特定技能への関心のものすごさに驚き

今回、インドネシアに来て、本当にびっくりしているのは、日本の新たな在留資格「特定技能」への元研修生からの関心のものすごさです。

弊社のフェイスブック・ページで、特定技能に関する記事を書き、私がアドバイザーを務めている、元研修生らの親睦団体「インドネシア研修生実業家協会」(IKAPEKSI)のエディ会長らと会った後、ものすごい数のメールやメッセージやWAが来るようになりました。

フェイスブック・ページのアクセス数は、通常だとせいぜい多くても500件程度なのですが、今回のアクセス数は、西インドネシア時間の4月29日午後10時現在、4万件近くになっています。

ほとんどのメッセージが「また日本へ行って働きたい」というもので、どうやったらそれが可能になるかを尋ねるものでした。

特定技能ビザを取るには、日本語能力試験(N4相当)と各対象職種の特定技能評価試験に合格することが条件ですが、日本で3年間技能実習生として活動した者はそれらの試験免除でビザを取ることができる、とされています。

このため、インドネシアでは今、元研修生がもう一度日本へ行ける、と盛り上がっているのです。それを煽っているのが、これまで技能実習生を日本へ送り出してきた全国各地の送り出し機関(LPK)で、「特定技能ビザでもう一度日本へ行ける」と喧伝しています。

その結果、送り出し機関のなかには、自分たちがすぐに日本へ送り出してあげると言って、元研修生から5000万ルピア(約41万円)を徴収するようなところもあらわれています。先走る日本側もそうした動きの裏にいる様子です。

これまで、帰国した元研修生はもう一度日本へ研修生としていくことはできないため、海外出稼ぎを望む彼らの多くは、韓国などへ労働者として出かけていくことが多かったといいます。それが、再び、日本へ行けるという話を聞いて、飛びついているようなのです。

スマランで元研修生に特定技能について説明する機会がありましたが、以前世話になった受入企業から「特定技能ビザで戻ってこないか」と声をかけられている元研修生がけっこう多くいたのにもびっくりしました。

しかし、特定技能を実施する前提として、日本政府とインドネシア政府との間で、悪質な仲介事業者の排除等を目的とする協力覚書(Memorandum of Cooperation, MOC)が締結されている必要があります。残念ながら、協力覚書はまだ締結されておらず、いつ締結されるかも見通しは立っていません。

大統領選挙をはじめ5つの選挙を同時に実施したインドネシア側も、天皇退位・新天皇即位を迎える日本側も、大変難しい時期だったということも考えられます。

一部の悪質な送出し機関は「協力覚書は既に締結済」と言ったり、すでに登録支援機関を自称して人集めを行ったりしているところもあると聞きました。

弊社・松井グローカル合同会社も現在、登録支援機関として認めてもらえるように入管へ申請中ですが、結果が出るのは6月か7月の予定で、今はまだ登録支援機関としての活動はできない状態です。

インドネシアで私は、「特定技能は政府間の協力覚書の締結があって初めて実施される」と様々な元研修生へ説明と説得をすることとなり、そのせいか、徐々に騒ぎが静かになってきた感があります。

西スマトラなどいくつかの地方からは、「日程を決めて特定技能の説明に来てほしい」との依頼も受けました。本来であれば、インドネシア政府や日本政府が説明すべきものと思うのですが、あやふやな情報で詐欺まがいの状況もあるなか、できる限りの協力はしていきたいと思います。

そうしたなかで、私のところでも、日本へ行きたい元研修生や彼らのデータを収集している送り出し機関とのコネクションがいろいろできてきました。どこにどんな職種に従事していた元研修生がいるか、という情報が入ってきています。

日本の企業様で、以前、インドネシア人研修生を受け入れていて、今度また特定技能ビザで受け入れたいという希望をお持ちの企業様や、新たに受け入れてみたいと思う企業様がありましたら、お手伝いをさせていただきたいと思います。

二国間の協力覚書が締結しておらず、弊社もまだ登録支援機関として認定されたわけではないので、すぐに実際に動くことはできませんが、協力覚書と登録支援機関認定が完了してすぐに動けるよう、情報は収集しておきたいと思います。

