都電荒川線沿いの可憐な花たち

我が東京の自宅の最寄り駅は大塚駅。JR山手線と都電荒川線(さくらトラムという別称があるらしい)とが交差する駅です。

大塚駅の周辺は、今の季節、地元の方々によって植えられた花々が咲き誇っています。とくに、大塚駅の南側、向原駅までの都電の線路に沿って植えられたバラは有名です。近年、大塚駅南口が整備され、駅を出てすぐの通路の両側にも、様々なバラが植えられています。
我が東京の自宅は、大塚駅の北側です。一昨日(5/26)、所用で郵便局へ出かけました。郵便局は都電の線路のすぐ脇にあります。たまたま、郵便局は混んでいて、ソーシャル・ディスタンスを守るため、郵便局の外に出て、順番を待っていました。
まだ10人ぐらい後だったので、外でブラブラしながら、都電の線路を眺めていました。子どもの頃から、電車を見るのが好きで、今でも、時間を忘れて、いつまでも電車を見続けていると幸せな気分になります。
よくみると、線路の間に、小さな黄色や白色の花がたくさん咲いていました。
それだけで春!という気分になるのですが、そこへ都電が来るのです。
こんな何の変哲もない風景、けっこう好きです。
足元に目を移すと、南口のバラほどは目立たないものの、色々な花が植えられていました。
そんな花々のなかで、特に目を引いたのが、次の花でした。
紅白の花で、上が白、下が赤。あまり見かけないようで、何だかよく見るような・・・。何という名前の花か、思いつかなかったので、調べてみました。
チェリーセージという花でした。
大輪のバラもいいのですが、こんな紅白の可憐な花もいいものだなと思いました。
春の大塚は、けっこう花を楽しめます。

スラバヤの3教会自爆テロに思うこと

滞在先の東ジャワ州バトゥ市で5月13日朝、同州の州都スラバヤ市の3つの教会で自爆テロがあったとの報道を知りました。その後も、用務の合間、報道を追いかけていました。

5月13日は日曜日で、日曜の朝のキリスト教の教会と言えば、もちろん日曜礼拝があります。たくさんの信者が集まる日曜礼拝の時間を狙った事件でした。

警察発表によると、3つの自爆テロは、ISに合流してシリアから戻った一家族による犯行だったとのことです(注:後に、警察は、「シリアへは行っていなかった」と訂正しました)。父親、母親と二人の幼児、息子2人が別々の教会を襲い、多数の人々を巻き添えにして、自爆しました。

この事件で注目される点が3点あります。

第1に、複数箇所への同時多発自爆テロだったということです。同時多発テロを行うには、複数のテロリストが連絡を取り合いながら犯行するものですが、どこかでその兆候を治安当局に見つけられると、中止となるか単発で終わります。同時多発テロは、それが起こればテロへの恐怖は一気に増します。治安当局は、テロリスト間の情報の傍受でそれを未然に防いできたものと思われます。

でも、今回は、同時多発テロが起こりました。それは、第2に、犯行が一家族によって行われたためです。

一つの思想に染まった家族が、実行してしまった今回のケースは、幼児や10代の子どもを引き連れて実行された点で、世界に大きな衝撃を与えています。なぜ、この家族はこのような犯行を行うに至ってしまったのか、そこへ至るまでに何かできなかったのか。社会からの疎外感が彼らを過激思想・カルトへ走らせたとしたら、それはなぜなのか。

過激行為を未然に防ぐためにも、社会が考えなければならない課題のようにも思えます。

そして第3に、場所がスラバヤだったということ。スラバヤの治安の良さは、警察の能力の高さと評価されてきました。ジャカルタで何か事態が起こると、スラバヤから警察が応援に派遣されることが常でした。スラバヤの治安状況がインドネシアのそれのバロメーターともみられてきました。

そのスラバヤで今回の事件が起こったということは、治安面を見ていくうえで大きな意味を持ちます。すなわち、スラバヤがバロメーターであるという前提が正しければ、この種の事件はインドネシアのどこでも起こり得ることになるからです。その意味で、スラバヤの警察のプライドを大きく傷つける事件でもありました。

筆者が危惧するのは、こうした流れを利用しようとする政治勢力が現れてくることです。とりわけ、現段階で再選が有望と見られる現大統領を追い落とすためには、どんな手段でも活用したい勢力が、このような事件を利用して世間に恐怖心を煽って自分たちへの支持を半ば強制するのではないか、という危惧です。

もっとも、現時点では、活動禁止処分を受けたHTIも含め、自爆テロを厳しく批判する声明が次々に出されています。他方、SNS上でテロを支持・擁護するような発言を見かけたら警察へ告発する、というような動きが早くも始まっています。

こうした自由で公正な発言や議論を妨げるような動きは、政治的に対立するどちらからも現れてくるものと見られます。

スラバヤの悲劇に対して、インドネシア各地で連帯の表明が相次いでいます。それは、亡くなった方への追悼、負傷者への献血に駆けつける市民、宗教の違いを超えた集会の実施など、またたく間に広がっていきました。

今日、一連の動きを追いかけながら、時々泣きそうになる自分が居ました。そして、3年間住んだスラバヤのことが、自分にとっても大切な場所になっていたことに改めて気づきました。

友人や知人の安否を確認し、無事の知らせにホッとしている自分。そして、友人から送られてきた、まったく客のいないギャラクシーモールの写真に、今回の事件の市民へ与えた心理的影響の大きさを感じずにはいられませんでした。

筆者はスラバヤを信じています。スラバヤが今回の事件で揺らぐことはない。スラバヤはスラバヤであり続ける、と。今後も、スラバヤの友人や知人を信じ続け、彼らと会うためにスラバヤに行き続けること、を誓います。

神楽坂でのホッと一息スポット

東京都内の散歩コースで好きな場所の一つが神楽坂です。

一歩中へ入ると、いくつかのクネクネした小道に、雰囲気の良い粋なお店がいい感じで存在していて、なんとも風情があります。そういえば、移転前の元職場に近かった四谷荒木町界隈も同じような風情があり、大好きな場所でした。

神楽坂でホッと一息つく私(と妻)のお気に入りのスポットの一つは、ル・ブルターニュ神楽坂店です。とくに、そば粉のガレットが大のお気に入りです。

いつ行っても、たくさんの人が並んで待っているような店なのですが、今日は珍しく、夕方、私たちが入ったときには誰も客がいませんでした。しかし、しばらくすると、次々にお客さんが入ってきて、わずか15分ぐらいの間に満席となっていました。

店員の対応はキビキビしていて親しみやすく、フランス語が飛び交う店内は、なかなか居心地が良いです。メイン通りからちょっと入ったところにあって静かな空間です。

次に今回訪れたのは、紀の善です。あんみつで有名な店ですが、お目当ては、抹茶ババロアです。クリームとつぶあんが付いていて、これらの味のバランスが絶妙なのです。

ほかにも、親子丼やうどんすきでの鳥茶屋、押し寿司の大〆、肉まんで有名な五十番、そして、コタツのある饅頭カフェのムギマル2など、神楽坂には興味深い店がいろいろあります。次回は、どこへ行きましょうか。

元旦に銀座〜丸の内を歩く

2017年、新しい年が始まりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

早速、今年中に自分が実現したいことを7つ書き出しました。そのうちの1つは、このブログ「ぐろーかる日記」を毎日更新すること、です。

どうでもよいような、たわいのない内容もあるかと思いますが、お付き合いいただければありがたいです。

ところで、今日は夕方から、元旦の銀座から丸の内を家族3人で歩いてみました。年末からのイルミネーションで残っているところはどこか、と検討し、まず、汐留カレッタへ行ってみたら、あいにく、1月1・2日は全館休館のため、イルミネーションも休みでした。

でも、旧新橋停車場の周りでは、木々につけられたイルミネーションが下からLEDライトで照らされて、流れる音楽に合わせて色が変わる、という演出がありました。

そのまま銀座へ行くと、中央通りにはイルミネーションが輝いていました。

人通りの少ない、静かな銀座中央通りでしたが、聞こえてくる声のほとんどは、日本語ではありません。開いているH&Mの前にバスが乗り付けていました。

赤ん坊の泣き声が聞こえてきます。どうやら、観光客が買い物を終えたのに、バスがなかなか迎えに来ない様子でした。

銀座から有楽町を通って、丸の内へ向かいます。この通りも人はほとんどいません。静かな通りでイルミネーションが輝いています。

通りには路上駐車中の車が何台か並んでいます。そのなかに、日の丸や菊の紋章をつけた車やバイクがあり、その周辺では、黒服を着た男性たちがお辞儀やらしている様子が見えました。

