【ぐろーかる日記】いくつかのウェビナーに参加してみての感想

今週は、9月1日、2日、3日とウェビナーに参加してみました。1日は、インドネシアの英字紙 Jakarta Post 主催の “Land without Farmers” と題するインドネシア農業に関するウェビナー(英語)、2日は、毎月連載しているSBCSインドネシア月報の解説ミニセミナー(日本語)、3日は、ERIAとASEAN事務局主催の食糧と農業に関するウェビナー(英語)、でした。

1日のウェビナーは、英字紙ということでインドネシア人のスピーカーもみな英語で話していましたが、人によっては厳しい様子もあり、インドネシア語でプレゼンしたスピーカーもいました。コメント欄やQ&A欄も眺めていましたが、こちらはほとんどがインドネシア語になっていました。

2日はわずか15分の日本語でのミニセミナーで、私は、自分の連載部分を含めて、過去1ヵ月間のインドネシア経済の概要を5分にまとめて話をしました。ポイントは、感染拡大の継続、2020年第2四半期のマイナス成長は近隣国に比べれば健闘、2021年予算案はやや楽観的、ジャワ島の都市部の貧困人口増大などジャワの経済回復がカギ、といった内容でした。

3日のウェビナーは、シンガポール、マレーシア、タイのスピーカーで、オール英語で進められました。

私自身は、コロナ禍でのインドネシアを含む東南アジアの農業について興味があったのですが、残念ながら、1日のウェビナーも3日のそれも、私の期待に沿う内容ではありませんでした。

第1に、コロナ禍での農業の現状についての言及が2020年第2四半期の農業部門のGDP成長率の話のみで、コロナ禍で何がより厳しくなっているのか、あるいは影響が意外に少ないのかなど、農業生産や農家の現場での話が聞けませんでした。コロナ禍以前の農業の一般的な話は出てくるのですが、コロナ禍で何が変わったのかについての言及はなかったのです。

第2に、現場から遠い話に終始していました。その中心は、フィンテックとデジタル化でした。農家から消費者に至るまでの取引費用の高さなど物流の問題への言及はありましたが、それはコロナ禍以前にも指摘された基本問題でした。農業に対する制度金融をどうするかは重要な課題ですが、それにフィンテックやデジタル化を入れることで何がどうh具体的に改善されるのかが明らかにされたとは言い難い内容でした。

第3に、農家の実態に基づいた話はなく、消費者の視点から農産品をどのように効率的に流通させるかという点に終始していました。すなわち、生産者と消費者をいまだに分けて議論しているという印象を持ちました。おそらく、今後は、生産者と消費者をどうつなげて顔の見える関係をつくっていくか、消費者が生産者をどのように支えていくか、ということが重要になってくると思うのですが、そうした点への言及はありませんでした。

このように、私としては、期待していた内容が聞けず、現場から遊離した、コロナ禍以前からの基本問題の話ばかりで、解決策はフィンテックやデジタル化だ、というような話だったので、正直言って、残念でした。

もし自分がウェビナーを主宰して開催するとしたら、トピックに合わせてスピーカーを選ぶだけでなく、そのなかで話し合うべきポイントを3~4点ぐらい明確にしたうえで、そのポイントを論点とした議論がスピーカー間であらかじめ共有したうえで、ウェビナーで議論できるような形にしなければならないな、と思いました。

さて、これからどんなふうに、私なりのウェビナーを作ってみるか、もう少しほかのウェビナーに参加しながら、じっくりと考えてみたいと思います。そして、時宜を見て、皆さんに私なりのウェビナーをご披露したいと考えています。

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