スラバヤの東南アジア最大の売春街は今 ~中小企業センターへの変貌~(松井和久)

【よりどりインドネシア第71号所収】

誰がどうやって計ったのかは知りませんが、東ジャワ州の州都スラバヤには、タイのパッポンやシンガポールのゲイランを上回る、東南アジア最大の売春街が存在しました。存在しました、という過去形なのは、2014年にスラバヤ市政府によって閉鎖され、いまはもう消滅したためです。

この売春街は、通称「ドリー」(Dolly)と呼ばれていました。売春店が並ぶ通りをドリーと呼んでいたのです。しかし、ドリーは売春街の一部に過ぎませんでした。この地域を東西に延びる幹線のジャラック通り(Jl. Jarak)の両脇には売春店が軒を連ねていたほか、実は、プタット・ジャヤ(Putat Jaya)地区の路地裏にも広がっていました。

2014年に閉鎖となった後、この元売春街では、売春に代わる新たな雇用を生み出すべく、スラバヤ市政府が中心となって、中小企業センターへの変貌を推進しています。

筆者は2013~2015年にスラバヤに滞在し、滞在中に売春街の閉鎖を目の当たりにしました。たまたま、筆者の家はそこからさほど遠くないところにあり、売春店に行ったことは全くなかったものの、タクシーで夜、たまたまジャラック通りを通ることが何度かありました。

そして2020年3月、中小企業支援を行っている友人たちとともに、ドリーとプタット・ジャヤを再訪しました。本稿では、そのときの様子を踏まえて、変貌する元売春街の様子を皆さんにお知らせしたいと思います。

(以下、本文へ続く)