昼下がりの山手線での幸せな空気

今日は午後、東京駅近くで面会のアポがあったので、普段通りに乗った昼下がりの山手線。席に座った私の前のベビーカーで、赤ちゃんが目の前のお母さんを見ながら、うれしそうに声をあげていました。

お母さんの左側に座っている、ネクタイを締めた年配の紳士が、赤ちゃんを見ながらニコニコしています。時々、面白い顔を作って、赤ちゃんを笑わせようとしています。この紳士は、赤ちゃんのおじいさまではありませんでした。

お母さんの右側に座っている勤め人らしい、まだ若い女性も、読んでいる本から目を上げて、赤ちゃんの方を見て微笑んでいます。

空いている車内だったからでしょうか。楽しそうな赤ちゃんの姿が、私を含む周りの人々にほのぼのとした幸せな空気を作り出していました。

通勤電車で押し合いへし合いのない、昼下がりの山手線には、殺伐とした日本はありませんでした。ベビーカーと一緒に電車に乗るお母さんへの罵声もありませんでした。

あの日本とこの日本。同じ日本で起こっている異なった風景。

自分の経験した日本だけで、日本を代表しているかのように振舞ってはならない、そうじゃない日本もあるんだと思えるような自分でありたいな、と思いました。

大丈夫。まだそんなに人間の未来を悲観しなくてもよいのかもしれません。

今日も、毎月コレステロール検査をしてくださるお医者さん、カードで支払ったら店用と客用のカード控えを間違えたといって私を追いかけてきてくれた薬局のお姉さん、電車を降りるときにさりげなく道を開けてくれたおじさん。

コーヒー店でカードにポイントがつかないことを申し訳ながってくれた店員さん。夕食を食べたピザ屋さんでその店のピザの良さを教えてくれた店員さん。

何もない毎日でも、そうやって出会う人たちとのささやかな、コミュニケーションとも言えないほどのささやかなコミュニケーションを、丁寧に気持ちよく接することで、毎日を自分や出会った人たちにとっても、少しでも気持ちの良く感じられるような瞬間を一つ一つ積み重ねていきたいなあ、と思いました。

話は変わりますが、仕事用に、中村印刷所の方眼ノートを5冊買いました。

このノートは、印刷所の方のお孫さんがツイッターでおじいさまの素晴らしいノートについてつぶやいたことで、一般に知られるようになり、製品化されたものです。

他のノートと違い、開いて軽く押さえるだけで1枚の方眼紙になる水平開きになるノートです。水平開き製本の独自技術を用いており、左のページと右のページが本当に平らになります。

ノートの素晴らしさもそうなのですが、よい技術を持つおじいさまの製品が世間には知られず、売れない状態をなんとかしたい、とツイッターにつぶやいたお孫さんの気持ちを何となく感じることができます。

そんなノートにも、ほのぼのとした幸せな気持ちを感じてしまいます。それが理由というわけではありませんが、今日は、インドネシア政治連載の執筆はお休みにしました。

何もないような一日。でも必ず何かはあるのでした。

このブログは、力の入ったものだけでなく、こんなものも書いていきます。よろしくお付き合いください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください