京都、福井、富山(その2)
5月1日は、どこに行こうか迷ったが、チューリップまつりで賑わう砺波や、雪の大谷が見頃の立山黒部アルペンルートを避け、南砺市城端へ行った。何があるのかよく分からないが、行ったらきっと何かありそうという予感があり、果たしてそのとおりだった。
まず、城端駅前の観光協会でレンタルサイクルを借りる。半日500円。
町の西側の田園風景を眺める。雪を頂いた山々をバックに、農地が悠々と広がっている。水田らしきところには麦が植えられていた。
城端は河岸段丘の上にできた坂の多い町。街並みを美化したらしく、建物の高さが制限され、色合いも統一されていた。街路には湧水装置の穴が設置されていた。
城端でのランチは、南幸という鰻屋さんで「なんなんまぶまぶ」という地元の料理を食べた。これは、豚肉にうなぎ蒲焼のタレを使って、ひつまぶし風に仕上げた料理で、南砺B級グルメコンテストで第1位になったそうだ。でも、これはB級というには相当手が込んでいて、豚肉や酢漬けミョウガの細切りがご飯のなかに入れ込んであるなど、小技が光る。
一杯目は普通にそのまま食べ、二杯目はネギとワサビの薬味を添えて食べ、三杯目は土瓶に入ったダシをかけて食べる。まさにひつまぶしの味わいである。
善徳寺はちょうど改修中で、中を見ることができなかった。善徳寺は、城端の町の中心をなす寺で、ここから町内の各地へ道が出ている。
自転車で城端の町中を歩いていても、人に会うことがなかった。人の気配が全くしない。これは、日本の多くの地方では共通する現象だろう。しかし、昼過ぎになると、チャリンチャリンという音が聞こえてくる。学校から下校する子どもたちのランドセルに付けられた鈴の音だ。
城端滞在の最後、デザートを食べに訪れたのがナヤカフェ。農家の納屋を改造したカフェで、この経営者は、「薪の音」という名前のフレンチレストラン兼ホテルを近くで運営している。オススメは、干し柿のラム酒漬けアイスクリーム。今まで食べたことのない、甘さ控えめの大人の味のアイスクリームで、細かくされた干し柿が口のなかでアクセントになる。一緒に頼んだ小松菜のスムージーも、その滑らかさが秀逸だった。
やはり、何もないところなんてない。城端は見るところがいろいろある町だった。
しかし、きれいな街並みを見ながらも、住民がそれをどのように感じているのか。果たして、住民が自ら楽しめるような町になってきているのだろうか。これは何も城端に限ったことではないが、そんなことを感じてしまった。