【インドネシア政経ウォッチ】第132回 ジャカルタで複数のLRT建設計画(2015年6月25日)

ジャカルタの渋滞解消のための次世代交通輸送システム(LRT)建設計画が、中央政府と州政府からそれぞれ発表された。

6月15日、国営建設会社アディカルヤ社が発表した計画は、第1期として東ブカシ〜チャワン〜クニンガン〜ドゥクアタス間とチャワン〜チブブール間を建設し、2018年開業を目指す。第1期工事の総工費は12.56兆ルピア(約1,170億円)である 。

その30%(3.77兆ルピア)を自社株で、2.09兆ルピアを2015年の新規株式発行で、1.68兆ルピアを政府資本注入または他のパートナーを組む国営企業から調達する。国営企業省はすでに1.4兆ルピアの政府資本注入に同意した。

一方、ジャカルタ首都特別州のアホック州知事は6月8日、州が計画するLRT7路線のうち、クラパガディン〜クバヨラン・ラマ間(1号線)建設のため、2015年度州補正予算から5,000億ルピアを投じることを明らかにした。

州のLRTは、ほかにタナアバン〜プロマス間、ジョグロ〜タナアバン間、クラパガディン〜プシン間、プシン〜スカルノハッタ空港間、チュンパカプティ〜アンチョル間など6路線が計画され、上記アディカルヤ社のLRTと接続する。

LRT建設計画で懸念されるのは、資金調達である。アディカルヤ社のLRT建設の資金計画では、まだ5.02兆ルピアの調達先が未公表である。国営企業省の支持を受けたが、運輸省が未承認のため、現時点では大統領まで上がっていない。

また、ジャカルタ首都特別州の計画でも、州議会への説明はこれからで、州予算で賄うにしても今後継続的に資金調達が可能かどうかは明らかではない。アディカルヤ社が州のLRT建設も担う可能性もある。

資金計画に不安を残すなかで、LRT事業に中国からの資金を活用する可能性が示唆されている。3月のジョコウィ大統領の訪中時に、国営企業が担うインフラ関連16事業へ中国開発銀行が238億ドルの融資を行うことに合意したが、アディカルヤ社はこの国営企業のなかに含まれている。

ジャカルタのLRT建設は本当に着工するのか。やはり中国に頼ることになるのか。

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください