ジャカルタは歩ける街へ?

今回、インドネシアへ出張して、久々にジャカルタに滞在しました。このところ、ジャカルタを経由せず、直接、地方都市へ行くことが多かったので、ジャカルタに滞在するのは、本当に久しぶりでした。

ジャカルタでは、念願の地下鉄(MRT)が4月1日に営業を開始するという話がようやく決まったようです。MRTが下を通るメインストリートのスディルマン通りは、歩道がとても広くなり、しかもバイクが侵入できないようになっていました。

MRTの駅の入口もできつつあります。

スディルマン通り自体もすっきりした感じになりました。

通りを渡る歩道橋も、一部は新しく、歩きやすくなっていました。

ジャカルタの渋滞の一因は、車の多さであり、どのようにして公共交通機関への移行を進めるかが課題でした。しかし、公共交通機関をいくら増やしても、移行が進むとは限りません。公共交通機関に乗ったり下りたりするためには、バス停や駅まで歩けることが重要なのでした。

安心して歩ける街になれば、人々は多少の距離も歩いて公共交通機関を乗り換え、目的の場所まで少し歩くようになります。

MRTやトランスジャカルタが注目されるジャカルタですが、歩ける街になることがとても重要なのだと思っていましたから、広い歩道はとても素晴らしい改善だと思いました。

ただ、それはスディルマン通りやタムリン通りのような、海外からのお客さんに見せる目抜き通りだけのものではないか、とも思っていました。

実際は、どうも、そうでもなさそうなのです。

外国人があまり住んでいない私のアジトのある東ジャカルタの地区では、歩道は広くなっていませんでしたが、大きな変化が見られました。

歩道に黄色い、目の不自由な方向けの点字ブロックが埋め込まれていました。これは今回、初めて見ました。

どぶ川はそのままで臭いですが、脇の歩道には点字ブロックが埋め込まれています。

もっとも・・・

点字ブロックの上にバイクが停められています。夜になると、ここに机や椅子が出されて、屋台が拡大営業していました。

それでも、点字ブロックが敷かれたことは、ここを目の見えない方を含めて人が歩くことを想定している、ということを表しています。

ジャカルタ中央部のワヒッドハシム通りは、歩道が拡張され、東から西への一方通行へ変わっていました。

その結果、サバン通りとの交差点付近の渋滞は、相当にひどいものとなっていました。

ジャカルタは、目抜き通りだけでなく歩ける街へと動き始めましたが、個別の地域をみれば、まだまだ改善が必要なことは言うまでもありません。

のろのろと、しかし前へ進む、というところでしょうか。前に進んでいることに意味がある、と思いたいです。

機種変更の顛末、日野まで行って3万円引き

日本でもう2年半以上使っているauの携帯電話(アンドロイド)。1年ぐらい前から電池の持ちが著しく悪くなり、日中使うと画面が明るくならないなど、使いづらくなってきたので、機種変更をすることにしました。

6月はおそらく福島にいる時間が長くなるので、5月中に機種変更しようと思っていたのですが、ずるずると末日までずれ込んでしまいました。

まず、東京の自宅近くのauの店へ行ったら、待ち時間が60分。午後2時頃から、都内で用事があったので、時間がかかるので止めて、某量販店へ向かいました。

某量販店で機種変更の代金を出してもらったら、私がインターネットのauサイトのシミュレーションの価格よりも1カ月あたり145円高い! そこで、量販店の係員にその理由を質しました。しかし、しどろもどろで説明ができず、彼らの持っているタブレットに組み込まれたシステム上、そのような額になる、とのわけのわからない説明をされました。

結局、その理由は解明されませんでしたが、私のような客は稀で、ほとんどはタブレットで説明するとそのまま購入してくれるのだそうです。それでいいのでしょうか。

知らない客のおかげで携帯電話会社がきちんと説明せずに「ラッキー」となるような商売のしかたならば、それは日本の外では全く通用しないというしかありません。auや量販店には、きちんと消費者に対してなぜインターネット・サイトと店頭で価格が違うのか、きちんと公に説明しなければならないと思うのです。

埒があかないので、その量販店で機種変更するのは諦めて、その近くの別のau販売店へ行きました。その店でも待ち時間は60分ぐらい。半分諦めかけていたら、係員から「月末ということで、機種本体価格を2万円安くする特売りをやっているau販売店がありますが、ご紹介しますか」と聞かれました。

場所を聞くと、日野とのこと。ちょっとびっくりしましたが、都内での用務を終えてから、夕方に、au日野店へ出向くことにしました。

そこでは、たしかに機種本体価格が2万円引き。これまで使ってきた携帯を下取りに出してさらに1万円引き。ポイントも全部使ったので、3万円引きとなりました。機種変更もスムーズに終わりました。

それにしても、競争相手のはずの同じ販売店が客を紹介するなんて・・・。どうも、紹介してくれた販売店の方が日野の販売店へ異動したらしく、それで紹介してもらえるのだそうでした。

機種変更に振り回された1日の顛末でした。

シンガポールのニューウォーター(新生水)

11月26日、ジョグジャカルタから帰国する前に、久々にシンガポールに寄りました。お目当ては、もちろん食べ歩きなのですが、それ以外に、在シンガポールの友人が面白いところに連れて行ってくれました。

それは、シンガポール・ニューウォーター・ビジターセンター。シンガポールの水道公社が行っているニューウォーター(新生水)を一般向けに紹介する施設です。

このニューウォーターというのは、一言で言えば、リサイクル水のことです。シンガポールが水を確保する方法は、(1) マレーシアから買う、(2) 雨水などをため池に貯める、の他に、(3) ニューウォーター(リサイクル水)を生産する、があります。

ニューウォーターは、下水をろ過し、殺菌し、蛇口からそのまま飲める状態にして、浄水へ還元する水です。ビジターセンターでは、その工程を学ぶことができます。

そこでは、まず、下水をマイクロフィルターでろ過、次に逆浸透膜(RO膜)を通して水に含まれる不純物を取り除き、最後に紫外線消毒をすることで、ピュアな水を生産できる、ということのようです。

ニューウォーター自体の研究は1970年代から行われていたようですが、コストと信用性の問題から実用できずにいたのが、1998年に生産体制が確立し、2000年に最初のニューウォーター生産プラントが完成、2001年から供給が始まり、現在では、シンガポールの水供給の30%をニューウォーターが占めるまでになったということです。

実際、ビジターセンターでは、ペットボトルに入ったニューウォーターを飲むことができ、もちろんしっかり飲みました。クセのない美味しい普通の水でした。

ペットボトル入りのニューウォーターは、実際に市中で販売を試みたらしいのですが、あまり売れなかったということです。もともとが下水なので、人々が気持ち悪がって飲まなかったのだと想像します。

今のところ、ニューウォーターは産業用として主に使われていますが、渇水時には、通常のため池からの水と混ぜて飲用にも使われています。

シンガポールは、自然の水源を持たない国です。マレーシアからの水の購入は2061年まで契約がありますが、そのマレーシア自体が水供給が不足気味と聞きます。こうした事態を見越して、シンガポールはニューウォーターの開発を進め、今では、ニューウォーター生産プラントが4箇所稼働しており、マレーシアとの契約が切れる1年前の2060年に、ニューウォーターの比率を水供給の55%にまで引き上げる計画です。

アジア有数の高所得国となったシンガポールの重要な懸案の一つが水問題であり、それを克服するために、ニューウォーターの開発を進めてきたことに、先見の明を感じます。

もっとも、シンガポールの250万人という人口規模とその集中具合が、高コストのニューウォーター開発を可能にする要素の一つで、どんな国でもニューウォーター開発が有効という訳にはならないことも事実だと思います。

このビジターセンターは、チャンギ空港のすぐそばにあります。センターでは1日に4回の無料ツアー(所要約45分)を行なっていて、誰でも気軽にネットで申し込むことができます。ツアーでは、「シャワーの時間を1分減らすとこんなに水の量を減らせる」といった水の使用量を節約させる教育的機能も果たしています。

このような政府施設をオープンにし、ネットで申し込める見学ツアーなどを通じて、積極的に住民へ説明し、節水意識を広めていくといった活動は、日本の行政機関などももっと学べるのではないかという気がしました。

こんな、一味違ったシンガポールに出会うのもいいのではないでしょうか。

The NEWater Visitor Centre
20 Koh Sek Lim Road, Singapore 486593
E-mail: pub_newatervc@pub.gov.sg
Phone: 6546 7874

見学ツアーの予約はこちらから。
https://app.pub.gov.sg/newatertour/Pages/default.aspx