APEC貿易大臣会合の会場前にて
4月20日、APEC貿易大臣会合が開催されているスラバヤのGrand City Convention Centerの前にいた。というのは、隣がGrand City Mallになっていて、そこへ行ったついでにConvention Centerの前にいた、というわけだ。決して、貿易大臣会合に何か関係があったわけではない。
Convention Center前にずらっと並んだ警察の白バイ。なかなか圧巻である。
スターバックスで警察官や会合関係者が談笑したりしていて、けっこう和やかな雰囲気だった。ちょうど4月20日は「カルティニの日」。隣のGrand City Mallでは、おそろいの制服を着た軍人・警察官・役人の奥様方が集まって、歌や踊りのイベントをしていた。
けっこう和やかな雰囲気のAPEC貿易大臣会合の現場だったが、実は、スラバヤ市内のJl. Basuki RachmatでAPEC会議開催に反対する学生たちのデモがあり、3人が拘束されたことを後で知った。
Demo Tolak APEC Dibubarkan Polisi, 3 Pendemo Diamankan
(インドネシア語記事)
デモをした学生たちは、APECを資本主義や帝国主義の観点から批判したのだろうか。搾取する側、される側という話なのか。学生も、そろそろ埃をかぶったイデオロギーを持ち出して、イメージでデモをするのを止めたほうがよい。今、ここで議論すべきは、たとえばTPP協議への参加が是か非か、といった議論になるのではないだろうか。
インドネシアでは、まだTPPに関する議論はほとんど表面に現れていないが、一部の識者から「TPPへインドネシアも参加すべきだ」との議論が出てきている。もし、今、TPPに関する議論が公に行われれば、来年の大統領選挙へ向けて大きな議論となり、おそらく現状ではTPPに反対する候補が勝つ可能性が高い。インドネシアをTPPへ引き入れたい側は、今はその議論をそっとしたままにしておきたいだろう。
そして、スラバヤでのAPEC貿易大臣会合と並行した別の交渉で、すでにTPP協議に参加している国々の同意によって、日本のTPP交渉への参加が認められた。日本での新聞報道によると、日本側が積極的に、日本のTPP協議参加への同意を既参加国へ働きかけていたということである。
日本のTPP加盟へ向かう一歩は、事実上、このスラバヤで始まったのである。