【インドネシア政経ウォッチ】第96回 来年度国家予算案は大幅見直しか(2014年8月21日)
8月15日、ユドヨノ大統領の最後の独立記念日演説があった。2期10年の成果、とくに民主化システムの定着を自賛する内容で、演説は大きな拍手を持って終わった。
同時に、2015年度国家予算案が提示された。予算規模は、国家歳入総額が1,762兆3,000億ルピア(14年補正予算比7.8%増)、国家歳出総額2,019兆9,000億ルピア(同7.6%増)と引き続き赤字予算で、これを国債等で埋める。財政赤字の対GDP比率は2.32%に抑える。
予算案の算出根拠となる15年の想定経済指標は、GDP成長率が5.6%、インフレ率が4.4%、3カ月物政府証書利率が6.2%、為替相場が1米ドル=11,900ルピア、インドネシア原油価格が1バレル当たり105米ドル、原油生産量が日量84万5,000バレル、ガス生産量が原油換算で日量124万8,000バレル、となっている。
予算案の最大の焦点は、補助金削減ができるかどうかにある。予算案では、電力向け補助金は14年補正予算比30.3%減と大幅にカットする一方、石油燃料向けは同18.1%増、非エネルギー向けは32.8%増と大きく増加させた。こうして、補助金全体で国家歳出と同じ伸びに抑え、何としてでも補助金が突出しないように留意した様子がうかがえる。
さっそく、ジョコウィ次期大統領と次期政権移行チームがこの予算案にかみついた。これでもまだ補助金削減の努力が足りない、という批判である。さらに、この予算案には、ジョコウィ側の意見や考えは反映されていない。プラボウォ側が憲法裁判所に異議申し立てをして係争中で、大統領選挙結果が21日まで確定していないためである。
ジョコウィ側は、この予算案のままでは自らの政策実施の自由度が相当に縛られると意識しており、補助金削減だけでなく、その他の予算でも無駄を省く大幅な見直しを行いたい意向である。現政権も次期大統領側と話し合って予算案を変更するとしているが、時間的に間に合うかどうかがカギとなる。
当然、各省庁が予算削減に強く抵抗するのは間違いない。ジョコウィと既存官僚組織との戦いは既に始まってい