【インドネシア政経ウォッチ】第86回 正副大統領候補決定、一騎打ちへ(2014年5月22日)
大統領候補届け出の締め切り1日前の5月19日、2組の正副大統領候補の出馬宣言が行われ、大統領選挙は一騎打ちとなることになった。
大統領候補のジャカルタ首都特別州のジョコ・ウィドド(ジョコウィ)知事は、ゴルカル党の重鎮ユスフ・カラ元副大統領を副大統領候補と発表し、ジャカルタ市内の「1945年闘争会館」で出馬を宣言した。ジョコウィ=カラ組は、闘争民主党(PDIP)、民主国民党(NasDem)、民族覚醒党(PKB)、ハヌラ党の4党が推薦する。出馬宣言後、2人はPDIPのメガワティ党首宅に寄った後、自転車で総選挙委員会へ出向き、 届け出を済ませた。
もう1人の大統領候補、グリンドラ党のプラボウォ党首は、ハッタ・ラジャサ国民信託党(PAN)党首・前経済調整大臣を副大統領候補と発表し(届け出は20日)、スカルノ初代大統領が住んだ「ポロニアの家」で出馬宣言をした。プラボウォ=ハッタ組は、グリンドラ党、PAN、開発統一党(PPP)、福祉正義党(PKS)、月星党(PBB)に加え、総選挙得票率2位のゴルカル党が土壇場で加わり、6党が推薦することになった。
ゴルカル党は、ジョコウィかプラボウォかで支持が揺れたが、アブリザル・バクリー党首へ一任された。まず、プラボウォへ接近するが、3兆ルピアの献金を要求されて決裂。次にジョコウィへ接近し、連携の見返りに11閣僚ポストを求めて拒否された。そして最後、プラボウォが上級相ポストをアブリザルに提示した後、プラボウォ支持が確定した。ゴルカル党は党員のユスフ・カラを支持せず、他党候補を支持することになった。
残る民主党は、大統領候補党内選考会で1位となったダラン・イスカン国営企業大臣を擁立せず、 副大統領候補にユドヨノ党首(大統領)の義弟であるプラモノ・エディ元陸軍参謀長を推し、アブリザルと組ませようとしたが、断念した。民主的な手続きを無視しても、汚職事件への関与を疑われるユドヨノ周辺を守る意味合いがあり、親族であるハッタ側につくものと見られる。