【インドネシア政経ウォッチ】第38回 カディン内紛の背景(2013年 5月 16日)

財界を束ねるはずのインドネシア商工会議所(カディン)が内紛の渦中にある。4月26日、スルヨ・バンバン・スリスト会頭に批判的な9つの州商工会議所が中心となり、西カリマンタン州ポンティアナックで「臨時全国大会」を強行開催。暫定新執行部が選出される事態となった。この造反劇を仕切ったのは、カディン評議会のウスマン・サプタ・オダン議長であり、彼は「臨時全国大会」で暫定会頭に選出された。

一方、「臨時全国大会」の開催自体を認めないスルヨ会頭らカディン現執行部は、直ちに動いた。すなわち、造反した9州商工会議所の会頭を解任し、後任を充てる人事を行うとともに、ウスマンを評議会議長から解任した。

カディン内紛の発端は2010年の会頭選挙にある。勝利したのは、ゴルカル党党首で実業家アブリザル・バクリーの側近中の側近であるスルヨであり、彼は組織担当の筆頭副会頭に、アブリザルの息子・アニンディヤを次期会頭含みで据えた。カディンは2014年大統領選挙に立候補したアブリザルを支える組織と化し、カディンの政治化が顕著となった。

これに対して、ユドヨノ大統領に近づき、政商として急速に台頭したウスマンは、会頭選挙当初はスルヨ支持だったものの、自身の政治的思惑や野心から、目立った成果を上げずに外遊に明け暮れるスルヨへの批判を強めていった。ウスマンは弱小政党である国民統一党の党首でもあり、インドネシア農民連盟会長職の正当性を巡って、グリンドラ党のプラボウォ党首と争うなど、ユドヨノ後のインドネシア政治に影響力を行使すべく動いてきた。

スルヨ体制のカディン執行部は、アブリザルに批判的なインドネシア経営者協会(Apindo)とも対立関係を深めた。ただし、Apindoのソフィヤン・ワナンディ会長はウスマンから「臨時全国大会」への支持を求められたものの、それを明確に拒否した。

14年大統領選挙を控え、政治化したカディンをめぐる内紛は、まだまだ続きそうである。

 

http://news.nna.jp/cgi-bin/asia/asia_kijidsp.cgi?id=20130516idr023A

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