インドネシア人元研修生を特定技能ビザで受け入れてみたいという企業様がありましたら、元研修生の名前と受け入れた時期、業種・職種などを、メールにて松井グローカル合同会社・松井(matsui@matsui-glocal.com)までお知らせいただければ幸いです。

インドネシア人技能実習生の活用に関するコンサルティングを行います

以下のとおり、技能実習生の活用に関するコンサルティングを行います。

<想定される対象>

すでに技能実習生を活用している事業者、これから活用を考えてみたいと思っている事業者、あるいは、技能実習生を海外から受け入れて事業者へ彼らを派遣している監理団体、などを対象とします。製造業だけでなく、農林水産業なども対象とします。

なお、筆者の専門性を鑑み、対象はインドネシア人技能実習生とします。

福島在住のインドネシア人技能実習生との懇談(2017年11月18日)

<どのようなコンサルティングを行うか>

主に、次の4点を中心としたコンサルティングを行います。長年にわたって、地方を含むインドネシアと関わり、かつ日本や開発途上国の地域づくりや地域産業振興を見てきた筆者ならではの、他とは違うコンサルティングをご提案します。

●ミスコミュニケーション対策

第1に、技能実習生と事業者との間のミスコミュニケーション対策を行います。

技能実習生と事業者との間では、言語の壁などにより、意思疎通が不十分になりがちです。その結果、双方の誤解が解消されないまま、それぞれが相手のことを勝手に思い込むことになります。理解できないと思って黙ったまま時間が経ち、ある日突然、暴力や失踪などの事件が起こることがあります。

このような事態になる前に、筆者が間に立ち、技能実習生と事業者との誤解や思い込みを溶かす役割を果たします。そして、未然に、暴力や失踪を起こさせない状況を作ります。

もちろん、そのために、技能実習生に対しては、日本人や日本社会(必要であれば当該地域社会)について、事業者に対しては、インドネシアやインドネシア社会(必要であればインドネシアのなかの技能実習生の出身地域社会)について、理解していただくための十分な情報提供・講義等を行います。

●技能実習の見える化

第2に、技能実習の見える化のお手伝いを行います。

これは、実際に行われている技能実習の内容を言葉に表し、その一つ一つを適切に組み合わせながら、一種のカリキュラムのようなものにしていくお手伝いです。

この作業は、実際の技能実習に過度の負担を加えるものではありませんが、この作業を通じて、技能実習生がどのように技能を習得していったかを、誰の目にも明らかなようにしていくことが可能になります。また、事業者自身が、自らの技能実習の内容をさらに良いものにすることを再検討するきっかけにもなり得ます。

可能であれば、技能実習の終了時に、単なる修了証ではなく、技能実習でどのようなプロセスでどんな技術を身につけたかを示す技能証明書のようなものを発行できるように促したいです。これによって、技能実習生は帰国した後、この技能証明書が新たな就職の際に活用できるようにしたいのです。

筆者は、この技能証明書が発行できたならば、インドネシア政府やインドネシアの地方政府がそれをきちんと認知できるように、働きかけていきます。

●技能実習生の活用に関するアドバイス

第3に、事業者の今後の事業展開に技能実習生をどう活用していくかについて、助言します。

少子高齢化、市場の停滞、人手不足、後継者不足など、事業者は深刻な問題に直面しています。とくに、地方の事業者は、これまで地域産業の一躍を担ってきた歴史的経緯があり、地域経済の観点からも、事業者の今後は一事業者にとどまらない影響がありえます。

そこで、受け入れてきた技能実習生をどのように活用するかをご提案したいと考えています。すなわち、数年にわたって付き合う彼らを一時的なものとして使い捨てるのではなく、事業者の今後にどう生かすか、という提案です。

たとえば、事業者が海外進出する際に技能実習生を現地法人設立などで活用する、帰国した技能実習生が設立した企業と取引する、後継者がいない事業者が長年培ってきた技術やノウハウを帰国した技能実習生に託してインドネシアで事業展開してもらう、帰国した技能実習生が設立した企業が日本の事業者の企業に投資して日本の地域で事業を存続する、などがざっと思いつきます。

3年という年月を一緒に過ごす技能実習生だからこそ、事業者といい関係が作れれば、事業者は以後、彼らを活用することで、新たな展開へ進める可能性を見出せるかもしれません。

