人手不足解消のための技能実習は法律違反

新聞などのメディア紙上で、特定技能外国人が増えないことが取り上げられている。

その原因として、制度が突貫で作られたからとか、送り出し国側の準備が整っていないとか、書類などの手続きが煩雑だから、などなどいろいろな理由が挙げられている。

一つの大きな原因は、特定技能が技能実習の延長線上で考えられていることにある。技能実習で技能を身につけてから、特定技能へ移る、というイメージである。

ところが、特定技能は単純労働も含む、とも言っている。技能実習で技能を身につけた人に単純労働をさせる、ということがありうるのか。それはおかしい。

特定技能が増えないのは、試験などの準備が遅れていることもあるが、日本の企業側が、同じ企業内で技能実習2号(3年間終了)の者が特定技能1号へ移る場合を除き、新たに特定技能を望まないからだと思われる。

特定技能外国人は、業種が同じならば転職が可能、賃金や福利厚生などで日本人と同等以上にしなければならない。

なぜ、企業は特定技能よりも技能実習を選好するのか、といえば、その理由は一つ、技能実習ならば、受け入れた企業から3年間はよそへ動かないからだ。3年間の労働力を確保できるからだ。

でも、なぜ技能実習は3年間よそへ動けないのか。それは「労働」ではなく「技能実習」だからである。

2017年に施行された「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(技能実習法)の第3条2項では、技能実習制度を労働力の需給の調整の手段とすることを明確に禁じている。すなわち、人手不足の解消手段として、技能実習制度を活用することは、明確な法律違反となる。

3年間よそへ動けないことを理由に技能実習を選好する企業は、上記の技能実習法に明確に違反している。おそらく、技能実習生を受け入れている大半の企業は、法律違反を犯している。

でも、取り締まれないのだ。本気で取り締まったら、「労働力」を確保できなくなり、企業活動は止まり、日本経済全体が動かなくなってしまうかもしれない。

行政側は、人員不足を理由に、違法行為をすべて取り締まれない、として、取り締まれないのである。

本来、「技能実習」だから3年間同じ場所であるのに、実際には、3年間動くことのできない「労働力」として使っているのである。これは、技能実習生側からすれば、詐欺になるのではないか。

「彼らだって金稼ぎに来ているのだから、いいではないか」という答えが聞こえてきそうだ。そうした状況であることは否定しない。しかし、「日本へ行ったら稼げるぞ」と言って技能実習生をリクルートしている現実からすれば、最初から、技能実習制度を隠れ蓑にして、技能実習生を「労働力」として受け入れていることになる。やはり、法律違反である。

ではどうするか。

私見では、外国から日本へ「労働者」として稼ぎに来る者は、「労働者」として受け入れるのが正しい。今の制度ならば、特定技能の手続を簡素化して、労働力として雇う企業は、原則として特定技能労働者を雇うのが望ましい。

労働者なのだから、日本人に対するのと同じように、転職の自由を認め、賃金や福利厚生のコストを負担する。

技能実習はどうなるのが良いのか。

本当の意味での「技能実習」にする。彼らは「労働者」ではなく、「見習い」「研修生」である。3年間の技能実習カリキュラムをきちんとつくり、それに合わせて人材育成をする。

3年間の「技能実習」が終わったら、「労働者」として特定技能労働者へ変わってもよいだろう。あるいは、「技能実習」中にステータスをグレードアップさせて、専門学校や大学を卒業し、高度人材となっていってもよいだろう。

何を技能実習で学ぶかを、技能実習生の送り出し側が明確にしたうえで、日本へ送る。日本ではその目的を満たせる受入企業を探して、受け入れてもらう。

技能実習と言いながら、そのイニシアティブは、送り出し側ではなく受け入れ側が持っている、というのが現状である。送り出し側が受け入れ側のニーズに合わせるのはおかしい。技能を教えてもらいたい側、送り出し側のニーズがまずあって、それに対して、受け入れ側が合わせるのが自然である。

特定技能と技能実習は明確に分けるべき、と考える。そして、技能実習を、実習を受けいれる日本側のニーズではなく、実習を受ける実習生側のニーズを出発点とする形に変え、人材を育成する本当の「技能実習」にする必要があると考える。

今のような、あたかも詐欺のような制度、事実上の違法状態が蔓延している技能実習制度を、法律が謳うまともな制度に変える。そして、稼ぐために日本へ来る者たちを労働者として受け入れる。受け入れるからには、労働条件は日本人と同じにする。転職されるのも覚悟する。

もう、今のような、国家総ぐるみでの「まやかし」の状態は止めようではないか。

福島で友人とインドネシアを熱く語る

1泊2日で福島。東京へ戻る前に、友人である福島市の会社社長と会った。初めてのインドネシアから帰ったばかりの彼から、インドネシアの話を聞きたい、というリクエストがあったからだ。

中国、ベトナムとビジネスを進めてきた彼は、初めて行ったインドネシアで、以前、ベトナムに行ったときに感じたような、ほとばしるような感覚を感じ、それからインドネシアで頭がいっぱいになった様子だった。

今日は、それに輪をかけるように、私が様々な情報を、系統立てずにまくし立てたものだから、消化不良に陥ってしまったようで、申し訳なく思った。

それでも、自社の若手社員を対象に、一人ぼっちになれる海外研修をやりたいと言う話が出た。福島出身の若手社員にマイノリティになる経験をさせる、という話になり、インドネシアでならば、こんなふうに研修したらいいのではないか、と、話は大いに盛り上がった。

彼の来年は、インドネシア・イヤーになるかもしれない、ということだった。必要あれば、もちろん、しっかりサポートするよ、と言った。

自ら学ぶ地域を増やし、そう促せるよそ者を育てる

以前から、思っていること。

地域の人々は、自分たちが生活する地域について、どこまで知っているのだろうか。自分たちのところには何もない、と言って、よそから来るもののほうが優れている、素晴らしいと思ってはいないか。

よそのほうが優れている、素晴らしいって、何をもって言えるのだろうか。

自分たちしか持っていないもの、それは何か。

自分たちでは取るに足りない、大したことないと思っていたものが、よそ者にとっては、価値のあるものだったりする。そして、そこで、地域の人々は自分たちの持っているものが価値のあるものだと気づく。

でも、よそ者が常に正しいとは限らない。自分たちでその価値を確信できない限りは・・・。

今、思うこと。

地域の人々が、自分たちが生活する地域について、より深く持続的に自分たちで学ぶ機会を創る。

地域と地域をつなげながら、学ぶ機会を創るノウハウを他の地域へ広めていく。同時に、学び方、教え方の手法を深める。

そして、地域の人々の気づきを自然とうながせる、適切なよそ者を育てる、増やす。

よそ者は決して教えてはならない。気づかせるのだ。地域の未来を創るオーナーシップは、常に地域の人々にある。

すべては、地域の人々が、もうこれ以上、よそ者にだまされないために。よそ者は、地域の人々からもう必要でなくなれば、黙って立ち去るのみ。

私が教えないコンサルティングを標榜している理由、私なりの美学。日本はもとより、世界中のどこでも。

福島県のリスクマネジメント研修ツアーに参加(2019.12.3-12.4)

2019年12月3〜4日、福島イノベーション・コースト構想推進機構主催の「リスクマネジメント研修コース」のツアーに参加しました。

今回のツアーの最大の関心は、福島第2原子力発電所の見学でした。福島第2は今後約40年かけて廃炉とすることが決定しており、現在は稼働していません。今回は、原子炉建屋の中に入り、原子炉格納容器の真下まで行くことができました。建屋内では、放射線による身体への汚染を防ぐため、複雑で厳しい規則に従うことが求められ、何度も防護服や手袋などを取り替えたり重ね着したりしました。線量計を持って中に入りましたが、終了後の測定では線量計の値は0.000でした。

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Mengikuti Study Tour tentang Manajemen Risiko di Fukushima (3-4 Des 2019)

Pada tanggal 3-4 Desember 2019, kami mengikuti study tour “Kursus Manajemen Risiko” yang diselenggarakan oleh Organisasi Promosi Rencana Pantai Inovasi Fukushima.

Yang paling menarik buat kami adalah kunjungan ke PLTN Fukushima Dai-2 yang telah diputuskan untuk dinonaktifkan dan dihapuskan dalam 40 tahun ke depan. Kami mendapat kesempatan yang sangat berharga untuk memasuki gedung reaktor dan pergi ke bawah penahanan reaktor nuklir. Banyak regulasi ketat untuk melindungi tubuh kita agar tidak terkontaminasi radiasi.

Participating in Study Tour on Risk Management in Fukushima (3-4 Dec 2019)

In 3-4 December 2019, we participated in the tour of the “Risk Management course” hosted by the Fukushima Innovation Coast Plan Promotion Organization.

Our main interest was to visit Fukushima Dai-2 Nuclear Power Plant which was decided to be decommissioned in next 40 years. We got a very valuable chance to enter the reactor building and went to under the containment of nuclear reactor. Many detailed regulation to protect our body not to be contaminated by radiation.

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小名浜名物カジキソースカツ丼を食べる

先週、福島イノベーション・コースト構想推進機構のツアーを終えた後、東京へ戻る前、いわき駅で夕方買った駅弁がこれ。

すでに夕方で、定価880円なのを550円で売られていたのを買った。

よくあるソースカツ丼だが、中の肉が豚肉ではなく、カジキの肉。カツの下にはキャベツの千切りがご飯の上に薄くのっている。

ソースの味は豚肉の場合と同じような味で、カジキの肉はやや薄く、ちょっと固かった。

箱には、次のような口上が書かれていた。

大洋の航海者カジキとWhatsカジキグルメ
小名浜沖の潮目の海は、黒潮と親潮がぶつかる豊かな漁場。世界の海を航海する300kg級のカジキも訪れます。震災後の福島の海は漁業が再開できない状況が続いています。そこで、いわきの多くの海の男たちと海を結び、回遊魚で安全なカジキを新たな名物とする取り組みが続いています。カジキの白い身には、イミダペプチドという疲労回復効果の高い成分も含まれ、サプリメントにも多用されています。太平洋の豪快なカジキと、海の男の心意気をご堪能ください。

この駅弁には、「小名浜美食ホテル」のブランドがつけられていた。

小名浜美食ホテルは、実際に小名浜にある観光商業施設である。ホテルの名がついているが、宿泊はできない。

 小名浜美食ホテル

せっかくカジキを使うのだから、ほかの味付けでの駅弁を期待してみたい。夕方に550円に割り引かれないような駅弁を。

新鮮な穫れたて、挽きたてカカオを楽しむ未来へ

12月7日は、私がアドバイザーを務めているダリケー株式会社主催の「挽きたてのカカオプレッソを楽しむ会」へ行ってきた。

場所は、東京・六本木のANAインターコンチネンタル・ホテルの37階。チョコレート好きの方々が集っていた。

ダリケーは、インドネシア・スラウェシ産のカカオを扱う、チョコレート業界ではちょっと変わった存在である。インドネシアは世界第3位のカカオ生産国でありながら、未発酵カカオが主流なため、よいチョコレートを作る側からは敬遠されてきた。

ダリケーはそこへあえて挑んだ。スラウェシ産のカカオをきちんと発酵させれば、良質のチョコレート原料となることを立証した。カカオ農家に適切なインセンティブを与え、発酵カカオを生産する農家に誇りをもたせることに成功した。

有名なショコラティエのいないダリケーは、素材で勝負するアプローチに打って出た。新鮮な挽きたてカカオ、という、まだ誰も提示していないやり方である。

スラウェシの農家レベルから直接カカオ豆を買い付けているダリケーは、早ければ、農家から受け取って数ヶ月で日本へカカオを届けられる。これは、他社では真似のできない芸当である。

そして、新鮮なカカオは香りが素晴らしい。この新鮮な穫れたてのカカオを使って、チョコレートを作ってみたら、とてもフレッシュなチョコレートを作ることができた。

上の写真は、12月7日に発売開始となった、数ヶ月前に収穫したばかりのカカオを使った新作の生チョコ。プレーンと抹茶の2種類のみ。イベントで試食したが、なるほど、これは未体験のみずみずしい味わいだった。フレッシュなカカオ、という意味が納得できた。

そして、カカオ豆を入れるとそのままカカオ飲料ができる機械「ブローマ」もお披露目された。これさえあれば、簡単に、たとえば、コーヒーメーカーにコーヒー豆を入れて挽きたてコーヒーを飲むように、カカオ飲料が飲める。

コーヒー豆を買うように、カカオ豆を買って「ブローマ」に入れ、挽きたてのカカオプレッソを楽しむ。コンビニで挽きたてコーヒー以外に、挽きたてカカオプレッソも飲める。

新鮮な穫れたて、挽きたてカカオを楽しむ。そんな未来が、あと何年かすると訪れるかもしれない。ダリケーは時代を先取りし、新たな時代を作っていく。

よりどりインドネシア第59号を発行

よりどりインドネシア第59号を発行しました。
https://yoridori-indonesia.publishers.fm/issue/4737/

カバー写真は、ブンクル州ルボン県プラバイ郡で出会った川で洗濯をする人々です。

●オムニバス法で投資誘致は進むか(松井和久)
二期目を迎えたジョコウィ政権は、さらなる投資誘致を進めるため、ベトナムを意識して、オムニバス法の制定へ動いています。このオムニバス法とはどのようなものでしょうか。投資誘致のためにオムニバス法は有効なのでしょうか。考察してみました。

●ロンボクだより(26):塩の生産現場にて(岡本みどり)
岡本さんの好評連載は、東ロンボクの塩づくりの現場で働く生産者についての話を書きました。生産者の置かれた難しい立場に思いを馳せました。

●骨の髄までしゃぶりまスープ(松井和久)
インドネシアのあちこちで食べられる牛の脚の中の髄を楽しむソプ・キキル。今回はクンダリ、プカンバル、東ロンボクで食べたソプ・キキルを紹介しました。

いつもご愛読いただき、ありがとうございます。引き続きいくつものインドネシアを伝えてまいります。よろしくお願いいたします。

アスティくん、さようなら

福島市の私のオフィスは、古民家「佐藤家住宅」とサービス付き高齢者向け住宅「しみずの里」の2つが建つ敷地内にある。

佐藤家のマスコット的存在だったのが、大きなオス犬のアスティくんである。今日(12/6)、定例の打ち合わせのため、佐藤家を訪ねると、アスティくんが先週、私が福島市を離れた後、亡くなったことを知った。

すでに火葬され、小さくなっていた。

先週、福島市のオフィスにいたときは、急に冷え込んだせいか、体調を崩し、床に横たわっていた。エサも受け付けず、だいぶ吐いた様子だった。

そこで、餌を水に溶かし、注射器で口の中に注入してみた。体内に食べ物が入ったせいか、少し元気になった様子で、自分で立ち上がろうとしていた。結局、立ち上がれなかったけれど・・・。

もう相当な歳だった。老衰だった。

私を見ると、尻尾を振って匂いをかぎに来たものだった。おじいさん犬だったが、可愛かった。他方、見知らぬ人が来ると、ガンガンに吠えまくった。

アスティくん、さようなら。あちらの世界でも、楽しく過ごしてね。

寒さをいっそう感じる季節になった。

大田黒公園で紅葉を愛でる

12月4日に、福島第2原発視察を含む、福島イノベーション・コースト構想推進機構主催のツアーを終えて、富岡町からオフィスのある福島市へ向かうか、いったん自宅のある東京へ向かうか、悩んだ末に、東京へ戻った。

このところ、ずっと家にいないことが多かったり、天候の具合などのせいか、妻と紅葉を愛でる日にちがなかなかうまく取れなかった。そこで、12月5日は、例年通り、妻と紅葉を愛でに出かけることにした。

場所は、去年と同じく、荻窪の大田黒公園。

今年の紅葉は、昨年よりもやや遅めの感じ。昨年の今頃は紅葉の赤が冴えていたが、今年は、むしろ、緑色→オレンジ色→赤色のグラデーションの妙を楽しめた。

太陽の陽の光の当たり方で、微妙に葉の色合いが移ろいゆくのが、何とも言えず美しい。瞬間瞬間で色合いが変わっていく。絶対に人工的には作れない、美しさ。

そんな色の移ろいを観ながら、アフガニスタンで銃弾に倒れた、中村哲さんのことを思っていた。

福島第2原発を視察した

12月4日、福島第2原発を視察するという貴重な機会があった。

今回も、先週と同様、福島イノベーション・コースト構想推進機構の第2回ツアー「リスクマネジメント・コース」(12月3~4日)に参加してきた。

そのメインが、福島第2原発の視察だった。そして、福島第1原発の事故の際の経験をもとにした避難者による避難所運営に関わるマネジメントや、福島第2原発が事故を防げた理由を学びながらリーダーがどのようなりリスクマネジメントをすべきか、について、ワークショップが行われた。

