【インドネシア政経ウォッチ】第134回 断食明け大祭の朝、パプアで暴動(2015年7月23日)

1ヵ月間の断食期間(プアサ)が明けた翌朝のイード礼拝は、日本で言えば年越し後の初詣に当たる神聖な祈りの儀式で、通常は屋外で行われる。パプア州トリカラ県の県都カルバガに住むイスラム教徒は7月17日朝、このイード礼拝を妨げられた。

トリカラ県のあるパプア州の高地はキリスト教徒が多数を占める。トリカラ県では同県キリスト教団のセミナーが7月15〜20日に開催されており、キリスト教団はイード礼拝がセミナーに支障を与えないよう求めた。当初はイード礼拝自体に難色を示したが、「拡声器を使わない」「イード礼拝をモスクの屋内で行う」との条件をイスラム教徒側に求め、キリスト教団によれば、イスラム教徒側はそれを了承したとされる。

しかし当日、イスラム教徒側はその条件を守らず、イード礼拝を屋外で挙行し、拡声器も使ったらしい。イスラム教徒側によれば、怒った群衆がイード礼拝会場へ押し寄せてモスクに火を放ったとされる。一方、キリスト教団側は、条件を守らないことに抗議する地元民へ警察が発砲し、死者1人、重軽傷者10数人が出た。それに怒った群衆が商店や家屋へ放火し、それがモスクに延焼したという。ともかく、神聖なイード礼拝は妨げられた。

この事件に対して、全国のイスラム教徒は神聖な宗教行為への侵害だとして、異宗教への不寛容に対する批判が一斉に巻き起こった。一方、キリスト教団側はモスクが焼かれたことを謝罪する一方、その引き金になった警察による国家権力の乱用を批判した。パプアの中央への不信感が表出した形である。国家警察は真相究明に乗り出すことを約束した。

実は、トリカラ県では2012年、県知事選挙に立候補した前知事派と当選した現知事派との間で死者の出る激しい抗争があり、商店や家屋のほか前知事宅も焼かれた。パプア州知事の仲介で両者は和解したが、両者の対立は今も根強く残る。次の県知事選挙を控え、今回の暴動の背後に前知事派と現知事派との抗争が反映されている可能性もある。

 

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