【スラバヤの風-07】東部地域との結節点

筆者が東ジャワ州やスラバヤに注目する理由の一つは、インドネシア東部地域(以下「東部地域」と称す)との結節点となっているためである。東部地域とは、カリマンタン島、スラウェシ島、マルク諸島、パプア、バリ島以東のヌサトゥンガラ諸島の広い地域を指す。

ジャワ島内で生産された生活物資・消費財は、州都スラバヤのタンジュン・ペラッ港から東部地域の各地へ運ばれる。一方、東部地域からは、木材、鉱物、商品作物、水産物などがスラバヤに集まり、一部は加工され、一部は海外へ輸出される。

遠い昔からスラバヤは物流交易都市であった。ジャワ島で生産された生活物資・消費財は、東部地域にある中心港(スラウェシ島ならマカッサルやマナド、マルク諸島ならアンボンやテルナテ、パプアならジャヤプラやソロンなど)へ大型船で運ばれ、そこから小・中型船ないし陸送へ小分けされて中小都市へ運ばれる。最終的には、客と一緒に乗合自動車に積まれたり、バイクや馬、果ては人力で運ばれたりしながら、生活物資・消費財が東部地域の末端の村々まで到達する。

一方、東部地域の豊富な天然資源を求めて、地域の隅々までスラバヤなどから商人が入り込んでいる。現場で買い付け、用意した船で一次産品などをスラバヤまで運ぶ。あるいは、スラバヤからの商人が現場で注文し、現場の元締めや商人が物品を用意して、船でスラバヤへ送る。カカオやコーヒーなどの商品作物も、マグロやロブスターなどの水産物も、木材や鉱産物も、東部地域の各地からダイレクトにスラバヤへ運ばれてくるケースが多い。そして、その船で生活物資・消費財を積んでスラバヤから東部地域へ戻るのである。

こうした東ジャワ州やスラバヤと東部地域との相互経済関係を意識して、東ジャワ州政府と州商工会議所は、東部地域の各州政府と協力協定を結び始めた。そして、東部地域各州に東ジャワ州の連絡事務所を開設し、両者の相互経済関係を一層緊密化させ、東ジャワ州が東部地域の発展に積極的に貢献しようとする姿勢を示している。そこでは、東ジャワ州の実業家が東部地域でのさらなるビジネス機会を求めていることはいうまでもない。

南スラウェシ州の州都マカッサルも、東部地域での経済センターを目指すが、物流の搬入量が搬出量よりずっと大きく、港湾施設も非効率なため、スラバヤを使うほうが低コストとなる。東部地域との結節点としての役割は、スラバヤのほうがまだ大きいのである。

 

(2013年7月26日執筆)

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください