今年も、8月18〜25日、ダリケー社のカカオ農園ツアーに行ってきました。
同社アドバイザー及び引率スタッフとしてこのツアーに参加するのは毎年恒例行事で、今回で5回目になります。今回も、30人近い参加者と一緒に過ごしました。
8月18日にマカッサルに到着し、19日に、目的地の西スラウェシ州ポレワリへ向かいます。所要時間は約5時間、途中のパレパレで昼食をとりました。
ポレワリに到着後、自己紹介セッションの後、夜は、地元のポレワリ・マンダール県主催の夕食会。あいにく、主催の観光局と懇意にされていた県職員が急逝されたため、夕食会へ出席した県政府関係者はごく一部となりました。
20日は、午前中、ポレワリでのダリケー社の取り組みについて詳しく説明があり、いかにカカオ農家と信頼関係を作り、発酵カカオを生産する仕組みを築いてきたかを参加者に理解してもらいました。
午後、参加者は、実際にカカオ農園を訪問し、カカオについての説明を受け、カカオの実を収穫したり、カカオの苗を記念植樹したりしました。毎度のことですが、参加者の後を子供たちがたくさんついていきます。
農園で働く若者がカカオ農園内のヤシの木にスルスルと登って、上から落とされたヤシからココナッツジュースが参加者に振る舞われ、ココナッツジュースを飲み干すと、そのヤシガラを割り、おばさんが煮詰めていたヤシ砂糖を中の果肉と一緒に食べてもらいました。参加者は、ココナッツジュースのヤシとヤシ砂糖のヤシが別の種類であることなどを知りました。
記念写真の後、村の集落の中を歩いていきます。人々が集落できれいに住まわれていることが印象的な様子でした。その後、ダリケー社のワークショップで、カカオが発酵する様子や、天日乾燥や選別を行う様子を見学しました。発酵カカオの中に手を入れて、高熱を発生している様子も体験しました。
21日は、朝早く、ホテルの近くの市場を散策した後、小学校で、小学6年生とともに、カカオ豆からチョコレートを作るワークショップでした。ツアー参加者と小学生混合の5つのグループに分かれ、カカオ豆の皮むき競争や石臼でのカカオのすりつぶし競争などを行いました。
小学生の中にはカカオ農家の子供もいましたが、カカオ豆からチョコレートができるという体験はみんな初めてでした。このワークショップは昨年に引き続いてのものでしたが、大いに盛り上がりました。砂糖を入れる前のチョコレートの苦さとともに、自分たちで作ったことの嬉しさが伝わってきました。
21日の午後は、地元でビーン・トゥー・バーのチョコレートを作っている若者や自分の農園で栽培・処理したコーヒーを栽培する若者と出会いました。
22日は、イスラム教の犠牲祭「イドゥル・アドハ」で祝日でした。21日の夜は、松明を持った子供たちが道を練り歩いたり、キラキラした装飾をつけた車が行き交うタクビランを目の当たりにしました。
今回の初めての試みとして、ツアー参加者は、ダリケー社が用意した、地元ポレワリのカカオ豆などで作られた様々なチョコレートの味見比べ、テイスティングを楽しみました。そして、思いがけず、ポレワリ・マンダール県知事公邸での犠牲祭のオープンハウスに参加者全員が招かれ、県知事との歓談のひとときと食事を楽しみました。
午後は、ダリケー社のカカオマスとサゴ椰子デンプンを組み合わせたお菓子などを作っている地元のNGO「P4S」を訪問し、そのお菓子の実演を体験しました。
その後、参加者の中から若手女子4名、男子2名が、地元芸能の「踊る馬」に挑戦しました。地元マンダール風の化粧や髪型、衣装をまとい、楽団の音楽によって「踊る」馬の上にまたがって歩きます。彼らにとって、二度とない経験となりました。
23日は、朝、ポレワリを出発して一路マカッサルへ。マカッサルでは、幸運にも、世界3大夕陽の一つを堪能できました。
24日は、午前中、参加者によるツアーへの振り返りを行ってもらいました。様々な感想が述べられましたが、少なからぬ参加者が印象に残ったのは、ツアー中にいただいた、カカオ農家での食事の美味しさでした。
マカッサル市内のトアルコ・トラジャ・カフェで、自慢のコーヒーと日本風の洋食ランチを楽しみ、ショッピングセンターで土産物を購入した後、空港へ向かい、帰国の途につきました。
日本のダリケー社製品を含むチョコレート愛好者・消費者と、その原料であるカカオを生産するインドネシア・ポレワリのカカオ農家とが直接出会うこのツアーは、チョコレートを通じた消費者と生産者とをつなぐ旅でもありました。
ツアー参加者はカカオのことを知ると同時に、カカオ農家に対して感謝の気持ちを示しました。カカオ農家は、彼らからの感謝の気持ちを、より品質の良い、発酵カカオを生産する意欲につなげていました。
カカオ農家からは、気候変動で2050年にはカカオが生産できなくなるのではないかとの不安が示されました。すると、ツアー参加者からは、そうならないように、私たちが支える、カカオ農家がカカオを作れなくなったら本当に困る、という声が上がりました。
カカオ農家の幸せなしに美味しいチョコレートはありえない。そんな純粋な気持ちを共有できたなら嬉しいことです。生産者と消費者とをつなげるこのツアー、地道に続けていきたいと改めて思いました。
今回参加できなかった皆さま、このブログを読んで興味を持たれた皆さま、来年はぜひ参加をご検討ください!