【台北】アゲー

8月、スラバヤへ戻る前に台北に寄って、食べ歩きをした。食べたものは皆美味しかったが、そのなかでも、アゲーという食べ物が興味深かった。

アゲーは漢字で「阿給」と書く。この名前の由来は、食べ物自体にあった。油揚のなかに太めのビーフン?糸こんにゃく?や肉が入っており、それをちょっと辛めの汁と絡めて食べるのである。アゲーとは「揚げー」であり、阿給はその音の当て字なのだった。

アゲーは台北の北部、淡水地区の名物料理で、川の近くには何軒ものアゲー屋が並ぶ。私が友人に連れて行ってもらったのは、その元祖とでもいうべき店だった。

店は大混雑。

アゲーの「使用前」と「使用後」。

 

アゲーが「揚げ」が由来だとすると、この食べ物は、日本と関係があるはず。日本でも油揚の中に詰め物をするが、このアゲーのようなものは見たことがない。油揚を生かした淡水の人々の創作物なのだろう。ほんと、庶民の味、という感じである。

台湾のインドネシア人労働者

台湾を旅行中に、何人かのインドネシア人に出会った。もともと、台湾には以前からインドネシア人の出稼ぎ労働者が働きに来ている。男性は建設現場などでの労働者として、女性は家事・介護労働者として、今や、台湾社会には不可欠な存在となっている。

8月16〜17日に台北を案内してくれたのは、前の職場の同僚である台湾研究者。私が台湾のインドネシア人に興味があると知っていて、彼女が用意してくれたのが8月12日付聯合報の1面トップ記事。何と、台北駅の地下コンコースを埋め尽くすインドネシア人労働者の写真だった。

最も多いときで約3万人の外国人労働者(ほとんどがインドネシア人労働者)が集結し、床に座って飲み食いをしたり、音楽を大音響で流したり、横になって寝ていたり。さながら無法地帯の様相を呈しているようである。

こうした状況に対して、賛否両論が出されている。「公共の場を勝手に外国人労働者が占拠し、台北駅の他の利用者の通行の邪魔になるのはけしからん。政府は何をやっているのか」という意見がある。その一方で、台北駅側は、外国人労働者の人権やその置かれた状況を尊重し、柔軟に対応するとのコメントを出している。

もしこれと同じような状況が日本の東京駅地下コンコースで起こるとなったら、どんな対応になるだろうか。新宿駅の路上生活者がどんな運命になったかを想像するだけで、日本ではこうした状況をきっと起こさせない、毅然たる措置(強制排除)が採られるものと容易に想像できる。

しかし、台湾においても、以前から外国人労働者に対して寛容だったのだろうか。私が以前、台湾を訪れた1990年代初めの記憶だと、インドネシア人労働者の存在は表面的にはさほど見られなかった。恐らくまだまだ数が限られていたのだろう。

元同僚の台湾研究者によれば、この10年ぐらいの間に、台湾社会はある意味急速に成熟してきたという。それが、地下コンコースを占拠した外国人労働者を強制排除しない台北駅側の態度にも表れているのだろう。台湾社会の「緩さ」という見方もできるだろうが、もはや社会にとって不可欠の存在となった外国人労働者の存在をきちんと認め、それを受け入れる融和な社会をゆったりと作っている、いや、そう出来上がってきているのだと感じるのである。

対するインドネシア人労働者の側には、成熟した台湾社会のなかで、むしろ、台湾の人々の寛容さに甘えてしまっているところはないだろうか。あたかも、台北駅地下コンコース占拠が当然の権利であるかのように振る舞うとすれば、それはやはり問題ではないかという気もする。

甘えという点では、8月4日に台中で出会ったインドネシア人男性労働者3名の話もしておこう。台中では、昔、マカッサルで一緒だった友人が大学教師をしており、彼女に色々と案内してもらった。春水堂にタピオカパール・ミルクティーを飲みに行こうと友人とバスに乗っていたら、彼らが乗り込んできた。

3人とも酔っており、うち1人は一番後ろの席でゲーゲーやり始めた。静粛な車内で、突然、彼らが大声で叫び始めた。「ジャカルタなんか怖くねえ!あの糞野郎!」と汚い言葉を連呼していた。さすがにうるさいので、「他の客の迷惑になるから、ちょっと静かにしてくれないか」とインドネシア語で話しかけると、彼らは一瞬びっくりして、すぐに「すみません」と素直に答えた。

まだ断食中のはずだが、彼らは昼間から酒におぼれていた。お金がなくて断食明けにインドネシアの故郷へ帰れないのが悲しいのか、ジャカルタの派遣元とトラブルがあって荒れているのか、私たちには全く知る由もない。車内の他の乗客は、そんな彼らを見て見ぬふりをしていた。

台北駅地下コンコースを占拠した最大3万人の外国人労働者も、台中のバスの中で荒れていた彼らも、自分たちが「余所さまの国に来させていただいている」という感覚が少ないのではないか。一人ではなく大勢になれば、何となく気分が大きくなり、数の力を背景に、「これぐらいのことをしても許される」と思ってしまうのではないか。

