奥会津にはまり始めたかも

3月20日に会津柳津の花ホテルで講演する前に、同じ奥会津の只見町、金山町をまわっています。主催者から、講演のテーマに只見線のことを入れてほしいと言われており、まずは、只見線に乗らなければ、と思った次第です。

そこで、3月18日、まず、小出から只見まで、只見線に乗りました。今回の車両は2両編成、1両は「縁結び」をテーマとしたラッピング車両でした。

この日は東京から新幹線を使わず、在来線乗継で小出まで来たのですが、水上あたりから雪が見え始め、清水トンネルを過ぎたら、本当に雪国でした。小出駅でも、除雪した雪が高く残っていました。

小出=只見間は、1日に3本しか走っていません。その2本目に乗車。車内は、4人掛け椅子の進行方向窓側に一人ずつ、明らかに乗り鉄または撮り鉄の人たちが座っています。その多くは、青春18きっぷで乗車している様子でした。

途中、越後須原と入広瀬で、高校生ぐらいの若者が一人ずつ下りたほかは、車内は鉄道マニアの世界でした。

車内から撮ったのでピンボケですが、1階部分は雪に埋まっても、2階部分で出入りや生活ができるようになっているように見える家。雪の量を見て納得です。

大白川からは、いよいよ山越えです。六十里越という名のかつての厳しい難所は、六十里越トンネルで通過。トンネルに入ってから出るまで約9分もかかりました。

うっかりして、旧田子倉駅を通過したときに写真をうまく撮れませんでした。只見線を語るうえで、この田子倉のことを忘れてはなりません。只見線の敷設は、只見川電源開発における田子倉ダムとそのダム湖である田子倉湖のためでもあったからです。

そうこうしているうちに、只見に到着。

只見町の面積(747.5 km2)は東京23区よりも広い(東京23区は619 km2)のです!この只見町は、「自然首都・只見」を宣言し、ユネスコエコパークに登録されました。国内最大級の面積のブナの原生林があり、自然を生かしたまちづくりで、只見のブランド化を図っています。

只見町ブナセンターという組織があり、「ただみブナと川のミュージアム」や「ふるさと館田子倉」を運営しています。

ミュージアムの展示は、なかなかしっかりしたもので、とくにブナに関する学術的な展示のほか、動植物や昆虫に関するもの、そして民具や道具(とくに熊狩りなどの狩猟用具)と人々の生活に関する民俗的な展示にも見るべきものが多々ありました。調査研究成果が紀要として定期的に刊行されており、それが、只見町が発行する「只見おもしろ学ガイドブック」などにも反映されていました。

ふるさと館田子倉には、田子倉ダムの建設で湖底に沈んだ旧田子倉集落の生活・文化に関する記録や、田子倉ダム建設への反対運動や交渉に関する資料、田子倉ダム問題を題材にした文学作品等の展示がありました。

只見を含む奥会津では、かなり前から、子どもを含めた聞き書き運動が盛んに行われてきており、聞き書きを基にしたたくさんの出版物が残されてきました。その中心的役割を果たしたのが、三島町にある奥会津書房という小さな地方出版社ですが、行政も聞き書きに対する理解を示していたようです。

3月19日は、只見町からお隣の金山町へ移動しました。ここは、地中から炭酸水や炭酸泉が湧く場所で、大塩地区で取れた炭酸水を商品化して販売しています。甘くない微炭酸の炭酸水を味わいました。

今夜泊まっている玉梨温泉では、玉梨温泉の源泉のほかに、炭酸泉の源泉があり、町立のせせらぎ荘という施設でその炭酸泉に長い間浸かってきました。

炭酸泉と言えば、大分県の長湯温泉が有名ですが、東日本では、ここの炭酸泉(八町温泉)が有名なのだそうです。長湯ほど炭酸がバチバチ出てくる感じはありませんでしたが、温度が40度とわりに高い炭酸泉で、体中に粒々の炭酸の泡がたくさんついてきます。炭酸泉の源泉かけ流し、というのは初めて経験しました。

会津川口駅前では、有名な地元ソウルフードのカツカレーミックスラーメンを食べました。これは、ラーメンの上にカツカレーライスが乗っかっている、というものでした。福島県内の地元メディアがたくさん取材に来たということです。

これを出す「おふくろ食堂」の女将さんとは、なんだか色々話しこんでしまいました。20日の講演内容を考えるうえで、参考になる話を聞くことができました。

こうやって、実際に、短時間でも只見や金山を歩いただけで、具体的なイメージが少しずつ現れてきたような気がしています。明日20日は、柳津へ着く前に三島町を訪問しますが、さらに何か有益なインプットがあるのではないかと思っています。

何となくですが、奥会津にもはまり始めたような気配を自分自身に感じています。

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