バナナ、イチゴ、レタス、胡蝶蘭
11月29日、「先端農業視察コース」の2日目は、復興のための新しい農業の試みを進めているプロジェクトを視察した。
広野町振興公社は、国産バナナの生産を試みていた。
日本でバナナと言えば、生食用だけが注目されるが、バナナの花も食用、葉は包装用と活躍する。たとえばバナナの葉を使って、脱プラスチックの動きを加速できないか。
バナナ以外に、パパイヤも試みていた。パパイヤも実だけでなく、葉も食用(やや苦いが)に適する。栄養食品として、様々な活用が期待できる。
お土産に、バナナ1本をもらって食べてみた。インドネシアの現地での完熟バナナの味を知っている身からすると、それを思い起こさせるとても美味しいバナナだった。やはり、国産だと何かが違う。
バナナの次は、イチゴ。大熊町での大規模イチゴ「工場」。
販売先は確保されていて、効率を徹底的に追求し、夏季にケーキなど業務用イチゴを生産することで、一般用の冬季イチゴと合わせて採算を取ろうとしている。
これも一つのやり方で、帰還困難地域を抱える大熊町に将来の希望をもたらす事業の一つという位置づけ。雇用創出の面もあるが、ロボット等の導入もありうると思われた。
イチゴの次はレタス。川内村でのLED光源を使った野菜工場を見学。
極めて衛生的で、気象条件に左右されず、安定した価格で供給できる。まさに野菜工場。風評の影響を受けない、新しい農業としての川内村の答えの一つなのだろう。
近くの工業団地には、バングラデシュの方が所有する企業が、ハラル対応食材を生産する工場を建設する予定。高齢化の進む川内村の今後の農業はどうなっていくのだろうか。
レタスの次は、葛尾村の胡蝶蘭。企業などの贈答向けの需要がかなりあるとのこと。
AIで適温に調整されたハウス内には、見事な胡蝶蘭が並ぶ。販売も順調なようで、葛尾村の新しい産業としての期待がかかる。
バナナ、イチゴ、レタス、胡蝶蘭。いずれも、東日本大震災+原発事故の後、既存の農業の再開がままならない状況下で、新しい希望の種として始まった事業である。
そして、そこには政府からの補助金が活用され、行政の肝いりによる第三セクターのような形で進められている。今はとにかく軌道に乗せることに懸命なのは当然だが、今後、どうやって持続性を維持していけるか。また、地域の先端ではない地場の営農活動や地域社会の中に、これからどのような関係性を持って根づいていくか。
しばらく間を置いて、これらの事業を再度訪問し、様子を見守っていければと思う。