成熟した台湾社会とはいえ、数を背景にいつの間にか当然の権利にすり替わる感覚を持ったインドネシア人労働者の甘えがいつまでも許容されるとは限らないような気がする。

でも、この「既成事実化して当然の権利にすり替わる」というのは、インドネシア社会ではよく見かけることなのではないか。土地を不法占拠して居住権を主張する場合や、ダメもとで賃上げを要求してそれが通るとさらに賃上げを要求する態度とか。それが「小さき民」によるものだと、「小さき民」だから許されるという話が持ち出されてくる。しかし「小さき民」という立場が常に正しいとは限らない。免罪符にはならない。

そんなインドネシア人の「甘え」が台湾のインドネシア人労働者にも見えるような気がする。

【台中】今回の台湾食べ歩き第1弾

しばらくこの食べ物ブログを更新していなかった。面白いものを食べていないわけではなかったが、「インドネシアあるくみるきく」の更新を優先させて、こちらの更新に至っていなかった。

今回、8月の休暇一時帰国の前に、台湾・台中に寄り、友人に付き合ってもらって、しっかり食べ歩きをしてきた。

友人が「おいしい小龍包屋さんに連れて行く」というので、それがあるというトップシティ(遠東百貨)へ。台中の地元の人に大評判で、台中を訪れた政府要人も必ず寄るというその店は、ディンタイフォン(鼎泰豊)だった。

そこには長い行列。待ち時間90分、だった。

もしかしたら、本場のディンタイフォン(鼎泰豊)は東京やジャカルタのそれとは味が違うかもしれない、との期待を抱きつつ、予約番号をもらって、とりあえず、同じトップシティ12階のフードコートへ向かう。

まずは、寧波の看板のある店で、排骨定食。排骨にかかっているタレがご飯とよく合う。

次は、やっぱり、パパイヤミルク。台湾に来たら必ず飲みたい私の大好きな飲み物だ。

90分経ったので、ディンタイフォン(鼎泰豊)へ向かうと、すでに予約番号は呼び出された後で、さらに10分ほど待たされて、店内へ。

頼んだのは、小龍包、カニみそ小龍包と、苦瓜のしょうゆ漬け。

本場・台湾のディンタイフォン(鼎泰豊)、あんなに行列ができていたので、さぞ味は段違いだろうと期待していたが、味自体は、もちろんさすがにおいしいのだが、やジャカルタのものとあまり変わらない感じがした。 そう考えると、豚肉を使っていないジャカルタのディンタイフォン(鼎泰豊)がいかに健闘しているかがわかった。

ディンタイフォン(鼎泰豊)の後、デザートを食べに向かったのは、台中駅前の宮原眼科。名前は眼科だが、眼科があるわけではない。昔、日本時代に眼科だった建物をお菓子屋兼カフェとして使っているとのことだった。

1階がお菓子屋さん、2階がカフェになっている。1階でパイナップルケーキを買った。実はここのパイナップルケーキは、台中の有名店の一つ「日出」のそれだった。酸味のあるチーズ味のバージョンと甘いバージョンの普通の二つ。
2階に上がって、注文したデザート。これが秀逸だった。
まずは、2種類のアイスクリーム+フルーツ。とくに、紅茶のアイスクリームが素晴らしかった。
次に頼んだのは、チーズケーキとフルーツの組み合わせ。これも素晴らしかった。

これらの素晴らしいデザートと一緒に味わったのが、台湾でしか味わえないお茶「東方美人」。ストレートだが味わい深いお茶だった。おまけに、ミニ月餅も出された。

この後、向かったのは、春水堂。やはり、台中に来たら、ここのタピオカミルクティーを飲まないわけにはいかない。

この春水堂、7月27日に、東京の代官山に支店をオープンさせたとのこと。評判と値段はどうなのだろうか。

そして、最後にたどりついたのは、天天見麺店の支店。ここで、老北京酢醤麺(北京風伝統的ジャージャー麺とでも言うのか)を食べた。太い手打ち麺に肉みそが面白いようにからんで、なかなかのおいしさだった。

今回は、台中での食べ歩き入門編といったところか。まだまだ行けなかったところがたくさんある。またそのうち、台中を訪れたら、続きをしたい。

台湾食べ歩き第2弾は、8月16~17日、台北にて。どんな食べものに出会うだろうか。

【スラバヤ】台湾お粥 @ Yung Ho

ワニ子さんのブログによると、最近、スラバヤにもバリの有名お粥店Laota(老大)の支店ができた様子だが、それ以外にも、私の好きなお粥屋がご存じYung Hoである。

6月15日は、魚粥(Rp. 12,000)に高菜炒め(Rp. 13,000)と叉焼(Rp. 23,500)を加え、自家製リャンティー(Rp. 8,000)の組み合わせで夕食とした。

この店では、たくさん並んだおかずから好きなものを好きなだけ取れるのが面白い。 台湾お粥屋なので、豚肉のメニューも揃っている。

魚粥は、細かく切ったピータン、白身魚、エビ、揚げ玉が入っていて、油条を入れる通常のものとは若干異なっていた。お粥はあっさりしていて食べやすいし、量もさほど多くはない。

お客さんには台湾人もけっこういる様子。その日も、中国語が飛び交っていた。

Yung Hoは、お粥の店とシーフードの店が30メートル離れて建っているが、ほどなく、シーフードの店のほうへ統合される様子である。そうそう、ここは豆乳もおススメである。

Yung Ho
Jl. HR Muhammad No. 385, Surabaya