山頂までトウモロコシ畑

ボアレモ県に滞在3日目の7月2日は、県南東部の村を訪問しました。本当は6月30日の午前中に訪問予定だったのですが、「雨がひどくて、道路状況が良くないので、来ないほうが良い」と言われて、行けなかった村です。ゴロンタロ空港へ向かう途中での寄り道でした。

スラウェシ島のマカッサルからマナドまで通じるトランス・スラウェシ道路から一本入ると、その道は、舗装されてはいるものの、穴だらけで、中には舗装が剥がれてガタガタになっている、急なアップダウンの道でした。上り下りが相当に急で、たしかに、これでは、大雨の中、行くのはかなり危険だと思わざるをえない道でした。

標高は上がっていきますが、道の両側はトウモロコシ畑が広がり、しかも遠くに見える山々の頂までトウモロコシ畑が広がっている様は圧巻でした。トウモロコシ畑を広げるために、削られた山肌があちこちに見られます。

村に着くと、そこもまた、山の頂までトウモロコシ畑でした。山肌が削られ、新たにトウモロコシ畑となるであろう様子もうかがえます。

昨日訪問した別の村では、かつてはほとんどがトウモロコシを栽培していたのに、今は皆んな止めてしまい、カカオへ転作していました。曰く、種子や肥料などの代金を商人から借りても、収穫の時に返済すると儲けがほとんどでないかマイナスになる、化学肥料や殺虫剤の投与で農地がダメになるのに加えて自分たちにも健康障害が出る、といった理由でした。

ゴロンタロ州は、北スラウェシ州から2000年に分立してから、州を挙げてトウモロコシ生産を奨励し、「トウモロコシ州」としてゴロンタロ州の名前を売りました。それから15年、トウモロコシ生産の弊害が出ている一方で、この村のように、今もなお、山を裸にし、トウモロコシを植え続け、森がなくなっていく状況も併存しています。

トウモロコシ栽培のための森林減少を食い止めるため、代替物としてカカオを含めたアグロフォレストリーの奨励が試みられていますが、この村のトウモロコシ栽培の広範な拡大を見ていると、アグロフォレストリーの前途は相当に多難だと思わざるをえません。

こんな村でも、ゴロンタロの断食明け直前の風物詩トゥンビロ・トヘの準備が行われていました。

トゥンビロ・トヘとは、灯を照らすということで、元々は、夜のイスラム礼拝を人々に伝えるための道しるべの灯りとして使われたようです。昔のブログでトゥンビロ・トヘについて書いたことがありますので、参考までにリンクを貼っておきます。

ゴロンタロ「灯りの祭典」

トゥンビロ・トヘは、なかなか幻想的できれいなので、機会があれば見に行かれたらと思います。州全体で行われ、今回訪問したすべての村で、準備が行われていました。でも、膨大な数の灯りをつけるために燃やされる大量の灯油とそこから発せられる二酸化炭素のことを思うと、ちょっと複雑な気持ちになります。