福島第2原発は、富岡町と楢葉町にまたがって立地する。東京電力は、2019年7月31日、福島第2原発1~4号基のすべてを廃炉とする決定をした。もちろん現在は稼働していない。ただし、燃料棒はまだ残っているため、高い値になることはないにしても、放射線に関する管理は厳格に行われていた。

福島第2原発を視察する意味は、実際に原子炉建屋の中、燃料棒などのある圧力容器の下へ入ることができたことである。事故のあった福島第1原発の視察では、線量が高いため、実際に中へ入ることはできない。内部がどうなっているかを見るには、福島第2原発の視察でその機会があることが有用である。

視察では、携帯、カメラ、メモ道具など何も域内へ持ち込めない。ポケットのなかのハンカチも持ち込めない。

案内の東京電力の方々の指示に従い、赤い来客者カードをぶらさげる、白い入館者カードをぶら下げる、ベストを着る、ヘルメットを持つ。原子炉建屋に入ると、線量計を渡される、靴下を履き替える、靴を履き替える、オーバーオールを着る、白い手袋をはめる。白い手袋の上からビニール手袋をはめる。圧力容器の下へ向かう前に、もう一度靴下を履き替え、もう一度別の靴を履き替える。

とにかく、放射線量の高低に応じて、次から次への身に付けるものが変えられる。肌がむき出しにならないように身につける。夏場は確実に蒸して暑くなるだろう。

原子炉建屋内を歩く際、床に手をつかないように気をつける。床についた手で顔を触ると顔が汚染される可能性があるからとのこと。

原子炉建屋内での視察を終えると、それまでとは逆に、身につけたものを脱いでゆく、原子炉建屋の中を歩いてきた靴下を脱ぐ際には、放射線域で脱ぎ、脱いだ後の素足をそこへ降ろさず、非放射線域へとまたぐ必要がある。

一通り終わって、係員へ線量計を返す。係員が線量計の値を読み上げる。「0.000ですね」とのこと。

原子炉建屋の圧力容器の下は、様々なコードや棒が飛び出ており、体をかがめる必要があった。福島第1原発では、この部分が高熱で溶けてしまい、網状の足元のからさらに下へ落ちていってデブリになったのだ、とリアルに納得できた。福島第1原発では今、自分たちがいるのと同じ場所へ人間が入ることはできず、ロボットを使って内部の状況を確認しようとしているのだ。

福島第1原発の原子炉建屋の内部を見ることはできないが、福島第2原発のそれを見学することで、ある程度リアルにその様子を想像することができる。

また、放射線管理がいかに細かく、最新の注意が払われているかを、様々なものを身に着けたり、ボディチェックを繰り返すなど、面倒なプロセスに時間をかけることも、実際に体験することで納得できる。

写真にもメモにも残せず、ただ自分の五感の記憶に頼らざるを得ないのが難点だが、機会があれば、できるだけ多くの方々に福島第2原発を視察していただければと思う。

上野駅から富岡駅へ

上野駅から特急「ひたち」に乗り、終点のいわき駅(昔は平駅だった)で乗り換え、富岡駅まで来た。

いわき駅から富岡駅までは普通列車だが、車輌は、昔の「スーパーひたち」の旧特急車輌で、乗り心地抜群。いわきと富岡の間を1日に2往復しているというが、それに乗れてラッキーだった。

富岡駅から見る風景には感慨深いものがある。

この写真は、2015年9月19日に撮影した、富岡駅の様子。ホームは残っているが、その向こうには、フレコンバッグの山が積まれているだけだった。

富岡駅の周辺もきれいに整備されていた。崩壊した建物はなくなり、新しい建物が立っていた。当時、駅すぐの場所にあった慰霊碑は、見当たらなかった(下の写真は2015年9月19日)。

常磐線は、富岡駅=浪江駅の間がまだ不通。来年2020年3月には全線復旧・開通となるばく、工事が進められている。それに合わせて、あの夜の森の桜並木も、避難困難区域を解除して、観られるようにしたいそうだ。

現在、夜の森の桜並木の一部は、まだ通行できないままだ。

バナナ、イチゴ、レタス、胡蝶蘭

11月29日、「先端農業視察コース」の2日目は、復興のための新しい農業の試みを進めているプロジェクトを視察した。

広野町振興公社は、国産バナナの生産を試みていた。

日本でバナナと言えば、生食用だけが注目されるが、バナナの花も食用、葉は包装用と活躍する。たとえばバナナの葉を使って、脱プラスチックの動きを加速できないか。

バナナ以外に、パパイヤも試みていた。パパイヤも実だけでなく、葉も食用(やや苦いが)に適する。栄養食品として、様々な活用が期待できる。

お土産に、バナナ1本をもらって食べてみた。インドネシアの現地での完熟バナナの味を知っている身からすると、それを思い起こさせるとても美味しいバナナだった。やはり、国産だと何かが違う。

