ジャカルタ州知事選挙結果について
本日4月19日、インドネシアの首都ジャカルタの州知事選挙の投票が行われ、民間調査機関によるクイックカウントの結果、新人のアニス=サンディ組が現職のアホック=ジャロット組を破って当選することが確実となりました。
これについて、今日も連続ツイートをしてしましたので、ここでまとめて掲示します。今後のインドネシア政治を注意深く、冷静に見ていく必要を強く感じました。
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ジャカルタ州知事選挙はアニス=サンディ組の勝利となりそう。これまでの状況からすれば順当な結果。でも僅差ではなかった。改革よりも社会の平穏を重視する投票行動があった可能性がある。宗教の政治利用や恐怖心を煽るトランプ的・ルペン的手法が強まり、多様性の中の統一がこれまで以上に試される。
アニス=サンディ自身は教条的なイスラム主義者では全くない。多様性を重視し、融和を前面に掲げて政治・ビジネスを行ってきた。しかし今回、彼らは自分たちとは相容れない勢力を取り込んで勝利した。これら勢力を利用して次の大統領選挙を目指す動きから一線を画すことは相当に難しいだろう。
アニス=サンディの守護者であるグリンドラ党のプラボウォ党首の元へ、元ゴルカル党首で実業家のアブリザル・バクリが来ていた。少しずつ、反ジョコウィ勢力が固まり始めた様子もうかがえる。
ジョコウィに教育文化大臣を解任されたアニス。その理由は明確でないが、教育界の著名人で、辺境地への青年教師派遣事業など、開明的だった彼が納得したとは思えない。ジョコウィ命だったアニスの変質。政治には無関心だったのに突然グリンドラ党へ入党したサンディ。彼らには挽回したい何かがあった。
ジャカルタの中流以上の市民の成熟に対して、中流以下の市民は格差や差別の意識を抱いていたかもしれない。今回のジャカルタ州知事選挙を通じて、それらがイスラムという言葉に絡めとられた様子がある。イスラムが政治利用され、格差意識が高まり、社会が暗黒へ向かった90年代を学び直すことも大事。
アニス=サンディを俺たちが勝たせたと信じる一部のイスラム勢力は、今後さらに増長する。同じ手法で選挙に勝とうとする動きが他地域でも現れる。騒ぎを怖れる人々や実業家はそうした動きにあえて抗わない。民族主義は反欧米の意味で必ずしもイスラムと敵対しない。宗教の政治利用を抑える楔は外れた。
過去のインドネシア政治における政治家の人間関係における裏切り、妬み、恨みといったものを組み合わせると、今の動きもなるほどなと思えるものが少なくない。全然アカデミックではないけれども。
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私自身は、今回のジャカルタ州知事選挙を、2019年大統領選挙でのジョコウィの対抗馬をうかがう展開の第一歩になるのではないか、という目で見ていました。そして実際、反ジョコウィへの展開をうかがわせるような動きが見られ始めました。
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