コロナ禍での中国人労働者の入国許可問題(松井和久)
【よりどりインドネシア第73号所収】
インドネシアでの新型コロナウィルス感染状況は、世界各国から見ると、数のうえでは少ないように見えますが、まだまだ予断を許さない状況にあります。
2020年7月6日現在、これまでの感染者総数は6万4,958人、治癒者総数は2万9,919人、死亡者総数は3,241人となっています。前号の発行日である2020年6月22日の値と比べた増加数は、感染者総数が1万8,113人、治癒者総数が1万1,184人、死亡者総数が741人となっています。
6月22日以降、感染者数は毎日1,000~1,600人程度増加しているのは気になりますが、治癒率(感染者総数に対する治癒者総数の比率)は6月22日の40.0%から7月6日には46.1%へ上昇する一方、死亡率(感染者総数に対する死亡者総数の比率)は同期に5.3%から5.0%へ低下しています。毎日の経過で見ても、治癒率は着実に上昇し、死亡率は着実に低下しています。
気になるのは、一部の地方では、これから感染拡大が本格化しそうな気配があることです。そこでは、一時的な現象かもしれませんが、治癒率の低下や死亡率の上昇がみられます。地理的な条件や地方への感染のタイムラグを考えると、全国での数字が改善へ向かっているように見えるからといって、インドネシアはもう大丈夫だと結論づけることはできないと思います。
このような、まだまだ警戒すべきコロナ禍の状況下で、インドネシア政府が中国からの労働者500人の入国を許可したことが問題視され、メディア等で話題となっています。今回は、この問題を取り上げてみます。
(以下、本文へ続く)