【インドネシア政経ウォッチ】第77回 北スマトラの電力危機は続く(2014年3月6日)

長引く北スマトラ州の電力危機が国家的課題として取り上げられ始めた。2月27日の閣議で、ユドヨノ大統領が電力供給問題、特に壊れた発電機の早急な修繕を命じた。

北スマトラ州で電力危機が言われ始めてから、すでに10年近くが経過している。2005年から10年間で計1,000万キロワット規模の電力供給増加計画も立てられていた。 たとえば、09年にラブハン・アンギン火力発電所から33万キロワット、10年にアサハン第1水力発電所から18万キロワット、11年にパンカラン・スス火力発電所から40万キロワット、といった具合である。北スマトラ州には火力発電所に加えて水力発電所や地熱発電所もあり、これらが順調に動けば、電力は十分に足りる計算だった。

ところが、これらの発電所の建築許可が地方政府から下りない。たとえ発電所が運転可能となっても、用地買収が進まないために送電所が建設できない。さらに、アチェ州のアルン天然ガス田から引く予定のガスパイプラインの建設が終わらず、火力発電所へのガス供給のめどが立たない。そして、官僚制や汚職の問題も見え隠れする。

加えて、州内の複数の火力発電所で中国製発電機が故障して止まり、その修繕のめどが立たない。ユスフ・カラ前副大統領は、「当時、政府の資金不足で中国製を選択してしまったが、メンテナンス面を考えなければならなかった」と述べている。発電所を建設する資金の85%を中国側が負担するというスキームも破綻し、結局は国営電力会社(PLN)が穴埋めせざるを得なくなった。これらの結果、現時点では目標の1,000万キロワットのうち650万~750万キロワット程度しか達成できず、計画停電を余儀なくされている。

中国製発電機の問題については、非効率で高度な汚染源になるとして、中国が40万キロワット以下の発電所の建設を禁止したため、売れ残った発電機が上乗せ価格でインドネシアへ売られた疑いも指摘されている。

しかし、北スマトラ州の電力危機は待ったなしで、戦犯探しや政略を弄(ろう)している余裕はない。官僚制や汚職の問題にも切り込む必要があるだろう。

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