【インドネシア政経ウォッチ】第57回 森林保護区で揺れるバタム島開発(2013年10月3日)

シンガポールから最も近く、インドネシアの工業開発先進地域と目されてきたバタム島が今、土地利用問題で大きく揺れている。

それは、6月27日付の森林地の利用目的・機能変更に関する林業大臣決定2013年第463号により、バタム島総面積の64.81%が森林保護区とされていることが明らかになったためである。すなわち、商業センターのナゴヤ地区も、工業団地も、開発の進む住宅地も、バタム運営庁やバタム市庁など行政機関のある場所も、実は森林保護区に含まれており、それらはすべて、土地利用上は違法となってしまうからである。

森林保護区を他目的で利用する場合、林業省の許可が必要となる。林業省での森林保護区の利用目的・機能変更手続がネックとなり、空間計画がなかなか策定できない地方政府は数多い。工業団地の造成や商業地区の拡張が進まない理由にもなる。

バタム市の空間計画は2008年に市議会の承認を経て条例化されたが、現段階でまだ実施されていない。条例化の後で、森林保護区について林業省と協議する必要が判明したためである。バタム市は空間計画に関する判断を林業省に求めていたが、その返答が上記の林業大臣決定だった。

バタム市側は、バタム島開発自体が1970年代の大統領決定に基づくことから、今回の林業大臣決定の撤回を求めつつ、事業者に対しては通常通り事業を続けるよう説得している。そして違法との理由で法的措置が採られるなら、林業省を訴える可能性も検討している。一方、林業省は、森林保護区の制定は現場から所定手続に則って進めたものとし、林業大臣決定の根拠である1999年森林法や2007年空間計画法は大統領決定より上位であることを理由に、撤回には応じない姿勢である。

解決策はあるのか。林業省は乗り気でないが、反汚職委員会、警察、検察、最高裁などが「違法状態だが法的措置を採らないこと」で合意する、という極めてインドネシア的な手法が最終的な落とし所になると見られる。

 

http://news.nna.jp/cgi-bin/asia/asia_kijidsp.cgi?id=20131003idr022A

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