・・・。気にはなっていたが、なかなか食べようという気になれなかったのが、スラバヤのユニークなラーメン店、ラーメン希(のぞみ)のラーメンバーガーである。

たまたま、日本からお客さんが4人来ていて、私の本ブログで気になっていたラーメン屋に食べに行きたいということで、これがチャンス、とラーメン希へお連れすることができた。今度こそ、ラーメンバーガーだ。

各自、好きなラーメンを注文した後、一番年齢の若そうな客にラーメンバーガーを勧めたところ、乗ってきた。結局、4人で少しずつ味見をすることにした。

ラーメンバーガーは、オニオンリングやフライドポテトを従えて現れた。

これを4つに分けると、何となく広島風お好み焼きのように見えた。

肝心の味だが、意外にいけるのだ。思ったよりも油っこくなく、中身の具との相性もそれほど悪くもない。とはいっても、4等分したものでの評価なので、全部食べるとちょっと重くなるかもしれない。

でも、炭水化物大好きな若い子たちには意外に受けるのではないか、と思った。

ラーメン希には、さらなる挑戦を期待したい。

【クドゥス】さすが本場のソト・クドゥス

昼食としてはナシ・オポールで十分満足しつつも、本場のソト・クドゥスを食さずして、クドゥスを去る訳にはいかない。

向かった先は、クドゥスのやや大きめのパサール(市場)の一角。下の写真が入口。

中に一歩入ると、右も左もソト・クドゥス屋。何軒ものソト・クドゥス屋が軒を並べている。いずれもずいぶんと年季の入った店構えである。

筆者が入ったのは、Bu Ramidjanという店。どの店もカウンター形式で、客の目の前には様々なソト・クドゥス用の食材が並び、客が好みの食材を入れるよう告げると、その向こうで、おじさんやおばさんが手際よくソト・クドゥスを作ってくれる。

注文する際、「肉は鶏肉にするか、水牛肉にするか」と聞かれた。ソト・クドゥスといえば鶏肉だと思っていたのでちょっとびっくり。でも、もともとは水牛肉が元祖だったらしい。そこで、水牛肉にしてもらう。そういえば、チョト・マカッサルも、もともとは水牛の肉と臓物を食べるための料理だった。
これが水牛肉のソト・クドゥス。ご飯が中に入っているので、正確にはナシ・ソト・クドゥス。水牛肉なので固いイメージが合ったが、ええーっと思うくらい、柔らかくなった肉だった。水牛に特有の生臭さもない。
このソト・クドゥス、絶品だった。こんな美味しいソトを今まで食べたことがないぐらい、絶品だった。水牛肉の柔らかさ、キャベツやもやしの適度なシャキシャキ感、それに絡むスープとご飯、アクセント役の揚げニンニク。もう、たまらない。この美味しさを言葉にすることは難しい。これを食べるためだけでも、クドゥスに来て本当に良かったと思えた。
ソト・クドゥス屋では、最初に「ソトにするか、ピンダンにするか」と聞かれる。ピンダンというのは、酸っぱい味のスープである。次に「肉は鶏肉か、水牛肉か」と聞かれるのである。ちなみに、一緒に連れて行ってくれた運転手くんは、水牛肉のピンダン(下写真)を頼んだ。
ジャカルタでは、おそらく水牛肉を使ったソト・クドゥスは見かけないだろう。また、ピンダンを一緒に出すソト屋もないだろう。本場のソト・クドゥスに出会えてよかった。
余談だが、このBu Ramidjanという店で料理を出してくれたのはおじさんだったが、ふと向かいを見ると、同じようなソト・クドゥス屋があり、店の名はPak Ramidjanだった。そこでは、おばさんがソトを出している。この両者、どういう関係になっているのか聞いたが、要領のいい答えはもらえなかった。謎である。
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