通りを車が通らないので、車道の真ん中で写真を撮っている人々がいます。その多くは、やはり観光客のようでした。

最後は、東京駅。

元旦なので、店のほとんどは閉まっていて、人通りもほとんどなく、とても静かな町並みでした。そして、出会う人々のほとんどは、日本語以外の言葉を話す人々でした。

そんな東京も、明日からは、徐々に日常の賑わいを取り戻していくことでしょう。こんなふうに、ちょっと非日常を感じられる元旦の東京もいいものです。

ただし、歩きながらちょっと小腹が空いても、飲食店も皆閉まっているので、自宅へ戻るまでは我慢せざるをえなかったのが少々辛く感じました。

シンガポールのニューウォーター(新生水)

11月26日、ジョグジャカルタから帰国する前に、久々にシンガポールに寄りました。お目当ては、もちろん食べ歩きなのですが、それ以外に、在シンガポールの友人が面白いところに連れて行ってくれました。

それは、シンガポール・ニューウォーター・ビジターセンター。シンガポールの水道公社が行っているニューウォーター(新生水)を一般向けに紹介する施設です。

このニューウォーターというのは、一言で言えば、リサイクル水のことです。シンガポールが水を確保する方法は、(1) マレーシアから買う、(2) 雨水などをため池に貯める、の他に、(3) ニューウォーター(リサイクル水)を生産する、があります。

ニューウォーターは、下水をろ過し、殺菌し、蛇口からそのまま飲める状態にして、浄水へ還元する水です。ビジターセンターでは、その工程を学ぶことができます。

そこでは、まず、下水をマイクロフィルターでろ過、次に逆浸透膜(RO膜)を通して水に含まれる不純物を取り除き、最後に紫外線消毒をすることで、ピュアな水を生産できる、ということのようです。

ニューウォーター自体の研究は1970年代から行われていたようですが、コストと信用性の問題から実用できずにいたのが、1998年に生産体制が確立し、2000年に最初のニューウォーター生産プラントが完成、2001年から供給が始まり、現在では、シンガポールの水供給の30%をニューウォーターが占めるまでになったということです。

実際、ビジターセンターでは、ペットボトルに入ったニューウォーターを飲むことができ、もちろんしっかり飲みました。クセのない美味しい普通の水でした。

ペットボトル入りのニューウォーターは、実際に市中で販売を試みたらしいのですが、あまり売れなかったということです。もともとが下水なので、人々が気持ち悪がって飲まなかったのだと想像します。

今のところ、ニューウォーターは産業用として主に使われていますが、渇水時には、通常のため池からの水と混ぜて飲用にも使われています。

シンガポールは、自然の水源を持たない国です。マレーシアからの水の購入は2061年まで契約がありますが、そのマレーシア自体が水供給が不足気味と聞きます。こうした事態を見越して、シンガポールはニューウォーターの開発を進め、今では、ニューウォーター生産プラントが4箇所稼働しており、マレーシアとの契約が切れる1年前の2060年に、ニューウォーターの比率を水供給の55%にまで引き上げる計画です。

アジア有数の高所得国となったシンガポールの重要な懸案の一つが水問題であり、それを克服するために、ニューウォーターの開発を進めてきたことに、先見の明を感じます。

もっとも、シンガポールの250万人という人口規模とその集中具合が、高コストのニューウォーター開発を可能にする要素の一つで、どんな国でもニューウォーター開発が有効という訳にはならないことも事実だと思います。

このビジターセンターは、チャンギ空港のすぐそばにあります。センターでは1日に4回の無料ツアー(所要約45分)を行なっていて、誰でも気軽にネットで申し込むことができます。ツアーでは、「シャワーの時間を1分減らすとこんなに水の量を減らせる」といった水の使用量を節約させる教育的機能も果たしています。

このような政府施設をオープンにし、ネットで申し込める見学ツアーなどを通じて、積極的に住民へ説明し、節水意識を広めていくといった活動は、日本の行政機関などももっと学べるのではないかという気がしました。

こんな、一味違ったシンガポールに出会うのもいいのではないでしょうか。

The NEWater Visitor Centre
20 Koh Sek Lim Road, Singapore 486593
E-mail: pub_newatervc@pub.gov.sg
Phone: 6546 7874

見学ツアーの予約はこちらから。
https://app.pub.gov.sg/newatertour/Pages/default.aspx