【インドネシア政経ウォッチ】第127回 企業移転と地方の投資誘致競争(2015年4月9日)

交通渋滞、洪水、コスト上昇、労働争議など投資環境の悪化を嫌う企業が、ジャカルタ周辺から他の地域への企業移転、工場増設に動いている。

その主力は国内企業である。2014年の州別の国内からの直接投資(DDI)実績で、第1位は、38兆1,320億ルピア(約3,530億円)の東ジャワ州である。東ジャワ州は、実は12年から第1位を占めている。西ジャワ州は海外からの直接投資(FDI)実績で第1位だが、DDIでは東ジャワ州に次ぐ第2位となっている。また、中ジャワ州も13年から投資実績が急増している。

一方、ここ数年のジャワ島における各県・市の最低賃金上昇率を見ると、工業団地の集中する州都周辺・北海岸が高く、それ以外の南部では相対的に低い。州内で「南北問題」とでもいうべき経済格差が拡大する気配がある。その最低賃金水準が低い南部へ労働集約型産業の投資が進出を加速しているのである。

例えば、中ジャワ州南東部のボヨラリ県のDDI実績は、12年は1,056件・2,733億ルピア、13年は938件・1兆1,217億ルピア、14年は804件・1兆1,704億ルピアと急増したが、その大半は繊維・縫製関連投資である。中には、ボヨラリ県から周辺の別の県へ企業移転・工場増設するケースさえ出ている。FDIでも、韓国系のパン・ブラザース・グループが先導する形で、他の韓国系繊維企業が企業移転先を物色している。

こうした状況下で、中ジャワ州や東ジャワ州の各県・市では、首長が率先して用地買収や従業員確保に当たったり、許認可手続きの簡素化を進めたりして、投資誘致競争を繰り広げている。投資許認可手続きのワンストップ・サービスはすでに各県・市が導入しており、各手続きの料金と所要日数は明記され、その低料金化と日数短縮で競い合う。中には、手続きをすべてオンラインで行い、許可証発行の最終手続き時にオリジナル書類を提出すればよいところもある。

各県・市と投資調整庁(BKPM)とのオンライン化も始まり、地方の投資誘致競争にいっそう拍車がかかりそうである。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください