ジャカルタ州知事選挙の結果から読み取れること
2月15日に行われたインドネシアの101地方首長選挙の中で、内外のメディアに最も注目されたのが、首都ジャカルタの州知事選挙でした。
各種クイック・カウントでの得票率を見ると、候補ペア番号1番のアグス=シルヴィ組が16〜17%、2番のアホック=ジャロット組(現職)が42〜43%、3番のアニス=サンディ組が39〜40%、という結果でした。過半数を獲得した候補ペアがいなかったので、上位2ペア、すなわち2番と3番で決選投票が4月に行われます。
これまでの下馬評からすると、1番の票がかなり3番へ流れたことがうかがえます。1番はすでに敗北宣言をしました。
クイックカウントの結果には、意外に大きな違いはなかったですね。以前は、それぞれの候補ペアが自分に有利な数字が出るようにクイック・カウント会社を「買収する」といった話があり、結果が大きく異なることもあったのですが、今回はそのような様子は見られなかったように思えます。
私の予想では、2番がもう少し票を伸ばして過半数をかろうじて獲得し、僅差で当選するかなと思っていました。下馬評では3番がいま一つ伸び悩んでいましたが、私は3番は指示を伸ばしてくるだろうと思っていました。
インドネシアの選挙では、あえて2つのペアがガチンコで対決するのではなく、1つのペアが、自らの別働隊として、弱そうなペアを別に仕立ててあえて3ペアにして票を割り、決選投票へ持ち込んで勝つ、というやり方を戦術上採ることがあります。今回のジャカルタがそうだとは思いませんが、流れとしては、そんなふうにも見えてしまいます。
つまり、1番と3番は嫌アホックの票で概ね一致するので、次の決選投票では、1番の票を従えた3番が2番のアホックに勝つのではないか、という見方です。2番が勝つためには、イスラムか否かを基準に投票する人をいかに懐柔するかと同時に、3番のクリーン・イメージをいかに貶めるか、が鍵になってくると思われます。
現段階では、アホックが順当に勝つのはかなり厳しいと考えます。アホックがイスラム勢力を懐柔するのが難しいからです。となると、3番にこれからマイナスの何かが起こるのを待つしかないのかもしれません。
前回、ジョコウィが当選した2012年のジャカルタ州知事選挙のときも、今回とは違った形で、イスラムの名による大衆動員や誹謗中傷があり、もちろん、副知事候補だったアホックへの批判も渦巻きました。今回も、その片鱗は残っていました。
ジャカルタ州知事選挙を巡っては、表向きのイスラム主義の台頭(のような現象)やアホック自身の性格の問題などの裏に、様々な政治勢力の思惑があります。けっこう中身がゴチャゴチャしているのに加え、2019年の大統領選挙へ向けた動きとも関連してくるいくつかの要素が、すでに今回のジャカルタ州知事選挙に現れています。
それらについては、この数日の内に、Noteというアプリに記事を書きたいと思います。私なりの分析を加え、もしかすると中身が物議を醸すものになる可能性があるので、誠に恐縮ですが、有料記事とさせていただく予定です。僭越ではありますが、どうかご容赦ください。
NOTEの記事を楽しみにしてます!