バナナの次は、イチゴ。大熊町での大規模イチゴ「工場」。

販売先は確保されていて、効率を徹底的に追求し、夏季にケーキなど業務用イチゴを生産することで、一般用の冬季イチゴと合わせて採算を取ろうとしている。

これも一つのやり方で、帰還困難地域を抱える大熊町に将来の希望をもたらす事業の一つという位置づけ。雇用創出の面もあるが、ロボット等の導入もありうると思われた。

イチゴの次はレタス。川内村でのLED光源を使った野菜工場を見学。

極めて衛生的で、気象条件に左右されず、安定した価格で供給できる。まさに野菜工場。風評の影響を受けない、新しい農業としての川内村の答えの一つなのだろう。

近くの工業団地には、バングラデシュの方が所有する企業が、ハラル対応食材を生産する工場を建設する予定。高齢化の進む川内村の今後の農業はどうなっていくのだろうか。

レタスの次は、葛尾村の胡蝶蘭。企業などの贈答向けの需要がかなりあるとのこと。

AIで適温に調整されたハウス内には、見事な胡蝶蘭が並ぶ。販売も順調なようで、葛尾村の新しい産業としての期待がかかる。

バナナ、イチゴ、レタス、胡蝶蘭。いずれも、東日本大震災+原発事故の後、既存の農業の再開がままならない状況下で、新しい希望の種として始まった事業である。

そして、そこには政府からの補助金が活用され、行政の肝いりによる第三セクターのような形で進められている。今はとにかく軌道に乗せることに懸命なのは当然だが、今後、どうやって持続性を維持していけるか。また、地域の先端ではない地場の営農活動や地域社会の中に、これからどのような関係性を持って根づいていくか。

しばらく間を置いて、これらの事業を再度訪問し、様子を見守っていければと思う。

福島県の先端農業視察ツアーに参加

2019年11月28~29日、公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構主催の第1回視察ツアー「先端農業視察コース」に参加しました。

ツアーでは、ICT営農システムでの農業再生(飯舘村)、営農再開へ向けた調査研究(南相馬市)、籾米の乾燥・貯蔵・出荷を管理するカントリーエレベーター(楢葉町)、国産バナナ栽培(広野町)、イチゴの大規模栽培(大熊町)、LED光源を用いた野菜工場(川内村)、AIによる温度管理を用いた胡蝶蘭栽培(葛尾村)を視察しました。

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Study Tour tentang Pertanian Canggih di Fukushima

Pada tanggal 28-29 November 2019, kami mengikuti Tur “Kursus Inspeksi Pertanian Caggih” yang diselenggarakan oleh Organisasi Promosi Rencana Pantai Inovasi Fukushima.

Pada tur ini, kami mengunjungi dan meninjau rehabilitasi pertanian dengan teknologi ICT (desa Iitate), penelitian tentang pemulaian kembalinya usaha tani (kota Minami-Soma), country elevator yang menangani proses pengerinagn-penyimpanan-pengiriman padi secara terpadu (kota Naraha), budidaya pisang domestik (kota Hirono) , pabrik strawberry skala besar (kota Okuma), pabrik sayuran dengan menggunakan cahaya LED (desa Kawauchi), dan pabrik bugga “Kochoran” yang menggunakan manajemen suhu oleh AI (desa Katsurao).

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Participating in Study Tour on Advanced Agriculture in Fukushima

In 28-29 November 2019, we participated in the tour of the “Advanced Agricultural Inspection course” hosted by the Fukushima Innovation Coast Plan Promotion Organization.

On Tour, agricultural recovery by using ICT (Iitate village), research for restart of farming (Minami-Soma city), the country elevator which manages the dry-storage-shipment process of rice (Naraha town), the domestic banana cultivation plant (Hirono town), large-scale strawberry factory (Okuma town), the LED light-used vegetable factory (Kawauchi village), and the flower “Kochoran” factory which used the temperature management by AI (Katsurao village).

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