【スラバヤの風-31】ジャワ以外の資源依存成長に陰り

2014年のインドネシアの経済成長率は、2013年を下回る5.5%前後と予想される。しかし、2014年第1四半期が5.21%、同第2四半期が5.12%に留まったことから、10月に発足する新政権のもとで、年後半にどれだけ挽回できるかが注目されるところである。

ところで、中銀は地域別の経済状況を四半期ごとに報告書として発表している。これを見ると、地域別の経済成長の色合いが2013年と2014年ではかなり異なりそうである。

2013年までの数年間で最も成長率が高かったのは、実はジャワではなく、ジャワ島の外にあるスラウェシ、マルク、パプアを含むインドネシア東部地域であった。ジャワの6%前後に対して、東部地域は9%近い成長率を達成していた。スラバヤの華人実業家の間でも、東部地域のビジネス・チャンスが熱っぽく語られていたものだった。

しかし、2014年になると様相が変わる。中銀によると、東部地域の成長率は6%台へ大きく落ち込む見込みである。ちなみに、ジャワの成長率も5%台半ばへ下がるが、東部地域ほどの落ち込みではない。ただし、東部地域を細かく見ると、中スラウェシ、パプア、西ヌサトゥンガラなど、特定の州のみが大きく落ち込みそうなのである。

それらの州は、いずれも鉱産物の産出州である。国際市況の軟化に加え、インドネシア政府による未加工鉱石輸出禁止の影響がすぐに反映され、外資系鉱山会社などの生産が大きく低下することが予想される。なかでも、西ヌサトゥンガラは2014年にマイナス成長となる可能性さえ指摘されている。

石炭輸出の中心であるカリマンタンは、ここ数年、国内で最も低い3.5%前後の成長率に留まっている。最大の輸入国である中国での石炭需要の減少により、大きな伸びが期待できなくなっているためである。スマトラも5%前後の成長率で、オイルパームの国際市況の影響を受けている。

ジャワ以外の地域経済は資源に依存している。これまでは比較的国際市況が好調だったため、東部地域などジャワ以外はその恩恵を受け、輸出好調が国際収支を黒字基調とした。そして、そのために製錬などへの転換が遅れた。ジャワでは輸入依存が進み、付加価値の高い製造業への転換が進まなかった。

2014年は、ジャワ以外の落ち込みをジャワが支える構図へ状況が変化した。未加工鉱石輸出禁止・製錬化を進めるとともに、ジャワでの製造業の競争力強化が待ったなしとなっている。その陰で、ジャワ以外の資源依存経済の回復はしばらく置き去りにされる可能性がある。

 

(2014年8月22日執筆)