【インドネシア政経ウォッチ】第75回 クルド火山噴火の影響(2014年2月20日)

2月13日夜、東ジャワ州のクルド火山が噴火した。噴煙は高さ17キロに達し、ガスや火山灰を含む1億3,000万立方メートルもの火山性物質を噴出した。この火山は1990年3月にも噴火したが、そのときの火山性物質の噴出は5,730万立方メートルだった。今回の噴火自体の規模は前回を上回ったほか、2010年の中ジャワ州ムラピ火山の噴火に匹敵する規模だった。

今回のクルド火山の噴火は短いものであり、1990年3月のクルド火山や2010年のムラピ火山のように、噴火が長期化する気配はないとみられる。しかし、噴火がすでに終息したわけではなく、しばらくは警戒が必要である。

この噴火の影響で、東ジャワ州ではクディリ県やブリタル県などで約10万人が避難を余儀なくされ、周囲は火山灰で覆われた。火山灰はマラン、クディリ、ブリタルで7センチ、バトゥ、中ジャワ州ソロ、ジョクジャカルタで5センチ、東ジャワ州シドアルジョで3センチ積もり、遠く離れた西ジャワ州バンドンでも1センチ積もった。

風向きの関係で、火山灰はクルド火山よりも西側へ多く降り注いだ。このため、ジャワ島内では一時、ジャカルタ以外の全空港が閉鎖され、2月19日時点でもソロで空港閉鎖が続いている。筆者も当時、中ジャワ州スマランへ出張中で、飛行機がキャンセルとなり、夜行列車でスラバヤへ戻った。

スラバヤも火山灰が1センチ積もり、一時真っ白となったが、その後、毎日数時間、雷を伴った豪雨があり、市内に積もった火山灰はきれいに洗い流された。2月16日には空港も再開され、スラバヤに限っていえば影響は最小限で済んだ。クルド火山に近いマランでも、場所によっては火山灰がほとんど降らなかったところもある。しかし、もし乾季で西寄りの風が吹いていたら、スラバヤも大きな影響を受けるはずである。

インドネシアでの経済活動にとって最大のリスクは、実は自然災害である。日本でも関東地方の大雪で大きな被害が出ているが、緊急事態に備えた危機管理対策が日頃から重要になる。