東北家族会でインドネシア人技能実習生と交わる

3月4日、宮城県塩釜市で行われた「東北家族会」に参加してきました。

「東北家族会」というのは、東北地方に居住するインドネシア人技能実習生の親睦団体。インドネシア語ではKeluarga Tohokuと呼ばれています。

「東北家族会」は当初、わずか8人でスタートしたのが、現在の会員数は約500人。4日のイベントに参加したのは170人ほどでした。女性の姿も目立ちましたが、彼女らは、気仙沼や塩釜などの水産加工場の研修生でした。

イベントの中身ですが、まず、神への祈りから始まり、塩釜にいる女性会員たちの踊りのアトラクションが続きます。

その後は、3年間の研修期間を終えて帰国する研修生への記念品の贈呈など。

記念品の贈呈が一通り終わると、昼食。インドネシア人技能実習生OGが日本人の旦那さんと経営するケータリング屋さんの弁当でした。

昼食と礼拝の休憩の後は、新しい「東北家族会」の代表を選ぶ選挙が行われました。候補者は2人で、顔写真と公約の書かれた投票用紙が配られ、インドネシアの選挙と同じように、そのどちらかを添付された爪楊枝で刺す、という形で投票が行われます。

そして、開票。インドネシアの選挙と同じように、2陣営と選挙委員会からの計3人の証人が爪楊枝で刺された穴の位置を確認し、それを他の人にも見えるようにします。

新代表が選ばれ、新代表による決意表明が行われた後は、閉会あいさつの後、お楽しみタイム。壇上でダンドゥットが始まり、会場内の至る所で出席者が勝手に踊り始めます。

ひとしきり楽しんだら、全員で会場内の清掃を始めました。

会場をきれいにして、散会。皆さん、とても楽しそうでした。

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今回、このイベントが行われたのは、塩釜市杉村惇美術館という場所です。イベントの合間に、館内を少し探検してみました。

静物画を得意とする塩釜ゆかりの画家・杉村惇氏の作品が展示されているほか、彼のアトリエが再現されたコーナーもありました。

杉村惇美術館の建物は、もともとは塩釜市公民館で、丘の上に立つ、ユニークな形の古い建築物です。

2011年3月11日、この丘のすぐ下まで津波が押し寄せた、ということでした。

こんな素敵な建物で、「東北家族会」のイベントが開かれていたのが、何とも言えず、印象的でした。

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東北地方に居住するインドネシア人技能実習生が、「東北家族会」のような形でまとまっていることに感激すると同時に、彼らにとってその存在がいかに心強いかを感じました。

そして、彼らを支える日本人や地元の方々の存在も知りました。宮城県国際交流協会の方ともお会いしましたが、同協会は、彼らと地元の方々との交流と共生、地域づくりへの協働を本気で促進しようとしている様子で、個人的にとても嬉しく思いました。

イベント終了後、参加者と一緒に、塩釜から仙台へ移動し、仙台駅で、「東北家族会」の中心メンバーであるW氏やY氏らと2時間ほど色々な話をしました。

筆者も、東北地方に居住するインドネシア人技能実習生に寄り添う活動を、彼らと一緒に行なっていける確信を持てました。筆者が考えていたことは、まさに彼らが必要と感じていたことでした。

今後、「東北家族会」と関係を密にしながら、技能実習制度を本物にしていくための取り組みを、一歩一歩進めていきたいと思います。その具体的な内容については、別途、説明していきたいと思います。