【インドネシア政経ウォッチ】第40回 ハティブ新財務相への期待(2013年 5月 30日)

5月21日、新財務相にハティブ・バスリ投資調整庁(BKPM)長官が就任した。新財務相は、インドネシア大学経済学部を卒業し、オーストラリア国立大学で博士号を取得、インドネシア大学経済学部経済社会研究所(LPEM)副所長などを歴任したエコノミストである。

彼の専門は国際経済学であり、必ずしも金融の専門家ではない。また、純粋理論経済学者というよりはバランスのとれた現実重視派で、在野エコノミストとして著名だった故シャフリル氏に近い、社会経済学者的な側面を持つ。彼を世銀・国際通貨基金(IMF)の手先として糾弾するのは筋違いと思われる。

彼は、2004年のユドヨノ政権発足前からユドヨノの経済ブレーンのひとりと目されており、一時は国家開発企画庁(バペナス)長官の有力候補ともなったが、結局は見送られた。その後しばらくインドネシア大学へ戻り、世銀やIMFなどのプロジェクトに携わった後、BKPM長官として入閣を果たした。政治的野心のないプロフェッショナルで、腰の低い気さくな性格でもある。

財務省には、同じくインドネシア大学経済学部の2年先輩であるバンバン・ブロジョヌゴロ財政政策庁(BKF)長官がおり、このコンビが実質的に同省を動かしていくことになるだろう。2人ともブディヨノ副大統領やアルミダ・バペナス長官とも近く、経済政策の中核を彼らが決めていくことになる。

ハティブの前任だったアグス・マルトワルドヨ前財務相は中央銀行総裁に就任する。バンク・マンディリ頭取から転じたアグスが財務相の座を追われたのは、ユドヨノ周辺が側近のアニ財務副大臣を通じて求めた案件への予算増について、アグスが財政規律堅持を理由に拒んだためという見方がある。政治の季節を迎えるなかで、現実派のハティブ新財務相が前任者よりも柔軟と見られる可能性がある。

経済成長率見通しが下方修正され、インフレ圧力が強まるなど、インドネシア経済の舵取りは難しさを増している。わずか1年半の任期ではあるが、新財務相の手腕が期待されるところである。

 

http://news.nna.jp/cgi-bin/asia/asia_kijidsp.cgi?id=20130530idr023A

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