そのためには、技能実習の開始前に、事業者側の「どのような人材を技能実習生として求めるのか」と技能実習生側の「どのような技能・技術を習得したいのか、帰国後それはインドネシアの発展に貢献するのか」の適切なマッチングがある程度行われていることが望ましいと考えます。

そこで・・・。

●事前マッチングと技能実習生帰国後以降を含めたケア

第4に、事業者側の求める技術人材と、インドネシアから派遣される技能実習生との事前マッチングを試みます。

日本の事業者側で必要としている技能・技術で、インドネシア側にとっても有用で必要であるものは何か、をあらかじめ探り、つなげます。

筆者は、実は、インドネシアに帰国した元技能実習生のOB会組織「インドネシア研修生実業家協会」(IKAPEKSI)のアドバイザーを2016年から務めています。会員数は約5000人で、会員はインドネシア全国に所在しています。毎日のように、IKAPEKSI関係者とSNSでやり取りをしています。

このIKAPEKSIを通じて、日本への派遣前に日本の事業者が望むような技能実習生候補者を探したり、技能実習生の帰国後に就職先を探したり、起業したりするところまでケアをすることができます。

加えて、筆者は、過去30年のインドネシア研究者としての活動蓄積を通じて、今後のインドネシア全体、及びインドネシア国内の各地方にとって、どのような技能や技術が必要とされうるか、製造業だけでなく農林水産業についても、ある程度の知識と情報を持っています。

このように、筆者は、日本とインドネシアの双方の事情を踏まえたうえで、両者の今後の発展にとって、技能実習生を有益な形で活用できる事例を増やしていきたいと願っています。

以上のように、筆者は、弊社「松井グローカル合同会社」の事業の一つとして、単なる技能実習生の紹介・監理ではなく、日本の事業者とインドネシアの今後を踏まえた、グローカルな視野に立ったトータルなコンサルティングを行っていきたいと考えています。

インドネシア人技能実習生を活用されている事業者や監理団体の方で、ご興味を持たれた方は、お気軽に、下記までご連絡ください。

 松井グローカル合同会社代表・松井和久
 Email: matsui@matsui-glocal.com
 電話:090-3217-5845

インドネシア研修生実業家協会南スラウェシ支部のメンバーと面会

マラッカの興奮も冷めやらぬ中、1月13日昼前、無事、マカッサルに着きました。雨季のマカッサルということで、雨模様でした。

ホテルにチェックインして、まずは、もちろん、ワンタン麺を食べに行きました。マカッサルに着いたら真っ先に食べたくなるのが、これです。

そして、ホテルに戻ってから、インドネシア研修生実業家協会南スラウェシ支部のメンバーと面会しました。

インドネシア研修生実業家協会(IKAPEKSI)という組織は、技能実習研修生として日本に滞在し、インドネシアへ戻った後、起業したり、企業で働いたりしている方々が立ち上げたOB会のような組織です。この組織の立ち上げは彼ら自身のイニシアティブによっており、日本政府からもインドネシア政府からも立ち上げに関する支援は受けませんでした。

現在は単なる親睦団体としてだけでなく、IKAPEKSI会員間のビジネスマッチングや情報交換、日本から帰国した技能実習研修生に対する教育訓練や事業相談、なども行っています。現在、インドネシア国内の各州に支部をつくり始めており、南スラウェシ州支部もその一つとして昨年立ち上がりました。

南スラウェシ州からの技能実習研修生は、日本滞在中に行方不明になるなど問題を起こしたため、しばらく同州からの派遣が見合わされてきました。それゆえ、メンバーの多くはだいぶ前に日本に滞在した古い人がほとんどで、若いメンバーがいないという特徴があります。彼らとしては、何としてでもそうした汚名を晴らし、再び南スラウェシ州から技能実習研修生を派遣できるようにしたい、という強い願いがありました。

縁あって、私はIKAPEKSIのアドバイザーを務めており、真面目に活動している彼らの良き相談役でありたいと願っています。そして、技能実習研修生に関するマイナスのイメージを払拭し、彼らのような活動がもっと認知されるように、微力ながら努めていきたいと思っています。