今年もマカッサル国際作家フェスティバル2019に参加

毎年恒例となった感はありますが、2019年6月26~29日にマカッサル国際作家フェスティバル(MIWF)に参加しました。

マカッサル国際作家フェスティバルは、2011年に始まりました。インドネシアや海外の作家や詩人が集まり、多くの興味ある分科会が開催され、そこでは、著作を作家が紹介したり、歴史、時事、今後の私たちの生活に関する多くのトピックについて議論したり、市民が読書関連のイベントを開いたりしています。

今年、私たちは “Story Telling, Disaster and Resilience” と題して、聞き書きに関する分科会を行いました。日本からはインドネシアへの聞き書きプログラムの展開を主導している愛媛大学の島上宗子さん、インドネシアでの聞き書きプログラムのコーディネーターであるボゴール農科大学のZaenal Abidin氏、中スラウェシ州ドンガラ県の高校の先生で聞き書きグループの指導に携わっているRisna Abbas先生、ゴロンタロ州の聞き書きコーディネーターであるゴロンタロ国立大学のLilan Damaさん、そして聞き書きプログラムに実際に参加したRezaさん、Firaさん、Putriさんを招きました。

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Berpartisipasi pada Makassar International Writers Festival 2019

Seperti setiap tahun, kami mensponsori dan berpartisipasi dalam Makassar International Writers Festival (MIWF) pada tanggal 26-29 Juni 2019.
MIWF dimulai pada tahun 2011 sebagai festival berorientasi orang-orang biasa dengan pertemuan penulis/penyair dalam dan luar negeri dengan banyak jenis sesi yang metarik untuk menyajikan buku-buku baru oleh penulisnya atau membahas tentang berbagai topik terkait sejarah, masalah saat ini, dan tantangan masa depan untuk kehidupan masyarakat kita.

Di MIWF 2019 kali ini, kami mengadakan sesi tentang Kikigaki (mendengarkan dan menulis) seperti yang berjudul “Story Telling, Disaster and Resilience”. Kami mengundang Prof. Motoko Shimagami (Univ Ehime) sebagai koordinator transfer program Kikigaki yang asli dari Jepang ke Indonesia, Dr. Zaenal Abidin (IPB) sebagai Koordinator Program Kikigaki di Indonesia, Ibu Risna Abbas (Guru SMAN 2 Banawa, Donggala) sebagai pendidik untuk kelompok Kikigaki di SMAnya, Dr. Lilan Dama (LPPM UNG) sebagai koordinator di Gorontalo, dan tiga peserta program Kikigaki (Mr. Reza, Ms. Fira, dan Ms. Putri).

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Makassar International Writers Festival 2019

As every year, we sponsored and participated in Makassar International Writers Festival (MIWF) in 26-29 June 2019.

MIWF started in 2011 as peoples’ oriented festival as gathering of Indonesian and overseas writers and poets with a lot of kind of interested sessions to present new books by the authors or discuss about many topics related to history, current affairs, and future peoples’ oriented community life.

In MIWF 2019, we had a session about Kikigaki (listening and writing) as titled “Story Telling, Disaster and Resilience”. We invited Prof. Motoko Shimagami (Ehime Univ) as coordinator of transfer of Kikigaki Program origined from Japan to Indonesia, Dr. Zaenal Abidin (IPB) as coordinator of Kikigaki Program in Indonesia, Ibu Risna Abbas (teacher of SMAN 2 Banawa, Donggala) as educator for Kikigaki group in her highschool, Dr. Lilan Dama (LPPM UNG) as coordinator in Gorontalo, and three young participants of Kikigaki program (Mr. Reza, Ms. Fira, and Ms. Putri). » Read more

インドネシア・パダンで特定技能に関する説明会を開催

2019年6月24日、西スマトラ州労働局とスマートカレッジ日本語教育センターが主催する特定技能に関する説明会があり、元技能実習生や日本語教育センター向けに、当方より特定技能に関する説明を行いました。

この説明会は、特定技能に関する情報が錯綜し、誤った情報が数多く流れ、一部では元技能実習生が詐欺に遭うなどの事態が数多く発生していたことを鑑みて開催されました。

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Menjelaskan tentang Tokutei Ginou di Padang

Pada tanggal 24 Juni 2019, kami mengadakan kesempatan untuk menjelaskan tentang Tokutei Ginou kepada ex-Kenshusei dan LPK-LPK di Padang, bekerja sama dengan Dinas Tenaga Kerja dan Transmigrasi Provinsi Sumatera Barat dan LPK Smart College.

Kami mengadakan seminar kecil ini karena banyak informasi tentang Tokutei Ginou yang tidak benar dan dimanipulasi, dan banyak ex-Kenshusei mengalami penipuan.

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Explained about Tokutei Ginou in Padang

In 24 June 2019, we had a chance to explain about Tokutei Ginou to ex-Kenshusei and Japanese language training centers in Padang, cooperated with labor office of West Sumatra provincial government and LPK Smart College.

We made this small seminar because of many untrue and manipulated information about Tokutei Ginou and because many ex-Kenshusei were deceived.

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LPK AKARAとともにパヤクンブを訪問

2019年6月21~23日、日本語教育機関である LPK AKARAと一緒に西スマトラ州パヤクンブ市を訪問し、彼らが実施している日本への技能実習候補生向けの研修授業の様子を見ました。教室では約30人の生徒たちが日本語の基礎を勉強していました。彼らとの対話の後、我々から彼らを励ますためのスピーチを送りました。

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久々に素敵なイタリアン・ランチ

6月18日は、久々に、二人で素敵なイタリアン・ランチを楽しみました。

場所は、高田馬場の老舗イタリアン。もう何十年もよく行く店です。ちょっと時間をずらして行ったせいか、待たずに席に座ることができました。

最初は冷たいジャガイモのスープ。ジャガイモの味がよく出ていて美味。

前菜3種盛り合わせ。これも美味しい。以前は、5種だったような・・・。

パスタは、イタリア国旗をイメージしたニョッキと色々な肉の手打ちパスタ。

メインは、魚介類のスープと山形豚のソテー。これも絶品でした。

食後にカプチーノを頼んだら・・・。

飲むのが惜しい、可愛いライオンさんでした。きっと、この絵を見ていたからでしょうね。

すっかり満喫した久々のイタリアン・ランチ。

この後、小石川後楽園で、見ごろを過ぎたものの、花菖蒲を堪能しました。

二人が一緒になって、30年の記念日なのでした。おわり。

国際開発学会春季大会に出席しました

2019年6月15日、岩手県陸前高田市で開催された国際開発学会(JASID)第20回春季大会に出席しました。

陸前高田は, 2011年3月11日の東日本大震災・津波によって、市街地がまたたく間に消えてしまったという、最も被害の大きかった都市のひとつです。今、陸前高田は、多くの犠牲となった市民の冥福を祈り続けながらも、失われた旧市街のうえに新しい街を作りつつあります。

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Mengikuti Konferensi JASID, 15 Juni 2019

Saya mengikuti Konferensi Musim Semi ke-20 Japan Society for International Development (JASID) di kota Rikuzen-Takata, Prefektur Iwate, pada tanggal 15 Juni 2019.

Rikuzen-Takata adalah salah satu kota yang mengalami musibah terbesar dari gempa dan tsunami Jepang Timur pada tanggal 11 Maret 2011. Hampir semua pusat kota benar-benar menghilang dan lenyap oleh lebih dari 15 meter-tinggi tsunami hanya untuk sementara waktu. Sekarang, Rikuzen-Takata telah mencoba membangun kota baru di atas wilayah kota lama yang hilang bersama rasa kesedihan yang mendalam dengan berdoa untuk banyak warga korban.

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Attended JASID Spring Conference in 15 June 2019

I participated the 20th Spring Conference of the Japan Society for International Development (JASID) at Rikuzen-Takata city, Iwate Prefecture, in 15 June 2019.

Rikuzen-Takata is one of the biggest damaged cities of East Japan Earthquake and Tsunami in 11 March 2011. Almost all city center was totally disappeared by more than 15 meter-high tsunami only for a while. Now, Rikuzen-Takata has tried to build new city on the lost old city area with deep and long sadness with pray for many victim citizens.

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よりどりインドネシア第47号を発行

6月9~10日の京都・大阪への出張前に終えてしまおうと、6月8日、ウェブ情報マガジン「よりどりインドネシア」第47号を発行しました。

第47号までのバックナンバーはこちら。
https://yoridori-indonesia.publishers.fm/backnumber/

今回の第47号の内容は、以下の3本です。

●2019年5月のジャカルタ暴動を総括する ~負け組による勝ち組への計画的蜂起だったのか~(松井和久)
●ロンボクだより(20): 朝のフルーツは金?(岡本みどり)
●オーストラリアに眠る日本人抑留者の知られざる物語 〜新公開のカウラ日本人墓地データベースを試用して〜(脇田清之)

今号では、私なりに、5月20~21日のジャカルタ暴動の総括を試みました。そこには、イデオロギーや崇高な国家の理想とはかけ離れた、きわめて泥臭い、うまくやりおおせている者へに対する「負け組」の積もり積もった怨念がありました。敵をうまく包み込む民主化というものが果たして可能なのか、色々と考えてしまいます。週刊誌TEMPO最新号(2019年6月8日号)の記事も参考になります。

ロンボク島在住の岡本みどりさんの連載「ロンボクだより」も第20回となりました。私たちが常識と思っていることが、果たしてロンボクの人々にも常識なのか、そんな気づきが大切だと感じます。

戦時中のスラウェシ島の日本人の歴史を追っている脇田清之さんは今回、太平洋戦争勃発時に、スラウェシ島からオーストラリアへ抑留され、亡くなった日本人民間人に焦点を当てました。脇田さんが解き明かす知られざる人々の物語です。

「よりどりインドネシア」の購読方法は、次の二つの方法があります。

【方法1】ウェブサイトから申し込む場合は、以下のサイトにて、「お試し購読する」をクリックし、まず、Publishers IDを取得後、読者登録をしてください。クレジットカード情報を入れていただき、毎月、購読料が引き落としとなります(最初の1ヵ月は無料購読期間です)。

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「よりどりインドネシア」は、次の第48号で丸2年を迎えます。バックナンバーの合冊版の販売等も検討中です。他のメディアではなかなか伝えられない、いくつものインドネシアを伝えていきます。この機会に是非、ご購読をご検討いただき、ご愛読いただけますよう、よろしくお願いいたします。

渋谷敦志「まなざしが出会う場所へ」写真展をみて

どうして
見つめ返すのか
困難を生きる
人びとの眼を

今日(6/8)、友人である写真家・渋谷敦志さんの「まなざしが出会う場所へ~渇望するアフリカ」という写真展を観に行ってきました。場所は、東京・ミッドタウンのフジフィルム・スクエア1階の富士フィルム・フォトサロンです。

写真展の詳細は、以下のサイトをご覧ください。

 困難を生きる人びとのまなざしに向き合う
 【写真家たちの新しい物語】
 渋谷敦志写真展「まなざしが出会う場所へ —渇望するアフリカ—」

この展覧会は、2019年1月に出版された彼の著書『まなざしが出会う場所へ ― 越境する写真家として生きる』を踏まえて、とくにアフリカで出会った様々な「まなざし」を伝える写真展でした。


ちょうど今日は、午後3時から、渋谷さんのギャラリートークがありました。トークでは、彼のこれまでの写真家としての人生、写真にかける思い、アフリカで出会った様々なまなざしとその背景、これからのことなどが話され、写真展に来られた方々が熱心に耳を傾けていました。

飢餓や戦闘の現場で、写真家としての無力感を感じ、実際に現場で役に立つことをしなければならないとして、写真をやめようと思ったこと。

それを何度も繰り返しつつも、写真家として、そのまなざしが出会う場所に、自分が居ること自体に重要な意味があると納得できるようになったこと。

渋谷さんは、そうした苦しみのなかから、自分なりのオリジナルな写真家としてのスタイルを確立しようとし続けていました。

掲げられた写真にある一人一人のまなざしと向かい合いながら、彼らの人生を思っていました。そして、彼らにとって、ふと現れた一人の写真家のまなざしはどのように受けとめられたのか、考えていました。

決して言葉で理解し合えるわけではない。でも、そこで出会ったまなざしが、出会った双方の人生にとって、何らかの意味を持つということはあるかもしれない。

少なくとも、まなざしの相手のことを思える想像力は持ち続けていたい、と思いました。

写真展は、東京では6月13日まで、その後は、富士フィルム・フォトサロン大阪で6月21日~7月4日まで開催です。

皆さんも是非、アフリカの方々の様々なまなざしに出会いに行かれてみてください。そして、渋谷さんの著書『まなざしが出会う場所へ ― 越境する写真家として生きる』も、是非、読んでみてください。

日本は何によって外国人労働者に選ばれる国になるのか

●外国人が日本を選ぶ理由が議論されていない

「日本は、外国人労働者によって選ばれる国にならなければならない」という文言をよく聞く。韓国や台湾など、他のアジア諸国との外国人労働者争奪競争を意識したもので、そのためには、外国人労働者への法的保護を強め、これまでより働きやすい環境を整えることが必要、といった論調がみられる。

しかし、重要なことが一つ抜けている。すなわち、外国人労働者は何をもって日本を選ぶのか、その理由についての議論が全く見られないのである。

このこと一つとっても、昨今の外国人労働者をめぐる議論が、日本側、彼らを活用する側からの視点からしか行われていない、極めて一方向的な議論に終始していることが分かる。そう、政府も民間も、誰も外国人労働者側のことなんか本気で考えていないのだ。自分たちの人手不足が解消すれば、誰でもいいというような状況なのである。

なぜ外国人労働者は日本に来たいのか。他国ではなく、日本を選ぶのか。あるいは逆に、何を売りにすれば、彼らは自分たちの就労先として日本を選ぶのか。この辺りを、しっかりと調査した形跡はうかがえない。

外国人労働者への法的保護を強め、これまでより働きやすい環境を整えることは、もちろん重要である。その場合には、どれだけ他国よりも法的保護を強めるのか、働きやすい環境を整えるのか、ちゃんとアピールする必要があるのではないか。

地域おこしの一環で新産品開発・販売促進を試みる際、どこもかしこも同じような饅頭や漬物を作ってしまう、という批判をよく聞く。そのときに、他の類似製品と何が違うのか、同じ種類であればどのように他より優れているのか、説明できなければ、その新産品はアピールできない。お客さんから選ばれる商品にはならない。

もし政府が、選ばれる国になるために外国人労働者への法的保護を強め、これまでより働きやすい環境を整えるというなら、他国よりも優れている点をきちんとアピールすべきなのである。

もっとも、外国人労働者が、そういった点を重視して日本を選ぶかどうかは、やはり確認しなければ分からない。ただ、昨今のメディア報道や私自身のインドネシア人技能実習生・元実習生らとの関わりのなかから、見えてきたことがある。

高い賃金を理由に日本を選ぶ者もたしかにいる。でも、それ以上に、彼らが日本にあこがれる理由があるのだ。

それは、日本の高い技術・技能を学びたい、という理由である。

●日本で技術・技能を学びたい

彼らの頭のなかには、1970~1980年代の高度経済成長を成し遂げた日本のイメージがあり、それを体化させた日本製品の高品質への尊敬がある。彼ら自身、そうした日本製品を手にし、あるいは手にできなくとも、羨望のまなざしで日本製品を見ながら育ってきた。

時代は変わり、我々日本にいる者たちは、彼らのあこがれたそれは過去の日本であり、実際には多くの技術や技能における熟練が失われ、技の継承が難しい時代になっていることを知っている。家電製品を見るまでもなく、韓国や台湾や中国がもはや世界市場で重要な地位を占め、日本もそれら市場プレーヤーの一つに過ぎなくなったことは、国家としては悲しく寂しいことであろうが、急速に変化する時代のなかで、その現実をきちんと受け入れなければならない。

そこで、過去の日本にまだあこがれを抱き、それを学べるのではないかと思って日本を選ぶとするならば、受入側はどうすべきなのか。

もはや後継者はいないと思って継承を諦めていた技術や技能を、もう一度、引っ張り出してきて、彼らに教え込むことはできないだろうか。

発展を急いだ国々では、釘やネジを正確に造ったり、ハサミをきちんと研いだり、道具や工具や産業機械を自前で製造・管理したり、建築の際に安全に作業する手順など、そうした基礎的な部分が疎かなまま、最先端技術やIT/AIへ一気に飛びつこうとしている様子がある。何かあったときに、ベーシックへ戻って自前で問題を解決できる技術や技能が求められているはずである。

もっとも、それは外国人労働者だけでなく、日本人労働者でも同様なのだが・・・。しかし、日本人労働者がそうした現場に来たがらないという現実もある。日本人が見つからないから外国人、という安易だが背に腹は代えられない状況がある。

日本で技術や技能を学びたい、という外国人労働者が来たなら、受入側は彼らにきちんと教えてくれるだろうか。そうあってほしいと思うのだが。

●日本で学んだ技術や技能を活かすために

日本へ行ったら技術や技能が学べる、としても、日本で学んだ技術や技能が、外国人労働者の祖国や地元で生かされなければ意味はない。

そこで、外国人労働者が日本へ来る前に、できれば地元の政府や企業の関係者を交えて、日本でどのような技術や技能を学んでくるのが帰国後に地域への貢献になるのかを話し合い、適任な候補を選抜し、彼に地域からの期待を背負う形で日本の受入企業で学んでもらう、という道筋をつけるべきだと考える。

日本の受入企業側も、そうした使命をもって受け入れた外国人労働者を手荒に扱うことはできないはずだ。なぜなら、受入企業が長年培ってきた技術や技能を尊敬し、それを学ぼうとする稀有な人材は、いまや日本のなかで探し出すことが難しいからである。だったら、受入企業を敬う外国人労働者に対して、それを託し、たとえ日本でなくとも、世界のどこかで匠の技が伝承され、世の中に役立てるような形で伝承されていくことを望むはずだと思うからである。

もしこれが実現できるならば、技能実習制度は本当の意味での技能実習となり、技能実習生を受け入れて育てた企業は、収益や利潤だけではない、技術・技能教育機関として、日本の地域のなかに存続していく価値を持つことになる。地域に企業が残っていくための一つの方策として、本来的な意味での技能実習制度が活用できるのではないか。そうした企業を表彰し、指導者企業という称号を与えて行政が存続を支援する政策を採ることも有用である。

そしてまた、受入企業が当たり前だと思っている日常的な作業を再評価し、それが技術・技能修得プロセスをきちんと踏んでいることを「見える化」させることも重要であろう。それによって、作業の意味付けがより深まり、本当の意味での技能実習と意識できるようになるはずである。

●本当の技能実習で、日本を人材育成のコアに

私自身は今後、以上のようなことを実現させたい。技能実習制度を本当の意味での技能実習にする。そのことが、日本を他国から差別化し、技術や技能を学びに来る人材を引き付けたい。技能実習を通じて、アジアにおける人材育成のコアとしての役割を日本が果たすように促したい。

インドネシアの地方の現場と日本の地方の現場の両方を知る自分だからこそ、その両者のニーズをつなぎ合わせ、両方の地方にとってウィン=ウィンになるような仕組みづくりを試みたい。

地方政府や地元企業家と一緒に、技術や技能を学ぶ意欲と使命感を持った人材を発掘・選抜。その技術・技能を教え人を育てられる日本の受入企業を見つけてつなぐ。日本での技能実習プロセスをしっかりモニタリング。祖国へ帰国後、その人材が地域の現場で何をするのか、学んだ技術や技能はどのように活かされているのかについて、地方政府や地元企業家と一緒にずっとモニタリングしていく。

●だから私はインドネシアの地方へ行く

だからこそ、私はインドネシアの地方へ行く。自分たちの地方をどうしていきたいのか、真剣に考え、行動しようとしている地方へ行く。その地方が直面する様々な課題は、日本の地方のそれと本質的に変わるものではない。その課題を解決・緩和するためにどのような人材をどのように育成していくか。

それは、単なる数合わせではない。日本側で不足する人数を揃えて調達すればいい、という話ではない。地方の期待を背負った大事な人材を日本でしっかり育てる、ということなのである。前にブログで触れた、固有名詞で捉える世界なのである。

技能実習制度を本当の技能実習にする。これは、かつて日本の専門家が海外へ出て行って人材育成を行ったこととは逆に、外国から来た研修生に対して日本の受入企業が指導し、日本で人材育成を行う、ということである。これまでに海外での様々な人材育成のノウハウを蓄積してきたJICAやAOTSなどの政府機関が、技能実習制度を本当の技能実習とすることに役割を果たせる可能性があるのではないか。

●介護・看護でも、農業でも必要な人材育成

以上の話は製造業をイメージしていたが、介護・看護や農業でも同様である。

急速な高齢化が進むアジアでは、遠くない将来、多くの介護・看護人材が必要になる。日本は、そうした介護・看護人材を量的に育成するだけでなく、いずれ各国で介護・看護人材を育成できる指導者的人材を育てて輩出することを考えるべきである。今、日本で受入れている介護・看護人材をそのような目で育てていくことが求められてくる。

農業でも、技能実習では単なる労働力ではなく、農業経営のできる人材育成と位置づけるべきである。農業労働者ではなく農業経営者となった彼らは、帰国後、自分の農村でのリーダー的存在となり、村づくりや産品振興の先頭に立って、地域のために活躍できる人材となっていくはずである。

●特定技能は「労働者」、技能実習と明確に分ける

2019年4月から始まった特定技能は、研修生ではなく「労働者」という色彩が濃い。単純労働も可能という解釈であり、単に高賃金を求める外国人労働者は、こちらのカテゴリーに含まれていくことだろう。

ただ、少なからぬ企業は、特定技能では転職が認められることから、3年間縛り付けられる技能実習を選好するものとみられる。だとするならば、ここではっきり、技術や技能を教えて人材育成するならば技能実習、人手不足解消のための労働者として雇うならば特定技能、と分けるべきと考える。

そして、技能実習をきちんと行う企業は、たとえ経営が厳しくとも、人材育成企業として行政が称え、政策的な優遇措置を採って地域に存続させる。一方、労働者として特定技能ビザで雇った外国人労働者は、日本人労働者と同様の権利を認め、転職もやむなしとする。

もっとも、特定技能ビザで雇ったとしても、技術や技能の修得を図り、技能国家試験の上級に合格させるなど、人材育成に貢献した企業は、技能実習の場合と同様に、人材育成企業として行政が支え、地域に存続させることを考えるべきであろう。

●人材育成を通じて送り出し国の地方と日本の地方をウィン=ウィンに

日本が外国人労働者に選ばれる国になるために、外国人労働者への法的保護を強めたり、これまでより働きやすい環境を整えることは基本中の基本である。そして、技術・技能を学びたいという彼らも、いつまで過去の日本へのあこがれを抱き続けるかは定かでない。日本が彼らに選ばれる理由をもっと真剣に考える必要がある。

そして、彼らの評価が変わらない今のうちに、送り出し国の地方にとっても、受け入れる日本の地方にとっても、地域活性化の観点からウィン=ウィンとなるような事例・仕組みづくりを始めることに意味がある。

ここに書いたことは、理想論かもしれない。でも、ことインドネシアに関して、インドネシアと日本とをつなぐプロとして、私はそれを実現させたい。興味を持たれた方は、是非、ご連絡いただきたい。

そして、彼ら外国人労働者が単なる人手としてではなく、地域活性化にとっても戦力として生かしていける可能性について、別途、このブログで論じることにしたい。

椏久里珈琲で美味しいコーヒー&お菓子と突然の弾き語り

6月1・2日は、福島市で東北絆まつりが開催されて、多くの観客でにぎわったようです。友人の話だと、市内は交通規制がかかっていて、メイン会場の市役所へ行くのも大変だった様子。

というわけで、常にメジャー路線を避けて行動する、あまのじゃくな私は、絆まつり見物には行きませんでした。その代わり、6月1日は、友人からの誘いを受けて、今月のケーキとコーヒーを味わうため、椏久里珈琲へ行きました。

椏久里珈琲には、毎月変わるケーキをいただくため、最低でも、1ヵ月に1回は顔を出すようにしているのですが、今回は、それに加えて、友人が「紹介したい人がいる」ということで、いそいそと出かけたのでした。

その方は、福山竜一さんという、シンガーソングライターでした。これまでにも、椏久里珈琲で何度かミニコンサートを開いている方です。

今回は演奏が目的ではなかったようですが、やはりギターは担いで来られており、椏久里珈琲のマスターご夫妻からの要請により、急遽、生の弾き語りをしていただきました。

いきなり「やれ」と言われたせいか、最初はあまり声が出ていませんでしたが、徐々に声が出始め、とくに高温のファルセットがとてもきれいで、やさしい感じの素敵な歌い方でした。

椏久里珈琲のマスターご夫妻をイメージして作った「アグリの大地で」、福山さんの故郷をイメージして作った「トマト色の黄昏」、どちらも、歌とともに歌詞がジーンと来ました。

福山さんを紹介してくれた友人のために歌った「ケセラセラ」、実は、私にとっても、歌ってもらってよかったと思えるものでした。歌に救われた気分でした。

福山さんのCDを1,000円で購入しました。もちろん、サイン付きで。

CDは、椏久里珈琲の店内、またはオンラインショップで購入できます。オンラインでの購入はこちらから。

福山さんのブログはこちら → ヤングの秘密の小部屋

福山さんの歌を聴いていたので、うっかり食べ忘れそうになったのが、椏久里珈琲の今月のケーキ。今回のセレクションは、コンヴェルサシオン。

曰く、「サクッ」とバターの甘い風味、「しっとり」とアーモンドのかぐわしい香り。異なる食感と風味が一つになった完成度の高いフランス菓子です。

あまり奇をてらっていない、庶民的なお菓子ですが、香ばしくてコーヒーにぴったりの美味しさでした。

いつもなら、満席で座れないのが椏久里珈琲の土曜の午後なのに、絆まつりのためか、珍しく、店内はお客さんもまばらで、マスターご夫妻も交えて、ゆったりと過ごすことができました。生の弾き語りも堪能できて、なんだか、思いがけず、ちょっと贅沢な土曜の午後になりました。

福山さん、ありがとうございました。そのうち、また、歌を歌いにいらしてください。もっとたくさんの人に聴いてもらいたいです!

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